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はじめに

新型コロナウィルス感染拡大によって、医療機関は厳しい状況に追い込まれています。

しかし、厳しい状況と言っても医療機関の場合は大きく分けて2つのパターンがあります。

1つは大きく報道されているコロナ最前線で働く病院。

もう1つが、コロナとは直接関係のない病院やクリニック。コロナ最前線の病院とは対象的に、コロナの影響で大幅な患者減、売上減に悩んでいます。

これは飲食店やパーソナルジム、ヨガスタジオなど他の店舗ビジネスと同じ現象であると見て良いでしょう。

そこで、今回は売上が減った医院・クリニックも該当するコロナ関連の給付金・融資措置について紹介していきます。

持続化給付金

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給付金と言えば持続化給付金。医院・クリニックに限らず、ほぼ全業種の個人事業主・中小企業に該当するため、大きく報道されている給付金です。

ここでは対象、給付金額、必要書類などについて簡単に紹介し、新規開業や承継開業の特例についてもお伝えします。

対象と給付金額

1年のうち、1ヶ月でも売上(例えば診療報酬や自由診療)が前年同月比で50%以上減っている場合は給付金の対象になります。

個人開業であれば最大100万円、医療法人であれば200万円の給付金が支給され、もちろん返済の必要がありません。

必要書類

①2019年度の確定申告書類
※法人の場合は法人税申告書一式。決算が終わっていない場合は2018年度1期分

②2020年分の対象月の売上台帳

③給付金を振り込む銀行口座の通帳の写し
※金融機関名、金融機関コード、支店名、支店コード、種別(普通・当座)、口座番号、口座名義人がわかるもの

④本人確認書類(運転免許証など)

2019年1~12月までの間に新規開業した場合

2019年に新規開業したばかりの先生の場合は、開業・廃業等届出書を提出する場合に限り、新規開業特例が適用されます。

2020年のどれか1ヶ月でも2019年の月平均の事業収入より50%以上減少している場合、給付金が支給されます。

2019年2020年
1~9月10月11月12月1月2月3月
20015011040032050

上の表のように2019年10月に開業したケースの場合、10~12月の平均月収は(200+150+110)÷3=120万円であるため、50%以上売上減となっている2020年3月が対象月となります。

2020年に承継開業した場合

最近M&Aで承継開業するケースも増えていますが、2020年に承継開業した場合も給付金の対象になることがあります。これを事業承継特例と言います。

対象月の月間事業収入が前年同月比の承継前のクリニックの事業収入から50%以上減少していれば、給付金対象となります。

2019年
院長X
1月2月3月4月5月6月7月8月9月10月11月12月
200200200200200200200200200200200200
2020年
院長X院長Y
1月2月3月4月5月6月7月8月9月10月11月12月
18015080120290150230180120260120120

例えば上の表のように2020年3月に開業した先生であれば、2020年3月以降、前年同月比で50%減であれば対象月となり得ます。(上の表であれば2020年3月が対象月)

2019年に承継開業した場合は事業承継特例ではなく、先の新規開業特例の対象となります。

新型コロナウイルス感染症特別貸付(日本政策金融公庫)

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ここからは融資措置の話になります。まずは新型コロナウィルス感染症特別貸付です。

対象

新型コロナウイルス感染症の影響を受け、一時的な業況悪化を来している方であって、次の①か②のいずれかに該当し、かつ中長期的に業況が回復し、発展することが見込まれる場合(個人開業医、医療法人両方含む)。

①最近1ヶ月の売上高が前年または前々年の同期と比較して5%以上減少している方

②業歴3ヶ月以上1年1ヶ月未満の場合等は、最近1ヶ月の売上高が次のいずれかと比較して5%以上減少している方
(1)過去3ヶ月(最近1ヶ月を含みます。)の平均売上高
(2)令和元年12月の売上高
(3)令和元年10月から12月の平均売上高

資金の使い道

新型コロナウイルス感染症の影響に伴う社会的要因等により必要とする設備資金および運転資金が対象となります。

使い道によって返済期間が異なります。

融資限度額や利率

融資限度額は国民生活事業で6,000万円、中小企業事業で3億円であり、他に日本政策金融公庫からの借り入れがあったとしても、別枠で融資が受けられます。また、無担保です。

利子については3,000万円を限度として融資後3年目までは基準利率-0.9%、4年目以降は基準利率が適用されます。

ただし、一部の対象者については、基準利率-0.9%の部分に対して別途決定される実施機関から利子補給され、当初3年間が実質無利子となります。

返済期間

①設備資金 20年以内(うち据置期間5年以内)
②運転資金 15年以内(うち据置期間5年以内)

経営環境変化対応資金(セーフティネット保証4号・5号)(日本政策金融公庫)

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社会的、経済的環境の変化などにより、一時的に業況の悪化を来しているみなさまが経営基盤の強化を図るための融資措置です。

対象

社会的、経済的環境の変化等外的要因により、一時的に売上の減少等業況悪化をきたしているが、中長期的にはその業況が回復し発展することが見込まれ、次の①~⑧のいずれかに該当している場合。

①最近の決算期における売上高が前期または前々期に比し5%以上減少している

②最近3ヶ月の売上高が前年同期または前々年同期に比し5%以上減少しており、かつ、今後も売上減少が見込まれる

③最近の決算期における純利益額または売上高経常利益率が前期または前々期に比し悪化している

④最近の取引条件が回収条件の長期化または支払条件の短縮化等により、0.1ヶ月以上悪化している

⑤社会的な要因による一時的な業況悪化により資金繰りに著しい支障を来している方または来すおそれのある

⑥最近の決算期において、赤字幅が縮小したものの税引前損益または経常損益で損失を生じている

⑦前期の決算期において、税引前損益または経常損益で損失を生じており、最近の決算期において、利益が増加したものの利益準備金及び任意積立金等の合計額を上回る繰越欠損金を有している

⑧前期の決算期において、税引前損益または経常損益で損失を生じており、最近の決算期において、利益が増加したものの債務償還年数が15年以上である

資金の使い道

社会的な要因などにより企業維持上緊急に必要な設備資金及び経営基盤の強化を図るために必要な長期運転資金。

融資限度額や利率

融資限度額は国民生活事業で4,800万円、中小企業事業で7億2,000万円(無担保)です。

利率については、基準利率が適用されますが、長期運転資金に限り、上限3%となります。

返済期間

設備資金 15年以内(うち据置期間3年以内)
運転資金 8年以内(うち据置期間3年以内)

危機関連保証

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全国の中小企業・小規模事業者の資金繰りが逼迫していることを踏まえ、全国・全業種の事業者を対象に「危機関連保証」(100%保証)とする措置です。

売上高が前年同月比5%以上減少する中小企業・小規模事業者に対して、更なる別枠(2.8億円)を措置します。

商工中金による危機対応融資

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商工組合中央金庫が、新型コロナウイルス感染症による影響を受け業況が悪化した事業者に対し、危機対応融資による資金繰り支援を実施します。

対象

新型コロナウイルス感染症の影響を受けて一時的な業況悪化を来たし、次の①または②のいずれかに該当している場合。

①最近1ヶ月の売上高が前年又は前々年の同期と比較して5%以上減少した

②業歴3ヶ月以上1年1ヶ月未満の場合、店舗増加や合併、業種の転換など、売上増加に直結する設備や雇用等の拡大している企業(ベンチャー・スタートアップ企業を含む。)など、前年(前々年)同期と単純に比較できない場合等は、最近1ヶ月の売上高が、次のいずれかと比較して5%以上減少している
(1)過去3ヶ月(最近1ヶ月を含む)の平均売上高
(2)令和元年12月の売上高
(3)令和元年10月~12月の売上高平均額

資金の使い道

運転資金、設備資金

融資限度額や利率
融資限度額は3億円(無担保)です。

貸付金利については、
①当初3年間基準金利―0.9%
②4年目以降基準金利1.11%→0.21%(利下げ限度額:1億円)

返済期間

設備資金 20年以内(うち据置期間5年以内)
運転資金 15年以内(うち据置期間5年以内)

民間金融機関における実質無利子・無担保融資

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都道府県等による制度融資を活用して、民間金融機関にも実質無利子・無担保・据置最大5年の融資を拡大。さらに信用保証の保証料を半額またはゼロにするものです。

対象

国が補助を行う都道府県等による制度融資において、上記セーフティネット保証4号・5号、危機関連保証のいずれかを利用した場合に、以下の要件を満たせば、保証料・利子の減免を行います。

売上高5%以上減売上高15%以上減
個人事業主(個人開業医)保証料ゼロ・金利ゼロ保証料ゼロ・金利ゼロ
小・中規模事業者(医療法人) 保証料1/2保証料ゼロ・金利ゼロ

 

融資上限額・補助期間

融資上限額は3000万円(無担保)です。

補助期間については、保証料は全融資期間、利子補助は当初3年間となります。

融資期間

10年以内(うち据置期間最大5年)

医療貸付事業(独立行政法人福祉医療機構)

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医療機関や介護事業に特化した融資措置です。

新型コロナウイルス感染によって事業停止などになった医療関係施設に対し、優遇融資を実施しています。

長期運転資金の貸し付け利率の引き下げ実施、既往貸付の返済猶予の相談に対応しています。

融資を利用できる具体例

・施設利用者や従業員が新型コロナウイルスに感染したため、やむなく営業を停止した場合
・施設利用者や従業員が新型コロナウイルスに感染したことに伴い、事業運営を縮小した場合
・新型コロナウイルス感染症の防止のため、自治体などからの要請を受けて、休業した場合

新規貸付の融資限度額や利率

病院:7億2000万円(うち無担保貸付3億円)
老健・介護医療院:1億円(無担保)
診療所・助産所・医療従事者養成施設指定訪問看護事業:4000万円(4000万円)

貸付利率は次の通りです。
①開始後5年間は1億円まで無利子、1億円を超える部分は0.2%
②6年目以降は0.2%

既往貸付

当面6ヶ月間の元利金、事業者の状況に応じて更に3年間(最長3年6ヶ月)の元利金のお支払いについて、返済猶予があり得ます。

【まとめ】給付金や融資措置のフル活用を

以上、医院・クリニックも対象となる給付金や融資措置についてお伝えしました。

条件に当てはまるものがあれば、フル活用して困難な状況を乗り越えるようにしましょう。

なお、さらにフル活用したいのが、コロナ関連の助成金になりますが、こちらは以下の記事で詳しく書かれていますので、併せてご覧ください。

【関連記事】【クリニックのコロナ対策】休業補償は支払う? 支払わない?

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この記事の執筆・監修はこの人!
プロフィール
笠浪 真

税理士法人テラス 代表税理士
税理士・行政書士
MBA | 慶應義塾大学大学院 医療マネジメント専攻 修士号

1978年生まれ。京都府出身。藤沢市在住。大学卒業後、大手会計事務所・法律事務所等にて10年勤務。税務・法務・労務の知識とノウハウを習得して、平成23年に独立開業。
現在、総勢42人(R2年4月1日現在)のスタッフを抱え、クライアント数は法人・個人を含め約300社。
息子が交通事故に遭遇した際に、医師のおかげで一命をとりとめたことをきっかけに、今度は自分が医療業界へ恩返ししたいという思いに至る。

医院開業・医院経営・スタッフ採用・医療法人化・税務調査・事業承継などこれまでの相談件数は2,000件を超える。その豊富な事例とノウハウを問題解決パターンごとに分類し、クライアントに提供するだけでなく、オウンドメディア『開業医の教科書®︎』にて一般にも公開する。

医院の売上を増やすだけでなく、節税、労務などあらゆる経営課題を解決する。全てをワンストップで一任できる安心感から、医師からの紹介が絶えない。病院で息子の命を助けてもらったからこそ「ひとつでも多くの医院を永続的に繁栄させること」を使命とし、開業医の院長の経営参謀として活動している。

                       

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