はじめに

開業医の先生はどうしても日々診療に追われ忙しいため、なかなか自分自身の人生設計には頭が回らないかもしれません。

だから、資産運用の必要性は感じていても「めんどくさい」「考える余裕がない」と思っている方が多いのではないでしょうか?

資産の大半を銀行に預けたまま、しかも貯金がいくらあるのかも把握していない。多忙なほど、このようなことに陥りがちです。

「もう良い、誰かに任せてしまえ」と誰かに運用を丸投げしても、結局大損して「なんでこんなところに投資したんだ」ということになりかねません。

今回は長期的に堅実にお金を増やし、将来お金に困らないようにするための基本的な考え方についてお伝えしたいと思います。

未だに多い「投資は怖い」という日本人の価値観

未だに「投資は怖い」「現金預金が一番安全だ」という日本人の価値観が強く根付いています。

家計金融資産の内訳を各国で比較すると、日本人の現金預金の内訳が50%を超えていることに対し、アメリカは約13%、ヨーロッパは約35%です。

アメリカ人が金融資産の50%近くを株式や投資信託で運用していることに対し、日本人は20%にも満たない数字です。

世界的にも、日本人はかなり貯蓄好きで、運用を避ける傾向にあるのがわかります。

加えて、比較的高収入の開業医の先生にとっては、取り急ぎ資産運用する必要性を感じていないのもあるでしょう。

実際に、開業医や勤務医の先生の8割強は普通預金を重視しており、投資信託や不動産投資に積極的な方は少数派というデータもあります。

しかし、ご存じのとおり、日本は世界でもトップクラスの超低金利国です。しかもインフレが進んでいけば、資産価値は目減りします。

実感がわかない方は、ハイパーインフレなどの極端な例を思い浮かべればイメージしやすいのではないでしょうか?

そこまで急速にインフレが悪化することはなかったとしても、たとえ現金であっても資産価値は増減します。

ですから、必ずしも現金を預金しておくことが堅実にお金を貯めることとは限らないのです。

失敗しない資産運用をするために必要な8つのお金の考え方

それでは、開業医の先生が失敗しない資産運用をするための、基本的な8つのお金の考え方についてお伝えします。

いつリタイアするか?それまでにいくら欲しいか?

先ほど、開業医や勤務医の先生の8割は資産運用に消極的と書きましたが、一方で約半数がリタイア後の家計に不安を覚えていると言われています。

資産運用をする際は出口戦略が非常に重要なので、いつリタイアするか、リタイア後にいくら欲しいかを考えるのはとても重要です。

とはいっても、簡単にリタイア時期を決められない先生も多いでしょう。

しかし、リタイアしたい時期に、いつでもリタイアできるように資産を築いておくという、リタイアの環境づくりはできると思います。

また、リタイア後の家計に不安を覚えつつも、ではリタイア時にいくらお金があれば良いかわからないという方もいるでしょう。

自分のやりたいこともやりながら、経済的な不安から解放され、悠々自適なセカンドライフを送る。

言うことは簡単ですが、「自分のやりたいこと」「悠々自適なセカンドライフ」の解釈は人によって違います。

自分が将来クリニックをどうしたいか、子供の独立時期、住宅ローンなどの借入金などの状況によっても変わってきます。

そこで、リタイア時にお金がいくらあれば良いかわからない方は、自分にとっての理想のセカンドライフを考えてみましょう。

できればファイナンシャルプランナーなどに相談して、シミュレーションしてみると良いと思います。

そうすると、自分がリタイア時期までにいくら必要か、そのために月々の支出をいくら減らし、そのうちいくら運用に充てるか、といったことが見えてきます。

支出が多ければ、月々貯蓄する額を決めておく

「リタイアを望む時期までにいくら必要か」ということが見えてくれば、「月々いくら貯めていけば良いか」というのが見えてきます。

じつは開業医の先生でも、生活レベルを上げたり、住宅ローンや養育費などで、収入の割にはそんなに貯蓄額が多くないことがあります。

なかなか貯蓄できないということは、月々の貯蓄額を決めていない可能性が高いです。

そもそも貯蓄できなければタネ銭はないわけですから投資はできません。

月々いくら貯蓄していけば良いかを決め(目安は収入の2割)、それに合わせて支出を抑えていきましょう。

積立投資(国内、海外含む)や変額保険などの投資性のある保険商品によって、強制的に貯蓄するのも有効です。

資産クラスや通貨を分散する

よく投資の世界では「卵は一つのカゴに盛るな」という言葉があります。

これは特定の金融商品だけに一括で巨額に投資するのではなく、複数の金融商品に投資をしてリスクを分散させようということです。

プロのファンドマネージャーが運用している海外の投資案件など、かなりリターンができそうな案件があります。

しかし、こういうリターンが得られる投資案件であっても、一括で巨額に投資するのはやめて、少しずつ複数の金融商品に投資しましょう。

考えてみれば当たり前の話かもしれませんが、先に書いたように、多くの日本人は現金預金に頼っています。

これは超低金利の金融商品に、資産を一括で投資しているのと同じことです。

理想は、財産三分法といって、普通預金、有価証券、不動産など資産クラスを分散する考え方で投資していくことです。

※決して複数の証券会社が扱っている財産三分法ファンドという毎月分配型投資信託を勧めているわけではありません。

また、分散するのは資産クラスだけではありません。米ドルなど通貨も分散していくと良いでしょう。

有価証券ならオフショア投資もやってみる、不動産なら海外不動産も持とう、というのも良いと思います。

米ドルとリスクヘッジしたいなら、相関関係の強い金(Gold)の保有も検討しても良いでしょう。ただし売買手数料には注意が必要です。

積立投資で時間分散を図る

リスクヘッジは資産クラスや通貨だけではありません。時間的な分散を図る方法があります。

それが月々定額のお金を積み立てていく積立投資です。

株数や口数といった一定の量を投資するのではなく、一定の金額で投資するのがポイントです。

これは有名なドルコスト平均法と言われる方法です。価格が高いときは購入数量が少なく、安い時には多くなるため、単純な数量分割に比べて有利になるという考えです。

例えばA社の株を月々10万円ずつ購入するとします。1ヶ月目は株価が10,000円だから10株買います。2ヶ月目は5,000円まで下落して20株買いました。しかし3ヶ月目は8,000円まで持ち直し12.5株買いました。

そのときの購入株数は42.5株。合計投資額は30万円ですが、3ヶ月目は8,000円なので8,000円×42.5株=34万円。最初に投資を開始した時期より株価が下がっているにも関わらず、4万円のリターンがあるのです。

このように、下げ相場でも安定的に利益が見込めるのが特徴ですが、逆に上げ相場では一括投資よりは不利になります。

ただ基本的に市場は常に右肩上がりではなく、多少乱高下するので、積立投資のほうが一喜一憂せずに済みます。

流動性リスクの高い不動産投資の注意点

開業医の先生は比較的銀行からの融資も受けやすく、不動産投資に有利な立場と言えます。

先に書いたように、不動産投資をする際は目的に応じて、国内だけでなく海外不動産も含めるのも良いでしょう。

成熟したハワイやアメリカ不動産投資ではインカムゲイン狙いですが、東南アジアの不動産はキャピタルゲイン狙いだったりします。

しかし、最近は東南アジアの各国も成熟してきており、以前よりはキャピタルゲインを狙える物件は少なくなっている印象です。

また、キャピタルゲインを狙う場合は、キャピタルゲイン課税についても注意が必要です。

所有期間5年以下の短期譲渡所得の場合は39.63%、5年超の長期譲渡所得でも20.315%です。

不動産投資は比較的市場の予想がしやすいところがメリットですが、海外不動産ですと政治的な理由で状況が一気に変わることもあるので要注意です。

あと国内外問わず不動産投資で気をつけたいのは、流動性リスクゆえのタイミングです。

例えばこれから開業を検討している勤務医の先生であれば、これから開業資金が必要になるときに、不動産投資に着手するのはお勧めしません。

もし不動産投資をするにしても、将来の開業場所として確保する目的で所有するなら良いかもしれません。

ただ、その場合はもし開業を断念する場合でも賃貸や売却で十分収入が得られるかどうか、慎重に検討するようにしましょう。

医療法人化を検討中の開業医の先生で、養育費等これから大きな支出が待っている場合も不動産投資は慎重になった方が良いでしょう。

医療法人化することで、役員報酬以外のお金を自由に出し入れできなくなるためです。

投資詐欺に注意する

未だに投資案件は詐欺話が多く、「あっという間に投資額の9割を溶かしてしまった」という話があとを絶ちません。

かつて多かったのはFXの自動売買(EA)で月利6%とかいうタイプの投資詐欺です。

もしかしたら本当に詐欺だったのか、本当に運用に失敗しただけかもしれませんが、月利6%といえば、1年で資産が倍になる利回りです。ハイリスク・ハイリターンも良いところです。

実際にこのようなタイプの案件で、まともに利益が得られたという話はあまり聞きません。

あと、かつて多かったのが未公開株詐欺や事業出資詐欺のようなタイプです。

未公開株や証券会社を通してなければインサイダー取引になりますし、事業出資詐欺なら、なぜ銀行から借りないのか?という話になります。

ちょっと考えればわかるようなことですから、少しでも疑問に感じたら手は出さないのが無難です。

金融商品を勧められたときに質問すること

証券会社や保険会社の営業の人に、金融商品を勧められた場合、必ずしてほしい質問があります。

「あなたは同じ金融商品に投資していますか?」

もしNoであれば、その金融商品を買うのはいったん躊躇したほうが良いでしょう。

本当に良いと思って勧めているわけではなく、自分の利益目的で売っている可能性が高いためです。

投資は長い目で見る必要があります。本当にその人が信用できるかどうかを見極めることが大切です。

プライベートバンクの注意点

もし億単位の資産がある先生であれば、プライベートバンクの口座開設を検討しても良いでしょう。

プライベートバンクは富裕層を対象に、銀行・証券・保険・不動産など、オーダーメイドで資産管理や運用を提供する金融機関です。

ただ、プライベートバンクに資産を預ければ安心というわけではありません。

最近のプライベートバンクは海外だけではなく日本の金融機関でも本格化しています。しかし国内は手数料率が高い金融商品を販売する傾向にあるなど、多くの課題を抱えています。

また海外だとルールがよく変わったり、政府のコントロールが厳しかったりします。また自由度がかなり低いプライベートバンクもあります。

なるべく伝統的なプライベートバンクに口座を開くのが良いのですが、どれを選ぶのかは相性があります。

専門家に相談しながら、複数のプライベートバンクから選ぶのが良いでしょう。

もちろん、専門家は直接やりとりができて、信頼関係を築いている人を選ぶのが基本です。

特に海外にいる日本人は要注意です。基本的には海外在住のプライベートバンカーが日本に来て営業することは金融商品取引法で禁じられています。

セミナーを行うために来日することもありますが、正直グレーゾーンと言って良いでしょう。

もっとも安全性が高いのは、金融庁に登録している国内在住の運用会社で、プライベートバンクと提携している運用委託先です。

これはプライベートバンクに限らず海外投資全般で同じことが言えますが、専門家と接触する際は、このような前提条件は抑えておきましょう。

【まとめ】堅実な資産運用で理想のセカンドライフを送るために

以上、開業医の先生が資産運用で失敗しないための8つのポイントをお伝えしました。

どうしても日本人は「投資は怖い」と思って資産運用に消極的だったりします。しかし堅実に長期的にお金を増やすことが目的であれば、逆にインフレリスク等を避けることができます。

ただ気をつけたいことは、投資案件の選び方です。一見利回りが期待できる金融商品にすぐに飛びつくのはもちろんタブーです。

複数の情報を得て、専門家も含めて慎重に選ぶようにしましょう。

ご相談・お問い合わせ

お問い合わせはこちらから

                       

こちらの記事を読んだあなたへのオススメ