はじめに

クリニックを開業し、経営が軌道に乗った先生は、「経営者、管理者、医師」という3役をこなす必要が出てきます。

開業当初は慣れない仕事に多忙で、経営に余裕もないかと思います。

しかし、開業後、固定の患者さんも付いてくると、経営は安定してきますよね。

少し心にも余裕ができ、開業当初に考えていた、自分の理想としている医療を実現したいという思いも芽生えているのではないでしょうか?

そんなときに、経営・管理者としてのサポートを任せることができる、“事務長”という存在が大きな役割を果たしてくれます。

「事務長制を聞いたことはあるけれど、何がメリットなのだろう?」

「どんな役割をしてくれるのだろう?」と思いますよね。

そこで今回は、事務長制におけるメリット3つと、実際に導入しうまく機能させるためのポイントについてお話いたします。

事務長制におけるメリット3つ

「事務長制にメリットがある」と言われても、人件費がかかるために、導入するのをためらってしまう・・・という先生は多いのではないでしょうか。

いくら経営や管理、マネジメントを任せることができる人を雇ったとしても、人を雇うと、人件費がかかってしまいます。

ここでは事務長制を導入するにあたって、3つのメリットをご紹介します。

医療に専念する時間を作れる。

「いつかやろう・・・」と思ってとりあえず置いておいた、机の上に山積みになってしまっている仕事はありませんか?

クリニックの調整事や事務作業も、溜まっていく一方ですよね。

管理上の手続きや人事関連の書類整理、行政関連の仕事、事務作業など、

そのような溜まった仕事をまずは事務長にお任せしてしまえばいいのです。

他にも月次の経営データの集計や分析、税理士への提出書類、 スタッフの入退職時の手続きなど・・・・

院長の業務を事務長に移行することで、院長の負担が減り、医療に専念することができるようになります。

院長とスタッフの橋渡しになれる

経営側の院長には話しづらいことも、事務長になら話すことができるというスタッフは多いと言われています。

事務長を通してクリニック内のさまざまな情報を知ることができ、スタッフへの対応も先回りして行うことが可能になります。

つまり、スタッフのクリニックに対する不満軽減につながるのです。

また、院長の意見を第三者の事務長からスタッフに伝えてもらうことで、スタッフ自身の成長にもつながります。

院長とスタッフは、毎日顔を合わせて仕事をしているため、意見を感情的にぶつけてしまうこともあると思いますが、

そんなときに事務長がいると、第三者として院長の声をスタッフに客観的な立場から伝えてくれます。

院長から伝えづらいことを代わりに伝えてもらうなど、面談の際にクッションとして入ってもらうこともできるのです。

そうすることで、スタッフとのコミュニケーションが円滑となり、気持ちの良いクリニックを作ることができます。

このように事務面だけでなく、人間関係のサポート役を担ってくれることもあります。

非常勤事務長制をとることもできる

人件費を抑える対応策として、“非常勤事務長制”があります。

非常勤ではあっても、先生の激務から経営・管理者の部分をサポートしてくれるので、かなり時間に余裕は生まれます。

仕事量との兼ね合いもありますが、2週に1回ほどの割合で労務管理業務を中心に受け持ってもらうのです。

この「非常勤事務長制」なら人件費を最小限に抑えることができます。

事務長制を導入することで、今まで先生の時間を圧迫していた大量の事務作業の委託が可能になり、医療に専念する時間を増やすことができます。

人件費がかかることがネックにはなりますが、その分最も貴重な“時間”を手に入れることができます。

「でも導入したとしても、うまく事務長制を機能させることなんてできるのだろうか・・?」

と思いますよね?

新しい制度を導入することは不安がつきものです。

そこで、次に事務長制をうまく機能させるポイントについてお話いたします。

失敗しない事務長制導入方法

事務長制を導入し、せっかく採用したとしても、上手く機能せずにすぐに辞めてしまったり、クリニック内で孤立してしまっては、もったいないばかりか、クリニックの空気も悪くなってしまいます。

事務長は、院長の経営面のサポートや、その他クリニック内でのマネジメントなども行ってくれるので、院長の時間を捻出する大きな役割を担っています。

そんな事務長に、スタッフと馴染んでもらい、気持ちよく仕事をこなしてもらうための、事務長制をうまく機能させる方法についてお話します。

事務長の業務範囲を明確化する

事務長はクリニックの運営マネージャーでもあるため、業務範囲が多岐にわたります。

事務長は、どんな業務をどこまでやる人なのかということを明確にし、周りのスタッフに共有しておかないと、「あの人は何をする人なんだろう・・・?」とスタッフの間で疑問が出てしまいます。

すると、スタッフは事務長の役割がわからず、事務長の必要性を感じなくなり、「事務長は必要ない人なのではないか・・・」と思うようになってしまうのです。

これでは、クリニックの雰囲気も悪くなり、事務長も居づらくなってしまいますよね。

この状態を回避するために、事務長には明確に業務を伝えることが必要となります。

とあるクリニックでは、事務長制を導入したものの、なかなかスタッフと事務長が馴染めなかったため、

“事務長の業務範囲を明確にする”ことを行ったところ、スタッフと馴染むことができ、すぐに改善したそうです。

「事務長には、財務管理をお願いします。」

「経理業務をお願いします。」

というように、具体的に指示を出すことが大切です。

事務長のポジション取りを考える

事務長制失敗の理由でよくあげられるもので、「スタッフに事務長という立場を軽視させてしまったこと」があります。

詳しくお話します。

事務長に対して雑務を多く押し付けてしまい、管理職の仕事を任せないという状態になると、「この人は雑務を押し付けても良い人なのかな」と周りのスタッフが思い込んでしまう傾向にあります。

看護師や、臨床検査技師は、働いた分が診療報酬で評価され、クリニックの収入に直接反映されますが、事務長の仕事は直接的には反映されないため、事務長を軽視し、このようなことが起こってしまうのです。

そこでお勧めしたい方法が、「事務長のポジション取り」です。

何をするのかというと、「事務長がいるおかげで、スムーズに業務ができる」という意識をスタッフ全員に浸透させるのです。

具体的には、スタッフの前で事務長を叱らなかったり、事務長に何か言いたいことがあるときは1対1で伝えるようにしたりすることが重要です。

そのような細かな配慮から、事務長に対するスタッフの意識が変わっていきます。

あるクリニックでは、事務長制を導入するにあたり、下記のような対応をして、事務長のポジショニングを高めることに成功しています。

  1. 院長の考えは事務長が代弁して伝える
  2. スタッフの相談相手を事務長にする
  3. スタッフの前で事務長に注意しない
  4. 面接のときに、事務長に同席してもらう
  5. 事務長の意見も取り入れたスタッフ評価をつける

このような対応を心がけることで、スタッフが事務長を「なくてはならない存在」と認識することを助け、事務長制導入に成功したのです。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

今回は、事務長制におけるメリット3つと、事務長制をうまく導入する方法についてお話いたしました。

  1. 先生の医療に掛ける時間が増える
  2. クリニックとスタッフの橋渡しとなってもらえる
  3. 導入する際は、事務長のポジションを考えた対応を心がける

事務長制をとることで、院長の大幅な時間を捻出することができ、理想の医療の実現に近づけることができます。

事務長は決して事務だけを行うのではなく、クリニックの経営やマネジメントも行うことのできる重要なポジションです。

ぜひ、事務長制をうまく機能させ、先生が診療に専念できる環境を作り、クリニックの収入につなげていただければと思います。

ご相談・お問い合わせ

お問い合わせはこちらから

                       

こちらの記事を読んだあなたへのオススメ