はじめに

医院・クリニックを経営され、まとまった資産をお持ちの先生であれば、一度は「タワーマンション節税」という言葉を耳にしたことがあるかと思います。

タワーマンションの高層階を購入することで、固定資産税や相続税を抑えれるこの節税は、かつてブームとされるほど、多くの方が行っていたのです。

しかし、平成29年度税制改正の固定資産税・不動産取得税の改正として「居住用超高層建築物(タワーマンション)に係る課税の見直し」がありました。

ただし、見直しがされたからといって全てのタワーマンションが対象となるのかというとそうではありません。

そこで、「いつかはタワーマンションを…」と購入を考えている開業医または勤務医の先生には知っていただきたい、タワーマンションの節税方法についてお伝えしたいと思います。

タワーマンション節税とは

通常タワーマンションを購入した場合、所有する床面積に応じた一定の計算に基づき、固定資産税等の税金額が決定します。

そのため、同じマンションの建物内であれば、1階でも10階でも20階でも50階でも、同じ床面積であれば同じ税額が課税されます。

タワーマンションのような超高層住宅であると、低層階と高層階とでは市場の売買価格に倍以上の差が発生することも多々あります。

しかし、相続税における家屋の評価は固定資産税評価額が基準であるため、タワーマンションの低層階でも高層階でも相続税評価額が同程度。

高層階の方が安い税金で済む、という点に目を付けた富裕層が、節税対策の一環としてタワーマンションの高層階を購入する動きことタワーマンション節税の全貌なのです。

なお、平成29年度の税制改正前は以下の方法で固定資産税が算出されていました。

・タワーマンション全体の固定資産税額を算出
・上記の固定資産税額を各部屋の床面積で按分

低層階よりも価格の高いタワーマンションの高層階を購入・相続し、低層階と同じ評価額に基づいた相続税を納税する「タワーマンション節税」。
節税できる額が大きかっただけに世間から注目された税金だったのです。

税制改正で見直されたタワーマンション節税

タワーマンション節税は税務上における否認事例がいくつか出ましたが、固定資産税評価基準そのものの改訂を即座に行うことは困難を極めました。

そして、ようやく平成29年度の税制改正において、タワーマンションの階数によって以下のような格差が設定されました。

<平成29年度税制改正時の見直し内容>
・高さが60メートルを超える超高層建築物である
・複数の階に住戸が所在している(タワーマンション)
上記を満たした建物が対象であり、1棟のタワーマンションに係る固定資産税額を按分する基準となる各専有部分の床面積を階層別専有床面積補正率に従い補正する。

階層別専有床面積補正率は、階層が1階上がると税額の按分のベースとなる床面積が約0.26%大きくなるように設定された補正率を指します。

高層階になるほど按分の基準となる床面積が増えるため、固定資産税等も増額となり、1階に比べて40階の固定資産税は約10%増額するように見直されたのです。

ただし、平成29年度の税制改正では、相続税評価の基準となる固定資産税評価自体は変わらないため、相続税に関しての影響は発生しない内容だったのです。

対象が限定的であった税制改正

前項でお伝えした税制改正は、平成30年度から新たに課税されることになるタワーマンション(平成29年4月1日以前の売買契約締結物件を除く)が適用となります。

そのため、平成30年以降の新築・引渡物件であっても、平成29年4月1日より前に売買契約が締結されていれば、そのタワーマンションは現行法が適用されます。

平成30年度以降新たに固定資産税が課税されるマンションが対象であり、課税対象も固定資産税のみであるため、税制改正による影響は極めて限定的でもあったのです。

しかし、タワーマンションに関する税制の見直しはこれで終わりとなるわけではなく、今後の動向に注目しておくことも必要です。

平成29年度税制改正では、固定資産税の増額で決着はつきましたが、タワマン節税に対しては国税庁の厳しい目が光っていることを忘れてはなりません。

国税庁が定める相続税の「財産評価基本通達」では、相続税評価額の原則を時価評価としております。

そのため、もし時価がわかりにくい財産である場合は、便宜的に路線価などを時価として扱うスタンスでもあるのです。

相続発生の直前直後のマンション売買は、時価が特定しやすいため、これまでも時価と相続税評価額との乖離が大きいがために国税庁側が否認したこともありました。

財産評価基本通達には、「この通達の定めによって評価することが著しく不適当と認められる財産の価額は、国税庁長官の指示を受けて評価する」という規定があります。

不動産で相続税対策を行う場合には、購入の経緯・目的・経済的合理性・購入後の利用状況などがポイントとなります。

もし節税を狙う場合、これらのポイントをしっかり理解し、節税スキームのリスクを認識した上で行き過ぎた税金逃れだと思われないように行動することが重要です。

軍用地を使った節税法とは

さて、前項で節税方法としてタワーマンションが注目されている、とお伝えしましたが、実はこの数年で新たに注目が集まっている不動産を利用した節税方法があります。

それは軍用地の不動産物件を活用した節税方法。

沖縄県などにある米軍基地で使用されている土地は「軍用地」と呼ばれ、個人や法人の所有地を政府(防衛省)が借地契約を結ぶことで借り上げます。

そして、政府と沖縄県軍用地主連合会によって決められた借地料に則って、政府は地主に対して年に一度まとめて借地料を支払います。

軍用地は普通の土地と同様、自由に売買でき、公図も存在しますが、住居を建てることは不可能であり、立ち入りも禁止されている区域。

軍用地は政府から返還されない可能性が高く、借り手が半永久的に確定している土地とも言われている不動産資産。

政府が借地料を保証しているために、国債と同様、信用度が高く、いつでも現金化可能な土地として注目されている不動産資産なのです。

軍用地の相続税評価額

軍用地の取引価格は、坪単価とは無関係であり、年間借地料に倍率を掛けることで市場価格が決定します。

市場価格=年間借地料×倍率

倍率は需要によって変化し、「返還の見込みがない場所」は需要が高いため、倍率も高く、「返還の見込みがある場所」は倍率が低い傾向にあります。

そして、軍用地は必ず40%の地上権割合が設定される公用地として評価する必要があり、相続税評価額は次のように計算されます。

相続税評価額=固定資産税評価額×公用地の評価倍率×(100%-40%)

市場価格と相続税評価額の取引価格に大きな乖離が発生すればするほど、高い節税効果が見込まれます。

つまり、タワーマンション節税と同じ理論なのです。

軍用地はアパートやマンションの賃貸経営と異なり、半永久的に借り手が決まっている点と年々上昇傾向にある借地料が魅力でもあります。

人気が高いため、なかなか市場に出回ることがないという問題もありますが、もし軍用地がある地域に住まれているならば、節税対策として投資してはどうでしょう?

まとめ

今回は、タワーマンションや軍用地を使った相続税対策に関する内容をお伝えしました。

  1. タワーマンションを使った節税法
  2. 平成29年度税制改正によるタワマン節税への影響
  3. 軍用地を使った相続税の節税法

兼ねてから不動産による節税法として確立されてきたタワーマンション節税、そして将来性のある軍用地による節税。

他業種に比べ収入が多い医院・クリニックはその分、多額の税金を納めるケースが多くあるため、今回のような不動産投資は節税だけでなく、資産保有にも役立てます。

ぜひ、今回お話したことを1つでも取り入れ、医院・クリニックを経営されている先生の税金対策に役立ててほしいと思います。

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