歯科医院でみるみる自費率がアップする!カウンセリング法を紹介

公開日:2019年7月23日
更新日:2024年3月18日

増収するには、自費率を高めることが成功のカギ

「歯科医院の数は、コンビニよりも多い」

こう言われるようになってから、しばらくたちます。

今や歯科医師の数は、過剰に増えており、集患競争が激化しているのが現状です。

そのせいで、経営状態が悪化してしまい、廃業を余儀なくされてしまうクリニックも数多くあります。

そんな状況を回避するために、自費診療率を高めることが必要です。

しかし、どのようにして自費診療率を高めたらいいのか、わかりませんよね。

患者さんに自費診療をお勧めしても、「保険内で診てほしい」と言われたり、自費診療に興味をもって貰えないこともあります。

患者さんの興味を自費診療に向けるには、すでに悪くなってしまったものを治すための治療としてではなく、未来を見据えた上で、より歯を長持ちさせたり、病気を予防するために自費診療が有効だと患者さんに思ってもらうことが必要です。

その意識を持ってもらうだけで、自費診療率は高まります。

本日は自費診療率を高める具体的な方法について、お話いたします。

自費診療率をぐっと高めるために一番必要なこと

現在では、インターネットやテレビで、正しい情報も間違った情報も簡単に手に入れることが出来る時代です。

インプラントなどの自費診療に関するトラブルで、「自費診療=こわいもの」、「自費診療=費用が高い」というネガティブなイメージを持っている人も、少なからずいらっしゃいます。

たとえどんなに患者さんに自費診療がお勧めしても、ネガティブなイメージをもったままでは、断られてします。

なので、こちらからお勧めして自費診療を受けてもらうよりも、患者さんの自費診療に対する意識を変えて、患者さん自身で、自費診療を受けたいと思ってもらうことが大切です。

そのように患者さんのほうから思ってもらえれば、自費診療で陥りがちな、「高額な治療を勧められた」という、クレームを言われることも少なくなります。

患者さんのハートを掴む!自費診療のカウンセリング方法

それでは、具体的に何をすれば、自費診療を選んでもらえるようになるのでしょうか?

「もうすでに自費診療のオススメを患者さんにしているけれど、患者さんが全然興味を持ってくれない・・・」
「自費診療の話をすると、患者さんに嫌な顔をされてしまう・・・」

と自費診療のオススメの仕方でお悩みでしたら、ぜひ今回お話する内容を実践してみてください。

まずは自費診療について知ってもらう

通院している患者さんは、自費診療についてあまり知識がないことがほとんどです。

そして、そもそも保険適用内で治療をしてほしいと思っていることが多いです。

そう思っている患者さんに対して自費診療をお勧めしても、興味をもってもらえないことが大半です。

ですので、患者さんが自費診療についての知識を伝えることからはじめることが大切です。

では、自費診療を患者さんに知ってもらうためのきっかけ作りは、どのようにすればいいのでしょうか?

東京都のあるクリニックでは、患者さん一人ひとりに説明している余裕はなかったので、
待合室に、自費診療のメニューやメリットを記載したものを、患者さんの目につく場所に貼っていたそうです。

また、パンフレットも作成して待合室に置いておいたら、患者さんがそれとなく手に取って見てくれるようになり、待合室のテレビで自費診療の情報を流したら、自費診療に興味を持つ患者さんが増えたみたいです。

このように、患者さんが自費診療の知識を得ることで、「私もやってみようかな」とか、「これ、おばあちゃんに良いかもしれない」と自分や家族のこととして患者さんが捉えてくれるようになります。

カウンセリング時に、自費診療の必要性に気づいてもらう

先生は、人がどのようなときに商品を「買いたい」と思うと思いますか?

人が物を購入するときは、「現状の不満・不安」を感じ、それを改善したくて「決心」し、物を購入します。

例えば、車を買うときで考えてみましょう。

「今車はあるけど、随分前に買った車だし、買い替えようかなぁ。もっと小回りの利く、小さい車が欲しいなぁ」と「現状の不安・不満」を考えます。

そのあとに、車を見に行ってみると、
「やっぱり小回りの利く車は、いいな。ほしくなってきた。でも値段が‥・」

と思いますが、
「でも、今の車は随分と前から乗っているし、やっぱり買っちゃおう!」と最終的には購入に至ることが多いかと思います。

このように、人は、現状に「不安・不満」があると、物を購入する気持ちになる傾向があります。

では、自費診療ではいかがでしょうか?

自費診療に対する、患者さんの「不安・不満」は何だと思いますか?

多くの患者さんが抱えている「歯が痛い」という不満だったら、その不満を解消し、さらに予防までできてしまう自費診療についてお話してみる・・・などがお勧めのカウンセリング方法です。

自費診療の良さをお伝えする

自費診療が保険診療に劣ることはメンテナンスや、見た目、体への影響においてありません。

費用のことさえクリアすれば、将来的にメンテナンスが楽、見た目などで価値があるということを理解してもらえるはずです。

例えば、埼玉県のクリニックでは、自費率アップのために、色々な取り組みをしています。

患者さんとのカウンセリング時に、

  1. 保険診療と自費診療、どちらもどのような治療が施されるのが、患者さんに丁寧に説明する。
  2. メリット、デメリットをきちんとお伝えして、患者さんの不安を解消する。
  3. 今だけでなく、何年か先、どうなるかという長期的な目線での治療の効果を患者さんにお伝えする。※このとき、写真などあると、患者さんは想像しやすくなって親切なので、用意する。
  4. 総額いくらかかるのか、患者さんにお伝えして、患者さんにとって必要な優先順位ごとに説明するようにする。

というような内容を実施しているそうです。

このようにきちんと自費診療の内容を明確にご説明して、患者さん自身に、自費診療のメニューを選んでいただくのです。

自費診療と保険診療の違いをお話する

次に必要なことは、患者さんに自費診療と保険診療の違いをお伝えすることです。

例えば、自費診療で治療した場合の写真と、保険診療で治療した場合の写真を用意し、患者さんに見せてあげることで、自費診療の良さを患者さんに伝えることができます。

写真だけでなく、動画でも自費診療のメリット・デメリットを説明したものを作成し、待合室で流したりすることで、患者さんが自然に自費診療についての知識をつけることができるようになります。

また、治療内容や診察料を明記することも大切です。

患者さんは、保険診療でない分、「高いのではないか」と不安に思っています。

ですので、自費診療メニューのようなものを作り明記することで、患者さんも一目で金額がわかり、安心するのです。

その他には、自費診療後の保証制度をお伝えしてあげることも大切です。

患者さんは、保険適用外ということに不安を感じる方が多くいらっしゃいます。

ですので、保証がどれくらい続くのか、お伝えしたり、自費診療のメニュー表に加えることで、患者さんの自費診療へのハードルを下げることができます。

スタッフ全員と情報共有する

自費診療の内容は、スタッフ全員で情報共有し、どのスタッフに患者さんから質問がきたとしてもお答えできる状態にしておかなければいけません。

また、先生とスタッフでミーティングを開き、なぜ自費診療をおすすめした方が良いのか、意識のすり合わせを行っておくことをお勧めします。

お勧めするクリニック側の人が、「自費診療を自信をもって患者さんに提供したい」と思っていないと、いざ患者さんに質問されて答えるときに、あいまいなものになり、自費診療率アップには繋がらなくなってしまいます。

また、スタッフと統一しておきたい意識としては、「患者さん一人ひとりに合った、質の高い医療を提供して、症状の改善に役立ちたい」という患者さんの治療に対する意思です。

その意思があると、患者さんにどのように自費診療をおすすめすればよいのかわかってきます。

例えば、患者さんが「保険診療が良い」と言った場合。

なぜ患者さんはそう言ったのか考えてみるのです。

もしかしたら、「費用がなるべく安い方がいい」と思っているのかもしれませんし、「自費診療なんで保険適用外のもの、こわくて受けられない」と自費診療に対する恐怖から自費診療を断った可能性もあります。

費用を理由としている患者さんであれば、保険適用内で診察してあげることが大切だと思いますが、自費診療に対する恐怖や、自費診療に対する知識がなかったり、受けてみたいけど受けられていない患者さんには、まずは自費診療とは何なのかについて、知識をお伝えすることが大切です。

そうすることによって、患者さんが次回来院したときに、患者さんの中の自費診療のハードルが下がり、「少し興味あるかも」「やってみてもいいかな」と思ってくれるようになります。

まとめ

今回は、歯科医院での自費診療率アップのための、カウンセリング方法についてお話いたしました。

  1. 増収するには、自費診療率を高めることがカギ
  2. 自費診療をお勧めするには、まずは患者さんに自費診療について知ってもらうことからはじめる
  3. 患者さんの不満をキャッチし、自費診療の必要性に気づいてもらう
  4. メリット、デメリット、治療後の効果などをお話することで、自費診療の良さをお伝えする
  5. 自費診療と保険診療の違いをお話して、患者さんに納得して治療を受けてもらう
  6. スタッフ全員と情報共有、意識の統一を図る

自費診療率をアップすれば、クリニックの増収が見込めます。

患者さんの不安をキャッチし、自費診療が適切な治療だと判断した場合、おすすめすることで患者さんにもメリットがあります。

ぜひ、今回お話したことを取り入れて、自費診療率アップにつなげて頂けたらと思います。

笠浪 真

1978年生まれ。京都府出身。藤沢市在住。大学卒業後、大手会計事務所・法律事務所等にて10年勤務。税務・法務・労務の知識とノウハウを習得して、平成23年に独立開業。
現在、総勢52人(令和3年10月1日現在)のスタッフを抱え、クライアント数は法人・個人を含め約300社。
息子が交通事故に遭遇した際に、医師のおかげで一命をとりとめたことをきっかけに、今度は自分が医療業界へ恩返ししたいという思いに至る。

医院開業・医院経営・スタッフ採用・医療法人化・税務調査・事業承継などこれまでの相談件数は2,000件を超える。その豊富な事例とノウハウを問題解決パターンごとに分類し、クライアントに提供するだけでなく、オウンドメディア『開業医の教科書®︎』にて一般にも公開する。

医院の売上を増やすだけでなく、節税、労務などあらゆる経営課題を解決する。全てをワンストップで一任できる安心感から、医師からの紹介が絶えない。病院で息子の命を助けてもらったからこそ「ひとつでも多くの医院を永続的に繁栄させること」を使命とし、開業医の院長の経営参謀として活動している。

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