はじめに

「どうしてこんなことを間違えるんだ!」

ある日私は雇っていた看護師を、他のスタッフの前で怒鳴ってしまった。

彼女は採用面接の時、「真面目」「仕事が好き」「長く働きたい」と言っていて、私が望んでいた人物像と一致していた。

だから、すぐに採用を決めたのだ。

実際働き始めると、最初はきちんと働いてくれていた。

だが、だんだん仕事も休みがちになり、私とのコミュニケーションも取らなくなっていった。

彼女がどうしてそんな態度をとるのか、さっぱりわからなかった。

しばらくして、彼女が私のクリニックを辞めることになった。

退職理由を聞くと、「本当は、もっと子育てと両立できる職場かと思っていたのに、違っていた。院長との相性もあまりよくない。だから、違うクリニックに移ろうと思った。」

・・・・・・

この話を読んで、先生はどのように感じましたか?

この話から分かることは、2つ。

1つ目は、看護師の求めている働き方を把握することです。

看護師本人が求めている働き方とクリニックが求めている働き方がマッチしていないといけません。

2つ目は、採用後も、きちんと看護師との関係に気を配ること。

先生は採用したあと、看護師と良好な関係を保つために、何か気を付けていることはありますか?

今回は、この話のようにならないための、院長と看護師の関係を良好に保つために必要な3つのポイントについてお話いたします。

ポイント① 相性をチェックする

先生は、看護師を採用する際、どのような採用基準で採用していますか?

「長く勤めてくれる人がいいな」「よく働いてくれるまじめな人がいい」

など、先生により様々かと思います。

看護師は、長く働く人が多い職種。長いと10年以上勤める人もいますので、院長にとってなくてはならない存在になることもあります。

採用にもお金がかかるのに、すぐに辞められてしまっては困りますよね。

そんな看護師を、先生のクリニックに定着させるためには、どうすれば良いでしょうか。

実は、採用時には、2つ気を付けるべきことがあるのです。

クリニックとの相性

まず1つ目。

クリニックとの相性です。

子育てと両立できる範囲で仕事をしたいのか、どんどんキャリアアップしたいのか、看護師さんによって求める働き方は様々です。

先生のクリニックは、看護師にとってどのような環境でしょうか?

また、先生は看護師に、どのような働き方を求めますか?

先生やクリニックの環境が求める看護師の働き方と、看護師自身が求めている働き方がマッチしている方が好ましいことは言うまでもありません。

院長や医師との相性

2つ目は、院長や、医師との相性です。

大きな病院ならば、相性が合わなくても、部署異動などをすればいいのですが、個人医院ではそうはいきませんよね。

そのために、院長や医師との相性は看護師を採用する際、重要な要素となってきます。

医師と看護師の連携が上手く出来ていないと、患者さんに「ちゃんと連携が取れているのかな」と不安にさせてしまったり、仕事も上手くはかどらなくなります。

そのような積み重ねは間接的にクリニックの収益にも影響するので、院長や医師と相性のよい看護師を採用することが大切です。

しかし、この2点の相性を注意して採用しても、その後辞めてしまう看護師は多くいます。

看護師が辞めてしまう原因として、多く挙げられるものに、「院長と合わない」という理由があります。

では、看護師さんとの関係を良好に保つためには、どのような点に注意すればいいのでしょうか?

ポイント② 看護師への接し方に気を配る

一緒に働くことになると、良好な関係を築きたいと思いますよね。

「このクリニックに貢献したい」と思ってもらえるようなクリニックを作るには、日々のコミュニケーションが欠かせません。

看護師とのコミュニケーションでは、何を意識する必要があるのでしょうか?

看護師の心の声を聴く

看護師は患者さんと接する中で、「あの対応方法でよかったのかな」とひとりで考えてしまうことがあります。

院長が、看護師の心のもやもやを聞いてあげるようにすると、看護師も自信を持ち、1つのことに囚われずに仕事に取り組むことができます。

ある大分県の病院では、看護師の離職率がとても低いと話題になっていました。

その病院が取り組んでいることの1つに、“「もやもやした事例」を持ち寄って、1日かけて討論する“というものがあります。

この取り組みをすることで、ひとりでもやもやを抱えこまずに、話し合うことができ、「あの対応は悪くなかったんだ」とか、「また頑張ろう」と自信にもつながっているそうです。

看護師はひとりで悩んでいることが多いです。

心のもやもやを聞いてあげるだけで、精神面が落ち着き、話を聞いてくれる環境のある職場なんだと感じ、長く勤めたいと感じるようです。

褒める

先生は看護師が良い仕事をしたときに褒めているでしょうか?

褒めることで、人は、良い行動を習慣的に行おうとします。

褒め方をマスターすれば、看護師ひとりだけでなく、他のスタッフにも派生してクリニック全体の雰囲気が良くなり、経営にも良い影響を与えます。

褒め方にもポイントがあり、結果だけを褒めるのではなく、それまでに看護師が行ってきた努力や、考えを褒めてあげてください。

そうすると、「院長は私の努力を見ていてくれている」と思いますし、作業に不安があったとしても、安心して仕事を進められるようになります。

また、看護師が努力して達成した結果について、具体的に褒めることも大切です。

「あなたのこのような行動がよかったよ」と褒めることで、「次回もまたやってみよう」と、良い行動が習慣化されていきます。

笑顔

看護師に対して、笑顔を忘れてしまっていませんか?

診察が忙しいと、どうしても余裕がなく、笑顔を忘れてしまいますよね。

そんなときでも、書類を渡してくれたときや、何か気遣いをしてくれたときなど、ちょっとしたことでいいので、笑顔で「ありがとう」と言うだけで、感謝の気持ちが伝わります。

目を合わせず、笑顔がない顔で「ありがとう」と言うよりも、笑顔があると先生の感謝が看護師に伝わります。

ポイント③ 院長と一緒に目標設定を行う

良好な関係を看護師と築くだけでなく、看護師の目指すべきゴールを設定してあげることで、仕事にやる気が生まれます。

ゴールの設定方法でも、院長が気を付けなくてはならないポイントがあるので、お話しいたします。

クリニック全体の理念を共有する。

先生のクリニックでは、何を一番大切にしていますか?

「患者さんの体調を思いやる」「患者さんの不調を治す」などあるかと思いますが、理念を先生だけでなく、スタッフや看護師にも共有し、理解しておくと、スタッフが皆、自分で判断しなくてはいけない局面に立ったとき、自分で考え、行動できるようになります。

例えば、あるデイサービスの理念は、「ご利用者の笑顔と安心が一番です」としています。

このわかりやすい理念があることで、社員は自分で判断しなくてはいけない局面にたったとしても、「ご利用者の笑顔と安心」を守るためにはどのように行動すればよいのか?を考えて行動すればよいのです。

このように、理念をみんなで共有することで、看護師やスタッフが自分で判断するための軸ができます。

すると、自分で考えることができるので、自然と主体的に業務をするようになり、やる気が出てくるのです。

目標を設定する

看護師一人ひとりの目標設定はしていますか?

もし、目標設定をしていなかったら、看護師と一緒に立ててみてください。

目標を設定することで、具体的に何を目指せばいいのかわかるようになり、看護師の成長速度が高まります。

目標を立てるときは、「達成可能」であり、「クリニックの経営理念に沿っているもの」である必要があります。

達成可能なものでないと、現実的でなく、目標設定した後に達成困難となり逆にやる気がなくなってしまいます。

ある病院では、新人看護師に対して、1対で指導を行っているそうです。

そこでは、毎月の目標を黒板に書いて、それが達成されているかみんなで話し合う機会を設けています。

その機会にわからないことを先輩に聞いたり、達成できていなかったら何が足りないのか話し合うことができます。

決して叱らず、“話し合う”体制をとることで、看護師のやる気を維持したまま、目標の再確認ができるのです。

まとめ

今回は、院長と看護師の関係を良好に保つための、採用方法とコミュニケーションの取り方についてお話いたしました。

  1. 看護師を採用する際には、看護師が求めている「環境」と、院長との「相性」を必ず見極める。
  2. 採用しただけで満足せずに、採用後も「話を聞く」「褒める」「笑顔」に注意して、良好なコミュニケーションを取れるように気を配る。
  3. 看護師の目標を設定し、何か問題があったとしてもみんなで解決していく姿勢をとることで、やる気を引き出し、維持することができる。

クリニックでの看護師の業務範囲は広く、長年勤めると医師の右腕になるような存在です。

先生やクリニックに合う看護師を採用することで、良好な人間関係を築きやすくなり、いずれはクリニックの収益にもつながります。

ぜひ今回お話したことを取り入れて、今後の経営に活かしてみてください。

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