広島大学医学部の歴史・カリキュラム・研修制度などの紹介!開業医の方も全国で活躍しています

公開日:2021年4月5日
更新日:2024年3月18日

はじめに

広島大学医学部では6年間という長い期間で学んでいきます。医学科の目標は医師として社会に貢献できる人材の育成です。そのためにはまず広範な医学的知識を系統的に修得していきます。様々な症状を的確に分析・評価して問題を取り除いていく技能を身に着けていきます。

さらに医学や医療の研究に取り組んでいく柔軟な発想や創造性を養っていきます。医療に携わる行政や法制度も学んでいきます。さらに国際化や情報化に対応できる能力や豊かな人間性と幅広い教養を身に着けていくために多様な学問や文化にも触れていきます。医師として今後必要で取るべき態度を涵養していきます。

出典:広島大学医学部HP

所在地

広島大学医学部の所在地は広島県広島市南区霞1-2-3にあります。駅から南に2キロほどです。徒歩だと25分程度かかりそうなのでバスを使ってもいいかもしれません。バスだと10数分程度となっています。比治山公園なども近くにあって都市部にも近くアクセスはまずまずといえます。

出典:広島大学医学部HP

入学金・学費

広島大学医学部の学費を紹介します。

1年次は入学金は282000円、授業料は535800円で合計が81万7800円

2年次から6年次は授業料が535800円×5年間=267万9000円

合計が81万7800円+267万9000円=349万6800円

国立大学医学部の学費は基本的にこの金額になります。勉強内容も充実していますので親にとっては本当に助かるのではないかと思われます。

出典:医学部受験マニュアルHP

偏差値

65.0

国立大学医学部の中で平均より少し上という程度です。ただ対象が国立医学部なので難関であることに変わりはありません。岡山大学医学部山口大学医学部愛媛大学医学部大阪市立大学医学部などが併願候補になりそうです。

出典:河合塾医進塾HP

倍率

広島大学医学部の倍率を紹介します。

20年度:前期4.4倍、センター課す広島枠2.8倍、AO+センター枠4.0倍、19年度は同5.8倍、3.1倍、5.0倍。

かなり高めの倍率になっています。人気のある国立医学部なので倍率は必然的に高くなります。

出典:旺文社HP

医師国家試験合格率

2020年:全体87.8%(全国76位)新卒92.5%(全国72位タイ)既卒57.9%(全国62位)
2019年:全体86.5%(全国65位)新卒88.7%(全国67位タイ)既卒55.6%(全国50位タイ)
2018年:全体92.0%(全国37位)新卒94.3%(全国48位)既卒62.5%(全国44位)
2017年:全体93.9%(全国17位タイ)新卒96.7%(全国11位)既卒63.6%(全国27位タイ)
2016年:全体92.6%(全国37位)新卒96.5%(全国23位)既卒28.6%(全国73位タイ)

全体的には平均を少し下回る程度でしょうか。ただ19・20年が60位台以下と苦しんでいるのが気になります。新卒者の合格率の低下がそのまま数字に表れています。ほとんどの大学が合格率を上げた20年も87%台後半と伸びていません。生徒のポテンシャルは高いと思いますのでまず18年くらいの成績に戻ってほしいです。

出典:医学部受験ラボHP

歴史

広島大学医学部の歴史を紹介します。

昭和20年2月:広島県立医学専門学校の設立が認可
昭和20年3月:広島県立医学専門学校を開校
昭和20年4月:県立広島病院を広島県立医学専門学校附属医院と名称を変更
昭和20年8月:度重なる空襲と原子爆弾の投下で学校の校舎及び病院が消失
昭和20年12月:学校と附属医院を広島県賀茂郡安浦町旧安浦海兵団跡に移転
昭和21年11月:呉市立市民病院及び呉市立呉病院を委譲することで決定
昭和22年2月:呉市立市民病院及び呉市立呉病院を本校附属医院として県営に移管する
昭和22年6月:広島県立医科大学設立許可及び予科開設が認可
昭和23年3月:広島県立医科大学の開設が認可、4月に付属病院と共に開校
昭和27年4月:新制の広島医科大学と附属病院が開校と開院
昭和28年8月:広島医科大学は広島大学医学部に併合される
昭和38年4月:医学科の新年度の定員を60名にする
昭和41年4月:入学定員を20名増やして80名にする
昭和42年12月:医学部解剖実習室が完成
昭和43年4月:入学定員を20名増やして100名にする
昭和46年3月:医学部基礎研究棟が完成
昭和49年4月:入学定員を20名増やして120名にする
昭和48年2月:医学部臨床研究棟が完成
平成元年4月:入学定員を20名減らして100名にする
平成6年2月:医学部RI研究棟が完成
平成16年4月:国立大学法人広島大学が開校
平成19年2月:旧基礎研究棟の耐震改修工事が完成
平成21年4月:入学定員を10名増やして110名にする
平成22年4月:入学定員を7名増やして117名にする
平成25年4月:入学定員を3名増やして120名にする
平成27年6月:広島大学医学部の創立70周年記念式典を行う

出典:広島大学医学部HP

教育概要

広島大学医学部では6年間の学習の中で知識・技能だけでなく医師にとって大事な人格も磨いていきます。

1年次に教養科目を学んでいくことで充実した学生生活が送れるようにしていきます。2年次にはチュートリアル教育という自らで問題を解決する能力を養っていきます。3年次はチュートリアル教育と通常の授業のリンクをしていきます。さらに医学英語や社会医学なども学んでいきます。4年次は臨床医学及び臨床実習入門などを行っていきます。5・6年次の前期で主に臨床実習を行います。6年次の秋には早くも卒業試験を行います。その後は年明けの医師国家試験に備えます。国家試験に合格できるといよいよ卒後研修が始まります。さらに救急車同上実習などの実践に即した実習も行います。

出典:広島大学医学部HP

カリキュラム

広島大学医学部のカリキュラムを紹介します。夏休みまでが前期、春休みまでが後期になります。

1年次は英語などの語学と教養科目を中心に学びます。また医療コミュニケーション・医療行動学などの関連科目や脳神経医学などの専門医学も一部学びます。その他教養ゼミや早期体験実習なども夏休みなどを中心に行っていきます。

2年次は人体構造学、脳神経医学Ⅱ、細胞組織機能学、生体反応学、病因病態学、平和科目などを学んでいきます。

3年次は器官やシステム病態制御学Ⅰ・Ⅱ、脳神経医学Ⅱ、全身性疾患制御学、臨床病理学、医学英語、社会学などを学んでいきます。

4年次は医学研究実習、症候診断及び治療学Ⅰ・Ⅱ、臨床実習入門Ⅰ・Ⅱ、そしていよいよ年明けから臨床実習Ⅰが始まります。

5年次の年内は臨床実習のⅠが続きます。年明けから臨床実習Ⅱが始まります。Ⅱは広島大学医学部付属病院以外の関連病院での実習も行います。

6年次の9月までは臨床実習Ⅱを行います。その後は卒業試験と医師国家試験ですべての過程が終了します。全体的に他大学よりも系統的な学習が多い印象があります。座学は3年までがメインで他大学が3年次の前期で行う研究室配属の実習・実験を4年次の前期で行うのも特徴です。4年次の冬から臨床実習を初めて6年次の前期までで終了するのも他大学よりも2・3か月ほど前倒しになっています。

出典:広島大学医学部HP

研修制度

広島大学医学部の卒後研修を臨床実習と比較しながら紹介をしていきます。今後医師になるためにどのようなことが必要なのかが分かってきます。

患者との関係:臨床実習では患者さんを全人的に理解して患者さん本人や家族の方と人間関係を確立できるコミュニケーションの修得ができるようにしていきます。これに対して卒後研修でも身体・心理・社会的な側面から患者や家族のニーズを把握していきます。守秘義務やプライバシーの配慮を実践してインフォームドコンセントに基づく患者自身による意思の決定を適切に支援していく技能を身に着けていきます。

チーム医療:臨床実習では同僚や他の医療チームのメンバーを尊敬して協働ができる能力を修得していきます。これに対して卒後研修では指導医や先輩医への適切な助言や同僚や後輩へのアドバイスなども含めたコミュニケーションができるようにしていきます。

問題対応能力と自己学習:臨床実習では収集された情報から患者さんの問題点を抽出して解決していく能力を確立させます。これに対して卒後研修では問題を解決するための情報を収集してエビデンスに基づいた判断ができるようなより実践的な能力を身に着けていきます。また自己学習の習慣をつけていくことそして自己学習からの基本的な診療能力の向上に努めていきます。

症例呈示:臨床実習では患者さんに対しての診療情報を的確に要約して呈示していきます。これに対して卒後研修ではこの能力をさらに発展させて学会発表での症例発表も経験していきます。時間内に必要で十分な情報を開示する能力と質問に的確に回答できる能力を身に着けていきます。

安全管理:臨床実習では医療安全の重要性を認識して医療安全の原則や危機管理に対しての基本的な知識を修得していきます。これに対して卒後研修では医療事故の防止や事故発生時の対処についてもマニュアルに沿って的確に対応できるようにしていきます。院内感染対策もしっかりと実践できるようにしていきます。

臨床経験:臨床実習ではすべての診療科をローテするので必要な検査や手技などを完全にマスターできないことが多いです。これに対して卒後研修では診療科ごとに実習の目標を決めていくことそして各診療科でこれだけは最低限身に着けておくべき知識と経験をしていきます。臨床実習よりも長い時間を確保できるので学生時代にできなかった検査・手技・症候などを経験できます。それらの経験を今後の診療の中で活かしていくことを目的にしていきます。

出典:広島大学医学部HP

部活動

広島大学医学部の部活動を紹介します。医学部のみ・歯学部のみ・医学部と薬学部・医学部・歯学部・薬学部が参加できるなど様々な形に分かれています。特に医学部は勉強が大変なのですが、今後の人間関係形成のためにもサークル活動はできる限りしておいた方が良さそうです。

運動部は硬式テニス部・卓球部・柔道部・準硬式野球部・男子バスケットボール部・女子バレーボール部・男子バレーボール部・ヨット部・バドミントン部・ダンス部・合気道部・空手道部・弓道部・剣道部・ゴルフ部・女子バスケットボール部・ラグビー部・陸上競技部・フットボール部・バドミントンサークル・バスケットボール部・ダンス部・ランニングサークル・拳法部・軟式テニス部・サッカー部・ボルダリング・スポーツクラブなどがあります。

文化部は裏千茶茶道部・救急蘇生・管弦楽団・衛生環境・国際青少年ボランティア・国際医療研究会・ジャグリング・アカペラ・ボードゲーム・地域医療ゼミナール・音楽の会・上田宗茶道部・バイオテクノロジークラブ・映画鑑賞サークル・写真部・ハイテック・学生会・医療とIT・理科サークル・献血活動・食堂補助などがあります。

出典:広島大学学生情報の森・もみじHP

連携病院

広島大学医学部の主な連携病院を紹介します。

県立広島病院(広島県広島市南区宇品神田)
広島市民病院(広島県広島市中区基町)
廣島総合病院(広島県廿日市市地御前)
呉医療センター(広島県呉市青山町)
安佐市民病院(広島県広島市安佐北区可部南)
中国労災病院(広島県呉市広多賀谷)
尾道総合病院(広島県尾道市平原)
興生総合病院(広島県三原市円一町)
マツダ病院(広島県安芸郡府中町青崎南)
東広島医療センター(広島県東広島市西条町寺家)
三次中央病院(広島県三次市東酒屋町)
京都第二赤十字病院(京都府京都市上京区東裏辻町)
京都医療センター(京都府京都市伏見区深草向畑町)
市立福知山市民病院(京都府福知山市厚中町)
倉敷中央病院(岡山県倉敷市美和)
長浜赤十字病院(滋賀県長浜市宮前町)
京都第一赤十字病院(京都府京都市東山区本町)
島根県立中央病院(島根県出雲市姫原)
京都府立医科大学病院(京都府京都市上京区広小路上梶井)

出典:日本救急医学会 救急医を目指す君へ

著名な卒業生

中村利夫氏(内科医・肝臓病専門医・なかむら内科クリニック院長)
竹中丈二氏(眼科医・たけなか眼科院長)
松岡直輝氏(内科医・脳内科医・まつおか内科・脳神経内科院長)
田中孝氏(内科専門医・田中消化器科クリニック院長)
錦織ルミ子氏(消化器科専門医・医学博士・錦織病院副院長、ご主人が理事長、息子さんが院長と思われます)

出典:病院検索ホスピタ

笠浪 真

1978年生まれ。京都府出身。藤沢市在住。大学卒業後、大手会計事務所・法律事務所等にて10年勤務。税務・法務・労務の知識とノウハウを習得して、平成23年に独立開業。
現在、総勢52人(令和3年10月1日現在)のスタッフを抱え、クライアント数は法人・個人を含め約300社。
息子が交通事故に遭遇した際に、医師のおかげで一命をとりとめたことをきっかけに、今度は自分が医療業界へ恩返ししたいという思いに至る。

医院開業・医院経営・スタッフ採用・医療法人化・税務調査・事業承継などこれまでの相談件数は2,000件を超える。その豊富な事例とノウハウを問題解決パターンごとに分類し、クライアントに提供するだけでなく、オウンドメディア『開業医の教科書®︎』にて一般にも公開する。

医院の売上を増やすだけでなく、節税、労務などあらゆる経営課題を解決する。全てをワンストップで一任できる安心感から、医師からの紹介が絶えない。病院で息子の命を助けてもらったからこそ「ひとつでも多くの医院を永続的に繁栄させること」を使命とし、開業医の院長の経営参謀として活動している。

こちらの記事を読んだあなたへのオススメ