スタッフのマネジメントのイメージ

はじめに

日々の診療で忙しい開業医の先生にとって、スタッフ一人ひとりとしっかり接する時間は限られています。

そのため、スタッフをどうまとめていくかという人材マネジメントは、多くの開業医の先生の悩みどころです。

しかも日常の現場では、クリニックと患者間だけでなく、院長先生とスタッフ間、スタッフ同士でも日々いろいろなトラブルが起こります。

院長先生の知らないところでトラブルが発生することも少なくありません。

組織をまとめあげる体制を整えなければ、院長先生の負担は増えるばかりです。

そこで、今回は開業医の先生が知っておきたい人材マネジメントの重要なポイントについてお伝えしていきます。

院長とスタッフのパイプ役を用意する

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院長先生が、スタッフを直接指導したり、方針をスタッフに伝えることも重要ですが、院長先生とスタッフのパイプ役を用意することも大切です。

パイプ役となる人を用意することは、次のメリットがあります。

  1. 院長先生の負担が軽減し、診療に専念できる
  2. 院長先生とスタッフ間で、お互い言いづらいことも言えるようになる
  3. 相性の良くないスタッフとの潤滑油となり得る

このように、多忙な院長先生の間を取り持ってもらうことで、気持ち良く医院経営をすることができるようになります。

誰がパイプ役を担うのが良いのか?

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それでは、どのような方が「パイプ役」を担うのが良いのでしょうか?

医院・クリニックの場合、代表的に次のような方が「パイプ役」になるケースが考えられます。

また、院長先生とスタッフの橋渡しになるような方を対象にして求人するのも良いでしょう。

事務長

開業医の先生は、勤務医の先生と違って「医師・経営者・管理者」という3つの役割を担うことになります。

しかし、本来は「もっと自分の医療に専念したい」という思いが強い先生も多いでしょう。

そのようなときに、事務長制を導入して、経営・管理を任せてしまうというやり方があります。

失敗しない事務長制の導入と、事務長を採用するメリットについては、別記事で詳しく紹介しています。

【関連記事】実は怖い。クリニックで事務長を雇うメリット3つと失敗しない導入方法

事務長の仕事というと、管理上の手続きや、人事関連の書類整理や事務作業を一任するイメージです。

しかし、業務範囲を明確にすることを前提としたうえで、院長とスタッフ、もしくはスタッフ間の橋渡し的な役割を任せるのも良いでしょう。

ただ、その場合、事務長になる方が院長やスタッフと相性が悪いようでは意味がありません。

スタッフ採用で、自院との相性を確認することは大切ですが、特に事務長採用に関しては、念入りに確認した方が良いでしょう。

院長先生の妻

院長先生の妻が同じクリニックで働いている場合、妻を事務長的な役割に据えるケースは以前から多いです。

院長先生の妻が、どこまで運営に関わるべきか、ということは適性を見ながら判断していかないといけません。

ただ、もし妻が統率力に長けていたり、マネジメント能力があれば、院長とスタッフ間の橋渡しとしては理想的でしょう。

しかも、女性が多い職場である医院・クリニックのマネジメントに女性が関わるのは、かなり有効と言えます。

女性の気持ちは理解しやすいし、同じ女性だから理解しやすいという面もあるでしょう。

一方、昔ほどではないにしろ、「院長の妻がいると、スタッフが働きづらい」という印象を持つスタッフもいます。

そのため、スタッフとの人間関係を良好にするためにも、院長先生と一緒にクリニックの方針などを考えていくと良いでしょう。

詳しくは、以下の記事に詳しく掲載しています。

【関連記事】開業医の妻が院長のクリニックで仕事するときの役割とは?

ベテランスタッフ

事務長や院長先生の妻以外に、院長先生とスタッフとの橋渡しになることが期待できるのはベテランスタッフです。

ベテランスタッフはスタッフ教育の面でも、とても頼りになる存在です。

これで院長先生とスタッフ、スタッフ間の潤滑油となれば、他のスタッフはとても仕事がやりやすくなるでしょう。

できれば、長くクリニックに勤めていて、クリニックの事情を理解しているスタッフが良いでしょう。

【スポーツから学ぶ】相性の良くないスタッフはどうする?

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特に医院・クリニックのスタッフの人数が多い場合、必ずと言って良いほど次の悩みが付きまといます。

「なんだか、このスタッフは苦手だ」
「スタッフに嫌われているかもしれない」
「スタッフ同士相性の良くない人がいる」

しかも医院・クリニックの場合、大半のスタッフは女性なので、この問題の難易度は高いかもしれません。

また、無理に距離感を縮めようとすると、さらに関係が悪化してしまう恐れがあります。

適度な距離を保ちつつ、どのように対処していけば良いのでしょうか?

これは女子サッカー日本代表の佐々木則夫元監督の事例が良い例なので紹介します。

佐々木元監督は、選手を、次の3つに分類していました。

(1)どんな状況でも自分を受け入れてくれるタイプ
(2)ケース・バイ・ケースで受け入れてくれるタイプ
(3)なかなか自分を受け入れてくれないタイプ

このうち、佐々木元監督が気をつけていたのは、(3)のタイプです。

「誰からも好かれたいと願うのが人間ですが、(3) との関係改善にばかりエネルギーを注ぐのは避けるべきです。『どうして自分を認めてくれないのか』といったストレスが溜まりますし、(1)や(2)との関係がおろそかになってしまうこともあるからです」

では、(3)のタイプについて、佐々木元監督はどうしていたか?

それこそ、「パイプ役」の助けを借りていたと言います。

「監督である私を毛嫌いする選手でも、コーチの誰かとは打ち解けているものです。そこにコミュニケーションの突破口があります。『A』という選手と仲の良い『B』という選手を通して、
『A』の情報を吸い上げることもあります」

もし、先生が相性の合わないスタッフ、心をなかなか開かないスタッフがいたら、まずは「パイプ役」の人に力を借りるのも良いでしょう。

これは決して院長の怠慢ではありません。

スタッフの人間関係を円滑にするためには、このように人の助けを借りることも必要です。

そうすれば、ストレスや時間の負担なく、診療に専念できるようになるでしょう。

全員でスタッフの情報を共有する

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クリニックの規模が大きくなるほど、スタッフ一人ひとりとの距離は遠くなり、コミュニケーションは希薄になりがちです。

スタッフに関する情報を共有するのは難しくなっていきますが、だからこそクリニック全体で情報を共有する姿勢が求められます。

ここで、もうひとつスポーツの事例を紹介しましょう。

ジュビロ磐田の名波浩元監督は、個性的な選手と大人数のスタッフをまとめ上げ、低迷期だったチームをJ1昇格に導いたことは有名です。

小さな変化を見逃さず、スタッフ全員に共有する

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名波元監督は、

・いつも腕時計を右手につけている選手が左手につけている
・スパイクを変えた

といった、一見些細なことであっても、「いつもと違う点」があれば選手やスタッフに声をかけていたと言います。

そもそも、些細なことでもお声をかければ、コミュニケーションの機会が生まれますし、名波元監督は実際に常に選手とコミュニケーションを取っていたそうです。

なぜかというと、「普段の温度感」を把握しておくため。

温度感を把握していないと、選手の良い変化も悪い変化も気付くことができません。

これは開業医の先生にも同じことが言え、スタッフの些細な変化に対して、気付いたことがあれば積極的にコミュニケーションを取ってはどうでしょう?

・今日のスタッフの対応は良かったな
・いつもより笑顔が多いな

このような、良い点があれば理由を付けて積極的に褒めても良いでしょう。

理由を付けて褒めると、スタッフはモチベーションが上がります。

また、

・今日は全然話さないな
・こんなミスをするなんて珍しいな
・疲れているように見える

そのような異変に早めに気づけば、スタッフの悩みが大きくならないうちに対応できるかもしれません。

スタッフの力を借りながら情報共有する

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そうは言っても、開業医の先生が1人でスタッフと密にコミュニケーションを取るのは、時間的に厳しい場合があるでしょう。

スタッフと積極的にコミュニケーションを取ろうとして、本来の診療が疎かになるようであれば本末転倒です。

そこで、先ほどの「パイプ役」の人や、ベテランスタッフの力を借りると良いでしょう。

先生以外のリーダー役の人が、スタッフの些細な変化でも気になる点があれば、先生に共有するようにする。

クリニック全体でスタッフの情報を共有する体制を築けば、スタッフマネジメントが円滑に進められるでしょう。

また、クリニックの方針として、「何か些細な点でも気になることがあれば報告するように」としても良いでしょう。

先生1人でスタッフのことを把握しておくのは難しくても、クリニック全体であれば可能になることもあります。

【まとめ】人の助けを借りながらスタッフとの関係を円滑に

以上、スタッフの人材マネジメントの重要なポイントについてお伝えしました。

  1. 院長先生とスタッフの橋渡しとなる「パイプ役」を用意する
  2. クリニック全体でスタッフの情報を共有する

チームワークで仕事するのは言うまでもなく大切ですが、スタッフとの関係を円滑にするのもチームワークは有効です。

少しでも自分の医療に専念できるように、スタッフの力を借りながら、ストレスのない医院経営を目指しましょう。

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