はじめに

開業医の先生が個人事業主として確定申告をした後で、納めた税金が多すぎた。もしくは還付される税金が少なかったことに気づいたら、どうすればいいでしょうか?

その場合「更正の請求」という手続きにより、払いすぎた税金を返してもらえるかもしれません。

そこで今回は「更正の請求」の手続きについてご紹介します。

更正の請求とは?

「更正の請求」の「更正」には「間違いを正す」という意味があります。

従って「更正の請求」という言葉の意味は「間違いを正すことを請求します」ということになります。

税金の大原則は「正しく納税する」ことです。

従って、税金を間違って多く支払っていた場合は正しい納税になりませんので、手続きをすることにより税金が戻ってくる可能性があります。

どんな時に使えるのか

更正の請求は下記のようなケースに該当した場合に採用できる手続きです。

  1. 実際の税額よりも大きな税額になっていた方
  2. 純損失等の金額が実際よりも小さくなっていた方
  3. 還付金が実際よりも少なくなっていた方

よくある間違いとして「売上を多く申告してしまった」「経費となるべきものを入れていなかった」「消費税を多く払ってしまった」などがあります。

例えば、大学病院を辞めて2018年1月から医院開業をしてた開業医の先生がその翌年に確定申告をしたとします。

2018年からの医院開業なので、医療収益も2018年1月から計上されます。

また2018年1月から12月までの医業収益と同じ期間の経費を計算して確定申告をしました。

先生は2018年という期間に限って考えていたので、2017年に使った経費のことは考えていませんでした。

しかしあとで「開業費という項目」が認められていて、2017年度の経費であっても、医院開業のために使ったものは計上できると知りました。

このような場合に更正の請求ができます。

過去の確定申告書が間違っていたので、開業費を経費に入れて再提出します。

そうすることで納めた税金が戻ってきます。

また、医院経営や病院経営を行っていると、父親や母親が亡くなった時に不動産を相続した、ということがあると思います。

その時に多額の相続税を支払っているなら、土地を再評価し直して更正の請求ができる場合もあります。(相続税では不動産は時価で評価してよいことになっているので)

ただし、更正の請求は上記3つのケースに該当していて、かつその修正の内容が下記の要件を満たしている場合に限り行うことができる手続きです。

1.税務署に提出済みの確定申告書に記載された金額の計算が「税法の規定に従っていなかった」場合
2.税務署に提出済みの確定申告書に記載された金額の計算が「単純に間違えていた」場合

更正の請求を行う時の注意点

    

承認されるとは限らない

更正の請求は手続きをすれば必ず認められるというわけではありません。

例えば、ある開業医の先生は、お正月に看護師やスタッフの家族に豪華なおせち料理を贈っていました。

これを福利厚生費としたかったのですが、税務署には交際費だと指摘され経費として認められませんでした。

また、税額計算が法律の規定どおりでなかったり、訂正内容を証明する証拠がなかったりなど、税務署が適法だと判断できない申請の場合は、請求が却下されてしまいます。

申告書の内容などを税務署で確認し、適法と判断された場合のみ、この請求が通ります。

また2012年2月2日以降から、更正の請求を行う際には「事実を証明する書類」の添付が必要となりました。

期限は確定申告後5年まで

更正の請求の申請はその年度の確定申告期限の最終日より5年までと定められています。

例えば2018年の確定申告の場合だと2024年3月15日が更正の請求の期限日になります。

しかし、期限が長いからと言って先延ばしにせずに早めに対応しましょう。

請求前に確定した税額の徴収は原則猶予されない

更正の請求を行っても、その請求前に確定した税額の納付義務は課せられたままの状態で徴収は原則として猶予されません。

「更正の請求が認められるはず」と思い込んで確定した税額を納めないと、滞納処分を受ける可能性があります。

税務調査が入る可能性

確定申告で間違えた申請をした場合、税務調査が入りやすくなる可能性があると言われています。

納められる税額が少なくなる更正の請求は、税務署にとってはデメリットでしかありません。

更正の請求をする際はできる限り証拠資料を集めておくことをおすすめします。

虚偽申告は処罰対象

更正の請求で虚偽の申告をした場合、50万円以下の罰金または1年以下の懲役の処罰が下されます。

更正の請求の手続きの流れ

更正の請求をする際にはまず下記の3つの書類を用意しましょう。

  1. 更正の請求書
  2. 訂正理由を証明する書類
  3. 本人証明書類

更正の請求書の書き方

 「平成〇〇年分所得税の更正の請求書」という書類を税務署から受け取ります。
税務署・国税庁のホームページからダウンロードすることもできます。

書類には住所や氏名等の基本的事項の他、下記5つの記載が必要になります。

・請求の目的となった申告又は処分の種類
例)平成30年度所得税の確定申告書

・申告書を提出した日、処分の通知を受けた日、請求の目的となった事実が生じた日
上記例の申告日

・更正の請求をする理由、請求するに至った事情の詳細、添付書類等
例)○○経費の計上漏れがありました

・請求書の計算書
基本的には通常の確定申告書への記入と同様

・還付される税金の受取場所
振込先銀行・口座番号

これらの書類を税務署に提出すると、早ければ数週間、遅くても1ヶ月~2ヶ月程度で税務署の方から連絡がきます。

内容に問題がなければ納税者の自宅に直接「更正通知書」が届きます。
内容に問題があり、かつ税理士が関与していれば税理士宛に電話がきます。

更正の請求が認められなかった際の対処法

納税者には税務署からの納得いかない処分に対し、不服を申し立てる権利が認められています。

正当な手続きをしているのにもかかわらず申請を拒否されるようなら、不服申し立てをして処分の見直しを求めましょう。

経費として認められるもの

経費となるべきものを入れていなかった為に「更正の請求」をする場合、経費として計上できるかどうかが争点となります。

原則は事業に関連するかどうかです。

例えば、知人との食事代に関して、食事をした相手が先輩開業医で、クリニック経営の相談など事業に関係する情報交換を行った場合であれば、交際費として経費に計上できます。

しかし食事の相手が医療業界と無関係の大学時代の友人などであれば、経費にはできません。

まとめ

今回は、確定申告後に過大な税額で申告を行ったことに気づいた時、「更正の請求」によって、申告書に記載された税額の減額を求める手続きについてお伝えしました。

  1. どのような時に手続きを行えるのか
  2. 更正の請求を行う時の注意点
  3. 更正の請求の手続きの流れ

更正の請求は納税者に与えられた大切な権利の1つです。

申告税額を払い過ぎたときには、すぐに更正の請求を行いましょう。

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