はじめに

毎年10月ごろになりますと、勤務先の病院の事務員の方から

「年末調整をするので、この書類に記入して、生命保険とかの証明書を付けて○月〇日までに出してください。」

と言われたことはありませんか?

言われたとおりに書類を出したら、よくわからないけど、年末にお金をもらえて嬉しいという感覚の方も多いのではないでしょうか?

また、個人の開業医の先生は税理士から

「確定申告の必要書類を用意しておいてください」と言われ、

「税金をいくら払わなくてはならないのだろう」と不安に感じる方も多いと思います。

そんな先生たちに

・年末調整・確定申告とはどういう仕組みか?
・上手い節税方法は何があるのか?

について解説していきます。

ご参考になりますので、ご一読いただければと思います。

勤務医の年末調整とは?

まず前提として、勤務医、個人事業の開業医の場合には、毎年1月1日から12月31日までの1年間でいただいた収入に対して所得税という税金を払う必要があります。

所得税をわかりやすく言いますと、儲かった分に対して払う税金です。

所得(儲け)税ということです。

この所得税は基本的に自分で計算して、税務署に提出してください。

というのがこの国のルールになります。

しかし、病院に所属している勤務医の場合、自分で所得税を計算して、税務署に行くのは
とても大変ですよね。

そこで、勤務している病院が勤務医の先生の代わりに、所得税を計算することを年末調整と言います。

年末調整と呼ぶ理由は、1年間で毎月給与等から引かれた源泉所得税と、実際に1年間の給与等の合計金額から計算した所得税とで年末に調整するからです。

毎月の給与や、賞与から源泉所得税という税金を引かれているのを見たことがあると思います。

この源泉所得税をわかりやすく言いますと、所得税の前払いです。

給与や賞与の金額から、だいたいの金額を計算し、前払いしています。

前払いした所得税の合計と、年末に計算した収入に対する所得税とで、差額分を調整しています。

なぜ、毎年年末に税金が戻ってくるかと言いますと、毎月の給与や賞与から計算する源泉所得税は、生命保険料控除などは計算に入ってません。

そのため源泉所得税を多く支払っていることになります。

個人の開業医の確定申告とは?

個人の開業医の先生は、給与や賞与を頂いているわけではないので、年末調整ではなく、自分で所得税を計算する必要があります。

これを確定申告と言います。

1年間の医院の収入から必要経費を差し引いた金額が事業所得(事業による儲け)となり、この所得の金額に応じて税金を支払う必要があります。

つまり、年末調整と確定申告では所得税を計算する人が異なるだけで、計算方法については同じになります。

そこで、次はどのような流れで所得税が計算されているかについて説明します。

計算の仕組みを知ることで、上手い話に騙されることがなくなりますので、ご一読いただければと思います。

所得税の計算の流れ

所得税の計算の流れを簡単に説明すると、次のとおりになります。

① 収入形態ごとの所得(儲け)を計算し、合計する
② 所得控除の計算をする
③ 各所得の合計から所得控除の金額を差し引く
④ ③の金額に税率をかけて税金を計算する
⑤ 税額控除の金額を計算する
⑥ ④-⑤で支払う税金が確定する

このような流れになります。

それでは、①の所得の計算についてです。

まず基本となる考え方についてです。

収入から必要経費を差し引いた金額が、所得(儲け)となります。

収入金額-必要経費=所得

勤務医の給料とボーナスの収入は、給与所得(給料等をもらった儲け)と言います。

計算方法は、給料とボーナスの収入の合計額を計算します。

その合計金額から必要経費を引くのですが、給料等をもらうのに必要経費を計算するのは難しいため、通常は収入金額に対して以下の計算式に当てはめることで、必要経費を計算します。

給与等の収入金額
(給与所得の源泉徴収票の支払金額)
給与所得控除額
1,800,000円以下収入金額×40%
650,000円に満たない場合には650,000円
1,800,000円超 〜 3,600,000円以下収入金額×30%+180,000円
3,600,000円超 〜 6,600,000円以下収入金額×20%+540,000円
6,600,000円超  〜 10,000,000円以下収入金額×10%+1,200,000円
10,000,000円超 2,200,000円(上限)

引用元:※国税庁ホームページより

そして、給料とボーナスの合計から計算した必要経費を差し引くことで、給与所得の金額となります。

個人の開業医の場合は、実際にご自分で事業を営んでいるので事業所得(事業による儲け)を計算します。

診療報酬などの収入金額から医院を運営するために必要な経費を差し引いた金額が、事業所得の金額となります。

②の所得控除については、代表的な控除として以下のものがあります。

・生命保険料控除
・地震保険料控除
・社会保険料控除
・小規模企業共済掛金控除
・基礎控除
・配偶者控除
・扶養控除
・医療費控除
・寄付金控除

それぞれの所得控除を計算して合計し①の所得から差し引きます。

①から②を差し引いた金額を元に、以下の計算式を用いることで、1年間の所得税の金額を計算します。

所得税の速算表
課税される所得金額税率控除額
195万円以下5%0円
195万円を超え 330万円以下10%97,500円
330万円を超え 695万円以下20%427,500円
695万円を超え 900万円以下23%636,000円
900万円を超え 1,800万円以下33%1,536,000円
1,800万円を超え4,000万円以下40%2,796,000円
4,000万円超45% 4,796,000円

上記で計算した所得税額から、
税額控除や源泉所得税を差し引くことで、最終的に支払う所得税額が計算されます。

税額控除はたくさんの種類がありますが、
一般的によく使われるのが、住宅借入金等特別控除です。

購入した年度によって計算方法は変わります。

例えば、平成30年に購入した場合、住宅ローンの年末残高1%が10年間税額控除されます。

ここまでが税金の計算の基本的な考え方です。

細かい計算式や流れは覚えなくても問題ありません。

大事なことは、所得控除の金額そのまま税金が安くなるではなく、税額控除の金額がそのまま税金が安くなるという事がわかれば大丈夫です。

節税効果が高い方法は・・・

ここまでで、税金の計算の仕組みについてご説明させていただきました。

ここからはいよいよ節税の方法についてお伝えします。

一般的に個人でコントロールできるのは所得控除なので、所得控除を利用した節税方法についてお伝えします。

大事なのは、支払った金額分を全額控除できるかどうかです。

例えば、生命保険料控除の場合、いくら保険料を支払ったとしても上限が決められています。

死亡保険、医療・介護保険、個人年金保険で年間8万円以上支払えば、上限は各4万円です。

つまり、8万円以上払ったとしても、各4万円の所得控除しかできず、さらにそこから税率の計算になります。

仮に税率が20%の場合、4万円の20%は8,000円です。

ということは、8万円払っても、所得税が安くなる金額は8,000円です。

節税対策としてはあまり良いとは言えません。

そこでオススメなのが、支払った金額を全額所得控除できる小規模企業共済等掛金控除です。

具体的には、確定拠出年金の掛金は全額所得控除できます。

中小企業退職金共済も、同じように支払った金額を全額所得控除できます。

例えば、生命保険料控除と同じく、年間に8万円支払ったとします。

全額所得控除になりますので、先ほどと同じように計算しますと16,000円も税金が安くなります。

生命保険と比べると、節税効果は2倍になります。

さらに中小企業退職金共済や確定拠出年金は、退職金や年金の積立なので、資産形成にも役立てます。

節税効果もあり、将来の資産形成もできるので、一石二鳥です。

まとめとおまけ

税金の仕組みから所得控除まで説明させていただきました。

特に所得控除の仕組みは、毎年変わりますので要注目です。

今後も様々な所得控除の制度が誕生すると思いますが、キーポイントは、次の2点です。

・全額所得控除で節税効果が高いか
・支払った金額が資産として手元に残るか

この2点を知っていれば、どのような制度に対しても冷静に判断できます。

さっそく節税をしたいというのであれば、

勤務医の先生は確定拠出年金。

個人の開業医の先生は小規模企業共済、または中小企業退職金共済から検討してみてください。

それでも、税金が高く、もっと節税したい個人医院を経営する先生にとっておきの方法があります。

それは医療法人化をすることです。

医療法人化することで、今回ご紹介をした方法にプラスして、医療法人ならではの節税方法も活用できます。

医院経営を専門にする税理士の先生がいますので、医療法人化も考慮に入れた相談をすれば、一番節税効果が高く、医院経営にプラスになるアドバイスを頂けます。

ご興味があれば、一度問い合わせをしてみてください。

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