はじめに

脳神経外科・脳外科の開業医の年収はあまりデータがありません。おそらく2000万程度ではないかといわれているようですが、脳外科・脳神経外科という専門科目を小病院やクリニックの開業医が行うということは現実的にみてかなり大変であり、開業医の年収データがあまりないというのも納得できます。

勤務医の年収との比較

脳神経外科・脳外科の勤務医の平均年収はだいたい1200万円から1300万円程度と言われており、大学病院などの地域の大きな病院に勤務するケースが大半になります。

実は大学病院や地域の大病院の年収が高いかといえばそうではなく、地域の小さな病院やクリニックに比べて年収が1・2割ほど低くなっていることが多いと言われています。

理由としては、大学病院などの大きな施設は20代や30代前半という若い勤務医が多いため、相対的に平均の年収が低くなっているということが挙げられます。20代の勤務医の年収はほとんどの科で1000万円以下、多くは600万円から800万円程度のため、年収は低めになる傾向があります。

ただ30代後半~40代と年齢や経験を重ねていくうちに、年収も1200万、1500万、1800万円程度とどんどん高くなっていきます。2000万~2500万までとなると、手術の腕なども大事になってきます。さらに体力的に数をこなせるようになってくると、かなりの年収を期待できるでしょう。

脳神経外科・脳外科の場合は小さな病院やクリニックで働くというケースもあまり多くありません。そうなると年収的にはさほど高くならないというのも納得がいきます。

脳神経外科の地域別の勤務医の年収

脳神経外科の年収は、北日本においてやや高いことは間違いないようですが、その他の地域に関してはあまり年収差はありません。

北海道や青森、秋田、岩手などの北日本は、冬の寒さが関東や関西地方などと比較するとかなり厳しく、冬の寒さを解消しようとしてどうしても濃い味付けの食事を伝統的に好む傾向があります。そのような食事を長期間摂取すると当然ながら心臓や脳などに負担がいきます。そうなるとそのような病気になりやすくなります。絶対的に患者の人数が多くなる一因と言えるでしょう。

さらにこの地域は過疎化で高齢化が最も進んでいます。脳血管系統の疾患を抱えている方も多くいます。患者数が多いということは当然ながら仕事量も増え、必然的に年収も上がります。

このようなところから、北日本地域で働く脳神経外科医の年収は高くなる傾向にあるのかもしれません。

ただ関東地区や関西などの都市部の年収もそれなりに高いのがこの脳神経外科医の特徴といえます。都市部においては脳神経外科の専門病院も多く、求人もかなりの病院で出しているようです。

脳神経外科医年収が北海道と東北ではそれぞれ5、6%しかないのに比べて、関東地方ではおよそ30%、関西地方と中部地方で20%ほどあります。おそらくその中でも都市部の東京圏・大阪圏・名古屋圏に求人が集中しているものと思われますので、この地域だけで半数を占めています。一般に医師の求人は美容整形外科などを除くと全体的に地方で求人が多くなっています。

ただ脳神経外科に関しては都市部で求人が多くなっているのが特徴といえます。専門的な病院で最先端の医療を行っている都市部の方が、脳神経外科の医師を受け入れる体制があるのかもしれません。

脳神経外科の都道府県別の開業医の年収

都道府県別の開業医の年収自体のデータがないので現在調査中です。脳神経外科の全国単位の開業医の詳細な年収データも見つかっていません。

ただ医師全体の年収で見ると岩手や宮城などの東北地方が高く、富山や福井などの北陸地方で低めになっています。医師の需要度や医師の平均年齢が高い地域では、比較的年収が高い傾向にあるようです。

サラリーマンや自営業者などの年収の高い東京・大阪・神奈川・愛知といった地域でも決して高い方ではありません。
「一般人が稼げる地域=医師が稼げる地域」という構図は基本的に当てはまりません。

開業には2億円程度かかりそう

脳神経外科で開業して、しっかりとした医療設備を整えるとなると2億円程度かかると言われています。その点において、脳神経外科・脳外科の開業へのハードルは高いと言えるでしょう。

ただ開業してニーズがあるかどうかなどの綿密な実地調査も必要になりそうです。人口密集地の都市部がいいのか、もしくはあまり人口のいない競合の少ないところがいいのか。そこで集患ができて採算が取れるのかなどの目算を立てる必要があります。

脳神経外科の医療設備としては、まず検査機器が必要になります。血圧測定・X線などはもちろんのこと、脳波測定・CT・MRI・心電図などの脳や心臓の検査機器を一式そろえる必要があります。

さらに脳梗塞・脳出血・脳腫瘍などの病気の場合は、病気の状態が良くなっても長期間のリハビリ施設を置く必要もありますので、スペースの確保も大事になってきます。

そこに医師をサポートする有能な看護師などの専門家も必要になります。脳神経外科だと緊急の患者も少なくないので、患者さんの命を守るための最善の方法を即座にできるサポート役の方が必要になります。医師1人の力ではできることが限られてきますそれでも手が足りずに家族などに受付や会計などの事務を手伝ってもらう必要が出てくるかもしれません。もちろん人的な面での整備をする必要もありますので、労務コスト面もしっかりと考えておく必要があります。

開業医になると経営者になります。最初は銀行からの借り入れも必要になります。ある程度医院の売上が上がってきてもスタッフの給料と借り入れの返済で、開業医自身の報酬がほとんど手元に残らない可能性もあります。

最終的には手術の腕の成否になりそう

脳神経外科・脳外科の医師は、開業医・勤務医ともに検査や診察をするだけでなく、手術の成否が収入に大きく影響するのではないかと言われています。脳神経外科の患者さんは、高齢者の方を中心に重篤な症状を持っている方もいます。即手術をしないと生命の危機にさらされている方も多く来ます。それらの方の手術の成否が重要な任務になります。その手術を年間にどれだけ行えるかという体力面と信用面が年収などに大きく影響してくるのではないかと考えています。

また長期間の入院をしなければならない方も多く出てきます。その方のサポートをしっかりとできるかどうかも、脳神経外科の医師の重要なところといえそうです。手術の腕だけが良くても患者さんへの対応の良くない医師の方は、本人やご家族の方から敬遠されてしまいます。そのようなところをしっかりと対応できる人間力なども必要になってくるのかなと思われます。

さらに脳梗塞や脳出血さらに脳腫瘍などの重大な疾患を特定するだけでなく、奇形児の特定や脳疾患に大きく影響する心臓系の病気の特定などを行うことで今後の治療にも役立ちます。また意外に多くの方が持っているくも膜下出血を引き起こす可能性のある脳のこぶ・動脈瘤などの発見なども突然死を守るための一つの大きな仕事になりそうです。

患者さんの緊急の命を守る脳神経外科の医師の任務は体力・精神力・判断力・人間力すべてが問われる大変な仕事といえますが、反面やりがいのある科目であると言えるでしょう。

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プロフィール
笠浪 真

税理士法人テラス 代表税理士
税理士・行政書士
MBA | 慶應義塾大学大学院 医療マネジメント専攻 修士号

1978年生まれ。京都府出身。藤沢市在住。大学卒業後、大手会計事務所・法律事務所等にて10年勤務。税務・法務・労務の知識とノウハウを習得して、平成23年に独立開業。
現在、総勢42人(R2年4月1日現在)のスタッフを抱え、クライアント数は法人・個人を含め約300社。
息子が交通事故に遭遇した際に、医師のおかげで一命をとりとめたことをきっかけに、今度は自分が医療業界へ恩返ししたいという思いに至る。

医院開業・医院経営・スタッフ採用・医療法人化・税務調査・事業承継などこれまでの相談件数は2,000件を超える。その豊富な事例とノウハウを問題解決パターンごとに分類し、クライアントに提供するだけでなく、オウンドメディア『開業医の教科書®︎』にて一般にも公開する。

医院の売上を増やすだけでなく、節税、労務などあらゆる経営課題を解決する。全てをワンストップで一任できる安心感から、医師からの紹介が絶えない。病院で息子の命を助けてもらったからこそ「ひとつでも多くの医院を永続的に繁栄させること」を使命とし、開業医の院長の経営参謀として活動している。

                       

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