はじめに

皮膚科の開業医の年収はおよそ2600万円程度と言われています(自由診療の美容皮膚科は除く)。

開業資金も一般皮膚科は2000万円程度・美容皮膚科ですと4000万円から5000万円程度かかりますので、借入金の返済に追われる可能性も増えてきそうです。

皮膚科は全国的に散在していますので、開業医として勝ち抜くには厳しいものがあるといえます。

勤務医の年収との比較

皮膚科の勤務医の年収は1300万円から1400万円程度となっています。20代など若い方の多くは年収1000万円以下の方が多いですが、30代の方だと600万円以下、1000万円以下、1400万円以下、2000万以下の方に均等に分かれます。40代になってくると多くの方は1000万円以上になります。50代の方は1400万円以上の方が半数以上になります。

地域別の勤務医の年収

地域ごとの小児科の年収は中四国九州地方でかなり高くなっています。この地域では特に皮膚科が必要なのかもしれません。

次に東京を中心とした関東地方も高くなっています。ただ都心部には美容皮膚科が多い現状があります。皮膚科の中で美容皮膚科を中心に行っているところはさほど多くはありませんが、その美容皮膚科が年収を押し上げてしまっている可能性もあります。

一方北海道・東北地方や東海北陸地方などでは年収600万円・1000万円以下の方もかなりいます。この地域は比較的皮膚科のニーズが足りているかもしれません。

また関西地方も4割以上の方が年収1000万円以下となっているので、平均的にみると年収の高い地域ではありません。同じく都市部のウエイトの多い関東地方と比較しても、勤務医の年収がだいぶ下がるのも特徴だといえます。

男女ごとの皮膚科の勤務医の年収

皮膚科は女医が4割超と他の科よりも多くなっています。そこで男女別の皮膚科の勤務医の年収も比較していきましょう。

年収は男性の方が圧倒的に高くなっており、男性は年収1000万円以下の方が20%弱ほど、年収600万円以下の方は数えるほどしかいません。年収1400万円から2000万円の方が半数ほどといます。

一方女性の場合は年収600万円以下の方が25%超と男性に比べてかなり多くなっています。ただ1400万円以上の方も35%超ほどいますので、高収入の女性医師も一定数はいます。

ただ女性の場合は若くして結婚や出産などで医者を辞めてしまったたり、休職する方も多くなっています。それらも女性医師の年収が低くなっている原因の一つでしょう。

施設ごとの皮膚科の勤務医の年収

施設ごとの皮膚科の勤務医の年収は、大学病院などの大病院や、一般病院、クリニックなどで異なっています。

大学病院などは年収600万円以下の方も15%ほどいます。一方1400万円以上の方が半数以上いますが、2000万円クラスの高所得者層はほとんどいません。

一般病院は1000万円以下、1400万円以下、2000万円以下、2000万以上が1:3:3:3程度となっています。

クリニックでは年収2000万円以下の層が40%超となっています。また1000万円以下の方と2000万円以上の方が2割弱となっています。

皮膚科の場合はステイタスだけで考えるなら大学病院が良さそうですが、年収だけを考えるのであれば一般病院などの規模の大きくない病院に勤める道もあると言えるでしょう。

皮膚科の都道府県別の開業医の年収

都道府県別の開業医の年収自体のデータがないので現在調査中です。

ただ医師全体の年収で見ると岩手や宮城などの東北地方が高く、富山や福井などの北陸地方で低めになっています。医師の需要度や医師の平均年齢が高い地域では、比較的年収が高い傾向にあるようです。

サラリーマンや自営業者などの年収の高い東京・大阪・神奈川・愛知といった地域でも決して高い方ではありません。「一般人が稼げる地域=医師が稼げる地域」という構図は基本的に当てはまりません。

ただ皮膚科の場合は他の科と異なって、東北地方の年収が低めで関東地方の年収は高めになっています。

全国的に見ていくと皮膚科の開業医の年収は大きな差はないようです。

開業には3000万円程度はかかりそう


開業医として病院の勤務医から医院を開業するとなると、少なく見積もっても2000万円程度はかかりそうです。美容皮膚科などを開業するとなると4~5000万円程度の開業資金を覚悟する必要がありそうです。

開業するとなると土地や建物などの箱物が必要になります。また検査器具や診察用具などの医療機器一式もそろえなければなりません。

そこに医師をサポートする看護師などの専門家も必要になります。それでも手が足りずに家族などに受付や会計などの事務を手伝ってもらう必要が出てくるかもしれません。備品だけでなく人的な面での整備をする必要も出てきますので、労務のコスト面もしっかりと考えておく必要があります。

そして開業コンサルタントなどに開業サポートを頼むとさらに500万円から1000万円程度の資金がかかります。いくらお金があっても足りないかなと思われます。

開業医になると経営者になります。最初は銀行からの借り入れも必要になります。ある程度医院が稼げるようになってもスタッフの給料と借り入れの返済で、開業医自身の報酬がほとんど手元に残らない可能性も高くなります。

勤務医時代と変わらず忙しいにもかかわらず、年収は勤務医時代の数分の1程度もしくはそれ以下になってしまう方も多くいるのではないかと思われます。

実際に都市部の開業医は、開業後2年から数年で医院をたたんでもう一度勤務医に戻ってしまう方も多くいます。

開業をするにはかなりの決心と覚悟が必要になります。

集患ができるかが重要なポイント

皮膚科は患者1人当たりの単価が最も低い科なので、集患ができるかどうかが重要なポイントになります。

開業のために多額の借金をしている方も多く、その返済も兼ねてということになると、1日の患者数をまず50名・年収1000万円程度に乗せる必要があります。この年収1000万円が経営をしていく上でのポイントとなり、返済をしても700万~800万円程度は残りますので、一般的な生活資金としては問題ありません。

ただ皮膚科に限らず、開業医の方の多くは家族を持っています。お子さんの教育費もかかり、家族の方もそれなりの生活を望んでいるかもしれません。そうなると年収1000万円程度では実際には家計に余裕はなさそうです。勤務医時代よりも年収の下がる医師も多くおり、「開業=稼げる」という図式は必ずしも正しいとはいえない状況です。

皮膚科は全国に平均的にありますのでどの地域で開業するかも大事になりますが、駅前などの人の呼びやすいところ・アクセスが良いところに院を構えられるかがポイントになります。また人気のある病院だと予約以外の時間待ちで患者からのクレームなども出てきますので、その辺りの対応をどうするかも重要となるでしょう。

皮膚科は、女性や子供の患者さんも多いため、より一層きめ細やかな対応も求められます。昨今ますます増加するアレルギー疾患に対応できるかどうかも大切です。

医師・開業医として基本的なことをしっかりとできるか。そこが皮膚科の開業医として上手く行くかのポイントとなるでしょう。

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プロフィール
笠浪 真

税理士法人テラス 代表税理士
税理士・行政書士
MBA | 慶應義塾大学大学院 医療マネジメント専攻 修士号

1978年生まれ。京都府出身。藤沢市在住。大学卒業後、大手会計事務所・法律事務所等にて10年勤務。税務・法務・労務の知識とノウハウを習得して、平成23年に独立開業。
現在、総勢42人(R2年4月1日現在)のスタッフを抱え、クライアント数は法人・個人を含め約300社。
息子が交通事故に遭遇した際に、医師のおかげで一命をとりとめたことをきっかけに、今度は自分が医療業界へ恩返ししたいという思いに至る。

医院開業・医院経営・スタッフ採用・医療法人化・税務調査・事業承継などこれまでの相談件数は2,000件を超える。その豊富な事例とノウハウを問題解決パターンごとに分類し、クライアントに提供するだけでなく、オウンドメディア『開業医の教科書®︎』にて一般にも公開する。

医院の売上を増やすだけでなく、節税、労務などあらゆる経営課題を解決する。全てをワンストップで一任できる安心感から、医師からの紹介が絶えない。病院で息子の命を助けてもらったからこそ「ひとつでも多くの医院を永続的に繁栄させること」を使命とし、開業医の院長の経営参謀として活動している。

                       

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