はじめに

「開業医の妻」というと、かなり華やかなイメージ。憧れを持つ方も多いのではないでしょうか?

特に開業医の平均年収は2,500万円程度と言われ、病院勤務医の1.5~1.7倍程度の開きがあるようです。

一般的なサラリーマンの平均年収は420万円程度であることを考えれば、やはり「開業医の妻」は恵まれているイメージがあります。

しかし、離婚問題を扱う弁護士などがよく言うのが、「開業医の妻からの質問は意外と多い」というもの。

具体的な統計データは見当たらないですが、「3組に1組は離婚する」という全国平均とあまり変わらないと言われています。

平均年収だけ聞けば、一部破綻寸前のクリニックを除けば、明らかに玉の輿なわけです。

なぜ、開業医の妻は離婚を選んでしまうのでしょうか?

そして、養育費や財産分与はどうなるのでしょうか?

※ちなみに、「開業医の妻」ではなく、女医の離婚率も高く、一般女性の2倍くらいと言われています。

なぜ、開業医は離婚に至るのか?

日本全国の医師の数は約30万人、歯科医師は10万人と言われています。

これは病院勤務医を含めた数のため、開業医となれば、さらに絞られます。

少なくとも、会社員や公務員に比べれば、圧倒的に少ない数のはずです。

にも関わらず、離婚相談では、かなり開業医の奥さんが相談に来ているというのです。

これは弁護士さんだけではなく、開業医の先生を対象にコンサルタントしているような方からもよく聞く話です。

少なくとも経済的には恵まれた立場にある「開業医の妻」は、なぜ離婚するほど追い詰められるのでしょうか。

ここでは、開業医の妻に多い悩みについて、書いていきたいと思います。

【開業医のストレス】4人に1人はうつ状態?

開業医は、病院勤務医に比べれば平均年収は高いものの、それだけにやることが多くなります。

日々の診療に加え、キャッシュフロー、借金、売上、スタッフの給料、スタッフ雇用・教育、マネジメント……。

開業医と言えども、診療以外は、やることは基本的に会社の経営者と同じです。

だからストレスも溜まりやすく、うつになる人も多いと言われています。

時々、「開業医のうつ」が多いなんてことを聞くことがあります。

少し前の話ですが、開業医の先生の4人に1人はうつ状態なんてデータも聞いたことがあります。

それほど、開業医の先生はストレスに晒されているのです。

もちろん、それが開業医の妻に矛先が向くことも少なくありません。

・毎日のように怒鳴り散らす
・口を利かなくなる
・「家事を手伝って」と言われたら暴力を振るわれた
・そもそも忙しすぎて家に帰ってこない

もちろん、ストレスが溜まっているからといって、このように妻に当たる開業医の先生は問題です。

しかし、理解しておいてほしいのは、開業医の先生は、常にストレスに晒されているということです。

「開業医の妻」は「医師の妻」であり、「経営者の妻」です。

しかも最近はクリニックの数も増えてきて、クリニックが生き残ることも、昔ほど簡単ではなく、ストレスを溜めやすくなっています。

経済的に恵まれているからといって、精神的に耐えられない…

これで離婚を決断して、玉の輿を手放す開業医の妻も多いようです。

開業医の病院内の浮気

開業医の先生の浮気が原因で妻が離婚相談、なんて話もよく聞きます。

たしかに、年収が高いという点では、女性にモテるでしょう。

また、先に書いたようなストレスが浮気のきっかけになった開業医の先生も多いかと思います。

開業医の先生の浮気が、会社員や公務員の他の職業に比べて多いかといえば、これもはっきりしたデータは出てません。

しかし、開業医の先生の浮気は、医師ならではのケースがあります。

それが、病院内の浮気です。

多忙な開業医の先生は、人間関係も狭くなりがちで、それだけに浮気も、かなり身近なところで発生します。

もともと結婚でも、医師と看護師、医師と医療事務、歯科医であれば歯科衛生士と、院内の恋愛結婚のケースは多いものです。

しかし、それだけに浮気も院内で発生しやすい。

しかも、個人のクリニックの場合、開業医の妻が医療事務や看護師として働いているケースもあります。

だから、浮気相手が共通の知り合いなんてことも多々あるわけですから、浮気発覚時の精神的ダメージも大きいでしょう。

医師は亭主関白になりやすい?

ものすごい忙しい開業医の先生。

なので、家事も子育てもダンナと一緒に…というのはなかなか想像しづらく、むしろ亭主関白になりがち。

だから、その状態で、開業医の妻が「家事を手伝ってほしい」なんて言ったら…

「普通の仕事と一緒にしないでくれ。開業医の仕事は毎日ヘトヘトなんだ。家事くらいやってくれ」

と冷たく言われてしまう…。

そもそも、あまりの忙しさに家に早く帰ってきてくれない場合も多いでしょう。

ひどい場合だと妻が暴力を振るわれたりすることもあるそうです。

専業主婦ではなく、先生のクリニックで医療事務として働いているケースも多いのが開業医の妻。

家事だけでなく、日中のクリニックの仕事も「しっかりやってくれよ」と言われたり。

もともと医療事務の仕事に就いていたわけでなければ、医療用語を覚えることも四苦八苦。

それでいて、開業医のダンナは家事を手伝ってくれない、冷たい、ひどい場合は殴られる。

仕事でも家庭でも孤立し、結婚を後悔する開業医の妻も多いようです。

開業医の離婚での養育費・慰謝料の問題

開業医と離婚する場合に慰謝料や養育費を決めるとき、いくらに設定するのかが焦点になります。

特に、開業医は基本的に高年収の人が多いです。

だから、慰謝料や養育費の金額が、会社員や公務員より高額になる傾向があります。

養育費は、お互いの収入状況に応じて計算されるので、支払う側の収入が高いならば、高額な養育費を請求しやすくなります。

だから単純に考えると、開業医の場合は、通常より高い養育費を請求できる場合が多いでしょう。

一般的には、会社員や公務員の場合で月に数万円程度なのが、開業医の場合は毎月数十万円と、桁が違うケースもあります。

もちろん、慰謝料も高額請求しやすくなります。

だから、開業医の妻は、開業医の言いなりになって、低い金額で養育費や慰謝料で離婚しないことが重要です。

また、開業医の方でも、他の診療所でアルバイトしているケースもあるため、アルバイトの収入も見逃さないようにしましょう。

開業医の離婚での婚姻費用(離婚するまでの生活費)

慰謝料や養育費は、離婚後に請求する金額、一方で、離婚協議が成立するまで、別居中でも生活費を請求できます。

これが婚姻費用分担金です。

これも、高収入の開業医にとっては、高額になる傾向にあります。

婚姻費用は、離婚成立までに支払う生活費です。

離婚協議の長期化すればするほど、夫の開業医は、延々と高額の生活費を支払うことになります。

夫の立場から見れば、婚費地獄ですが、妻から見れば有利に働く要素です。

やはり、妻の立場から見れば、安易に低い慰謝料、養育費、財産分与で離婚に応じないほうが有利に働きます。

なお、医療法人の院長で、婚姻費用(生活費)の支払いが止まっている場合、役員報酬や診療報酬を差し押さえることが可能です。

特に診療報酬の場合、健康保険組合がクリニックへ診療報酬を支払う前に、健康保険組合が直接、妻の口座に未払い分を振り込んでくれます。

つまり、いくら夫が反対しても、自動的に天引きされるので、夫を説得する必要もありません。

しかも、一度差し押さえてしまえば、離婚が成立するまで、自動的に天引きをしてくれます。

開業医の離婚での養育費・婚姻費用の計算

それでは、具体的に、養育費や婚姻費用はどのように計算されるのか、ということです。

開業医の先生は、年収1,500万円を超えている場合がほとんどだと思います。

事業所得者の年収が1,409万円、給与所得者であれば年収2,000万円を超えると、通常の計算方法(標準的算定方式や簡易算定表)が使えません。

どちらも算出方法は、いくつかパターンがあって複雑なため、ここでは詳細は書きません。

しかし、養育費にしても、婚姻費用にしても、事業所得者の年収が1,409万円を超えると、月々の支払いが高額になる傾向にあります。

養育費・婚姻費用は、だいたいは長期間に渡って毎月支払われる金額です。

特に開業医の先生の場合は、年収1,409万円を超えている場合が多いです。

ちょっとした月額の違いが、合計額として大きな差を生みます。

開業医の離婚での財産分与

開業医と離婚する場合、多く揉めるのが財産分与です。

これも、開業医の先生が高収入であることに起因します。

財産分与とは、夫婦が婚姻中に積み立てた財産を分け合う手続きのことで、通常は夫婦が1/2ずつ取得します。

※あくまでも通常なので、例外があります。いまの総資産が、開業医の医師・病院経営者としての手腕、能力によるものと判断された場合、妻よりも夫の方が配分が多くなることもあります。

財産分与の対象になるものは、預貯金、生命保険、退職金、積立金や不動産、車など、流動資産と固定資産両方対象になります。

不動産や車などは、どちらかが不動産か車を取得し、他方は評価額の半分の現金を受け取ります。

※例えば1,200万円の評価額のポルシェを開業医の先生が取得し、妻は半分の600万円を現金で受け取る。

もしくは不動産や車を売却して、その額を山分けします。

当然、不動産も車も購入時の評価額よりは価値が下がりますが、離婚時点の評価額で計算することになります。

開業医の先生の退職金も、財産分与の対象になります。

開業医の場合は、節税対策で、退職金が出る保険をかけているケースが多いです。

保険であれば、離婚時点での評価額を計算しやすいので、財産分与の対象にしやすいと思われます。

よって、開業医の妻は、離婚時は開業医の先生が、どのような退職金対策をしているか確認しておきましょう。

まとめ

今回は、開業医の妻の実態として、なぜ離婚に至るのか、そして養育費や財産分与はどうなるのか、というお話をしました。

平均年収2,500万円の開業医との結婚に憧れて結婚したものの、精神的に耐えられないケースも出てきます。

いくら高年収でも、精神的なストレスで壊れるくらいなら、思い切って離婚することも大切でしょう。

しかし、生活費、慰謝料、養育費、財産分与…

これらについては、開業医の妻は、どれも高額になるケースが多いので、可能な限り請求できるようにしておきましょう。

また、開業医の先生は、離婚になった際は、比較的これらの金額が高額になることを知ったうえで、対策していきましょう。

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