大阪大学医学部の歴史・カリキュラム・研修制度を紹介!有名な開業医の方もいます

公開日:2020年11月30日
更新日:2024年3月18日

はじめに

大阪大学医学部では知の創造と継承そして実践というものを使命としています。地域に生きて世界に伸びるをモットーにして、学問の独立性と市民性を備えた高度な教育研修を推進していきます。次世代の社会を支え、人類の理想の実現を図っていく有能な人材を社会に輩出していくことを目的にしています。その目的の実現のために学部および全学的な教育の研究組織において高度な専門性と深い学識・教養・国際性・デザイン力を身に着けた知的な基盤社会のリーダーとなるべき人材を輩出していきます。

出典:大阪大学医学部HP

住所

大阪大学医学部の所在地は大阪府吹田市山田丘2丁目2にあります。最寄は阪大病院前になります。茨木からモノレールで10分程度です。大阪市街からだと乗り換えを含めて40分ほどかかります。アクセスは微妙かなという気がします。

出典:大阪大学医学部HP

入学金・学費

大阪大学医学部の学費を紹介します。

1年次は入学金は282000円、授業料は535800円で合計が81万7800円

2年次から6年次は授業料が535800円×5年間=267万9000円

合計が81万7800円+267万9000円=349万6800円

6年間で350万円程度と他の学部と同額です。4年間が6年間になるということで授業料の2年分の107万円程度が追加されるだけです。国立大学医学部の魅力はやはり授業料といえます。

出典:医学部受験マニュアル

偏差値

70.0

医学部の中でも東京大学医学部京都大学医学部に次ぐレベルで、東京医科歯科大学医学部慶応大学医学部などと同等のレベルになりそうです。医学部なので簡単に合格できるところはありません。その中でもこの5つの大学が難関といえます。

出典:河合塾医進塾HP

倍率

2019年度の一般入試が2.9倍、2018年度が2.4倍。すごく高いというところまではいきませんが、大阪大学医学部の3倍近くなので合格はかなり困難といえます。

出典:旺文社HP

医師国家試験合格率

2020年:全体91.4%(全国61位)新卒94.3%(全国61位)既卒60.0%(全国57位タイ)
2019年:全体90.6%(全国45位)新卒95.1%(全国28位タイ)既卒57.1%(全国45位タイ)
2018年:全体89.8%(全国54位)新卒93.4%(全国52位)既卒16.7%(全国78位)
2017年:全体94.0%(全国16位)新卒97.2%(全国8位)既卒50.0%(全国45位タイ)
2016年:全体94.4%(全国21位タイ)新卒96.6%(全国19位タイ)既卒57.1%(全国48位タイ)

16年と17年は全体で94%前後、18年以降は90%前後と少し数字を落としています。新卒者の合格率は95%程度ありますので優秀といえます。

出典:医学部受験ラボHP

歴史

大阪大学医学部の歴史を紹介します。

1869・明治2年:大阪府医学校を設置

1870・明治3年:大阪府医学校は大阪医学校・病院と名称を変更

1872・明治5年:学校制度改革で大阪医学校・病院は廃止に

1880・明治13年:府立大阪医学校が誕生

1888・明治21年:府立大阪医学校を大阪医学校と名称を変更

1901・明治34年:大阪医学校を大阪府立医学校と名称を変更

1903・明治36年:大阪府立医学校を大阪府立高等医学校と名称を変更して予科を開設

1915・大正4年:大阪府立高等医学校は府立大阪医科大学と名称を変更

1919・大正8年:大学令で大阪医科大学と名称が決まる

1931・昭和6年:大阪医科大学は大阪帝国大学の医学部となる

1947・昭和22年:大阪帝国大学は大阪医科大学と名称を変更

1949・昭和24年:新制大阪大学が誕生

1955・昭和30年:大学院医学研究科を設置

1979・昭和54年:大学院医学研究科修士課程を設置

1987・昭和62年:バイオメディカル教育研究センター及び共同研究実習センターを設置

1993・平成5年:医学部及び医学部附属病院を吹田地区に移転

1999・平成11年:バイオメディカル教育研究センター及び共同研究実習センターを医学部附属施設から医学系研究科附属施設に設置を変更

2004・平成16年:国立大学法人大阪大学と名称を変更

現在の大阪大学学長は第39代の森井英一氏で2019年・平成31年4月1日から2年間の任期の予定になっています。

出典:大阪大学医学部学友会HP

特徴・教育目標

大阪大学医学部では臨床実習を特に重要視しています。患者さんの病状を的確につかんで、適切な治療を施すことのできる優秀な医師の育成に努めています。また世界の医療を引っ張っていけるような医学・生命科学の研究者を養成していくことも大事ではないかと考えています。

また国際性に富んだ医師を養成していきます。国際認証に沿ったカリキュラムで授業を行っています。専任の外国人講師を常時雇用させることで英語教育を充実させています。そこからアジアや英米圏の主要な大学とも学術協定を結んで学部生の国際交流の機会を増やしています。

免疫学・分子細胞生物学・神経科学・ゲノム科学などの世界最先端レベルの学問を何科目も有しています。個別の研究領域に加えて基礎や臨床講座の共同研究体制も作っています。世界に誇れる研究者や学者を多く輩出しているのも大阪大学医学部の特長といえます。

就職実績は申し分ない・勉強環境も最高に近い・本物の医学部・施設も言うことなし・研究をしたい方にも良い環境・アクセスはイマイチなどの学生の意見があります。たしかに都市部の割にはアクセスは少し面倒かもしれません。それ以外は本当に申し分ない環境ではないでしょうか。

出典:大阪大学医学部HP

カリキュラム

大阪大学医学部のカリキュラムを紹介します。1年次から3年次までの基礎医学講義と実習、4年次の臨床医学と臨床導入実習、5・6年次の臨床実習の3つのカテゴリーに大きく分かれます。

1年次から3年次

1年次後期から基礎医学の講義を行います。分子細胞生物学・遺伝学・生化学などの生命科学の根幹をなす分野の講義が始まります。2年次からは本格的な基礎医学の講義と実習が始まります。解剖実習や基礎医学実験などを通して医学部の学生という自覚をより強くしていきます。また2年次からは外国人の指導での医学英語の講義があります。3年次は基礎医学講座配属は自主的な研究を配属先の研究室で3か月間行っていきます。国際的な医学雑誌に掲載されるような研究成果を挙げるような学生もいます。

1年次では一般教養科目を中心に学習します。そこに基礎医学、医学序説、早期臨床体験実習Ⅰなどを学習します。

2年次では一般教養の残り一部の履修も行います。中心は基礎医学講義でそこに医学英語や早期臨床体験実習Ⅱなどを学習します。

3年次では基礎医学、基礎医学講座配属研究、機能系実習、臨床医学、医学英語などを学習します。

4年次

正確にいうと3年生の冬から臓器別の臨床講義が始まります。4年次の秋からは臨床導入実習を行います。導入実習は臨床実習の前段階で医療面接、基本的な診察方法、外科手技、救急蘇生法などについて模擬患者やシミュレーターを用いて実習を行います。4年次の最後には医学生の知識・技能・態度を考査する全国共通の共用試験を行います。合格すると本格的な臨床実習に入ることができます。

4年次では臨床医学、医学英語、CBTとOSCEの共用試験、臨床導入実習、臨床実習などを行います。

5年次・6年次

臨床実習は4年次の後期から行われます。内科・外科・救急科・麻酔科などの実習を6か月程度行います。その後はその他の診療科の実習も行っていきます。患者と直接に接することで医師になる実感をしていきます。また5年生の最後の2か月間は研究室配属の期間も作っています。臨床実習は主に大阪大学医学部附属病院で行います。学外の関連病院の実習も組み込んでいきます。

臨床実習は診療参加型のクリニカルクラークシップ制を導入しています。学生が病棟研修医について診療チームの一員となって病棟での診療に参加して肌で臨床を体得していきます。学生の志向に合わせて臨床実習、海外実習、基礎研究、地域医療などの選択が可能です。6年生後半の卒業試験を廃止していて臨床実習の終了後は総合的な臨床能力を確認するための共用試験を行っていきます。

5年次では臨床実習と研究室配属を行います。また6年次は選択実習、基礎研究、地域医療、臨床実習、総合共用試験、医師国家試験で卒業となります。基本的に卒業試験はないとのことです。

出典:大阪大学医学部HP

研修制度

大阪大学医学部では臨床研修のための研修ではなく一流の専門医を育てていくための臨床研修を行っていきます。臨床研修から専門の研修をスムーズに移行できる各専門診療科が指導します。具体的には臨床研修の経験を専門医申請に利用しています。臨床研修の後半を専門研修を先取りします。

研修のコースとしては大阪大学コース・協力型コース・小児重点コース・産科重点コースの4コースがあります。

大阪大学コースは内科26週、救急科13週、地域医療4週、外科5週、小児科5週、産婦人科5週、精神科5週、麻酔科8週、選択科目33週の合計104週で行います。大阪大学医学部附属病院・関連病院などで研修を行います。

協力型コースは内科25週、救急部門12週、地域医療4週、外科5週、小児科5週、産婦人科4週、精神科4週、一般外来5週、麻酔科8週、選択科目32週の合計104週で行います。大阪大学医学部附属病院・関連病院などで研修を行います。

小児重点コースは内科26週、救急部門13週、地域医療4週、外科4週、小児科13週、産婦人科5週、精神科5週、麻酔科8週、選択科目26週の合計104週で行います。大阪大学医学部附属病院・関連施設などで研修を行います。

産科重点コースは内科26週、救急部門13週、地域医療4週、外科4週、小児科5週、産婦人科13週、精神科5週、麻酔科8週、選択科目26週の合計104週で行います。大阪大学医学部附属病院・関連施設などで研修を行います。

出典:大阪大学医学部附属病院卒後教育開発センター

部活動

大阪大学医学部の部活動を紹介します。体育会と文化会があります。忙しい勉強の合間を縫ってサークル活動を両立する方も多いです。

体育会は剣道部・硬式テニス部・ゴルフ部・サッカー部・山岳部・準硬式野球部・水泳部・スキー部・卓球部・軟式テニス部・バスケットボール部・バトミントン部・バレーボール部・ボート部・ラグビー部などがあります。

文化会は合奏団・軽音楽部・国際医療研究会・コンピュータークラブ・医学英語の会・和漢薬研究会・情報医科学研究会などがあります。

出典:大阪大学医学部HP

連携病院

大阪大学医学部の連携病院を紹介します。

国立病院機構大阪医療センター(大阪市中央区法円坂)
大阪警察病院(大阪市天王寺区北山町)
多根総合病院(大阪市西区九条南)
大阪府立急性期総合医療センター(大阪市住吉区万代東)
関西電力病院(大阪市福島区福島)
市立豊中病院(大阪府豊中市柴原町)
大阪赤十字病院(大阪市天王寺区筆ケ崎町)
大阪府立中河内救命救急センター(大阪府東大阪市西岩田)
石切生喜病院(大阪府東大阪市弥生町)
加納総合病院(大阪府大阪市北区天神橋)
関西労災病院(兵庫県尼崎市稲葉荘)

出典:日本救急医学会・救急医を目指す方へ

著名な卒業生

大阪大学医学部出身の主な開業医の方を紹介します。

齊藤純氏(泌尿器科医・さいとう内科クリニック院長)
大山知樹氏(形成外科医・大山皮ふ科形成外科院長)
樋口晴久氏(整形外科医・整形外科ひぐちクリニック院長)
林史郎氏(内科・消化器内科・健都はやしクリニック院長)
黒田了文氏(内科・黒田内科医院院長)

出典:病院検索ホスピタ

笠浪 真

1978年生まれ。京都府出身。藤沢市在住。大学卒業後、大手会計事務所・法律事務所等にて10年勤務。税務・法務・労務の知識とノウハウを習得して、平成23年に独立開業。
現在、総勢52人(令和3年10月1日現在)のスタッフを抱え、クライアント数は法人・個人を含め約300社。
息子が交通事故に遭遇した際に、医師のおかげで一命をとりとめたことをきっかけに、今度は自分が医療業界へ恩返ししたいという思いに至る。

医院開業・医院経営・スタッフ採用・医療法人化・税務調査・事業承継などこれまでの相談件数は2,000件を超える。その豊富な事例とノウハウを問題解決パターンごとに分類し、クライアントに提供するだけでなく、オウンドメディア『開業医の教科書®︎』にて一般にも公開する。

医院の売上を増やすだけでなく、節税、労務などあらゆる経営課題を解決する。全てをワンストップで一任できる安心感から、医師からの紹介が絶えない。病院で息子の命を助けてもらったからこそ「ひとつでも多くの医院を永続的に繁栄させること」を使命とし、開業医の院長の経営参謀として活動している。

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