はじめに

整形外科の開業医の年収は2500万円程度となっています。内科の開業医がだいたい2500万円を超える程度と言われているのでさほど変わりません。自由診療の利く美容整形医や眼科医ほどは高くないものの、まずまずの年収を稼ぐことができそうです。また勤務医の年収が1500万円程度となっていますので、開業することで年収自体は上がる医師の方が多くなっています。

ただ整形外科は検査機器購入のための初期費用がかなりかかってくることもあります。開業のために5000万円から1億円程度の借金をする医師も多く、その返済のためにかなりの金額と期間がかかるケースも多くなっています。実質収入ということを比較していくと、開業医と勤務医での差はあまり大きくはないのかもしれません。

それでも整形外科では内科等と比較して、患者の生命に直接関わる診療をすることは多くありません。足腰の弱くなってしまった高齢者は骨折などで寝たきりになってしまうと生命に関わることもありますが、整形外科で生死を分けるような診療や手術はほとんどありません。その上で内科医と同程度の年収を取れる可能性があるというのはそれなりに魅力があるといえます。

とにかく整形外科は集患をどれだけできるかにかかっていると言われています。患者さんを多く確保して検査・診療などを行うことが、病院の経営の大きなポイントになってきそうです。

勤務医の年収との比較

整形外科で働く勤務医の年収は平均すると1500万円程度となっています。20・30代の若い方は年収1000万円から1300万円程度、40代以上だと1400万円から2000万円程度になってくる方も多くいます。一般に年齢と年収は比例する傾向があります。

また、地域ごとの比較でいくと、北海道・東北地方が群を抜いて高くなっています。この地域ではおよそ4割の方が年収2000万円を超えています。特に東北地方では病院の数が少なく、さらに他の地域よりも高齢化が顕著に進んでいます。一般に高齢の方は足腰の痛みを訴えている方も多く、整形外科に通う患者も多くなっています。そうなると整形外科医の仕事量も多くなることが予想されるので、整形外科医の年収が高くなることは必然的ともいえます。

次に中国四国地方・関西地方・中部地方などが続いて九州地方と関東甲信越地方がやや低めになっています。特に関東地方では年収500万円から600万円程度の整形外科医も1割弱程度いるものと思われます。関東地区特に都市部ほど病院の数も多く生存競争も激しくなっているところもあります。そうなると医師の年収が下がるという傾向があります。

整形外科の都道府県別の開業医の年収

都道府県別の開業医の年収自体のデータがないので現在調査中です。

ただ医師全体の年収で見ると岩手や宮城などの東北地方が高く、富山や福井などの北陸地方で低めになっています。医師の需要度や平均年齢が高い地域の年収が高くなっているようです。

サラリーマンや自営業者などの年収の高い東京・大阪・神奈川・愛知なども決して高い方ではありません。「一般人が稼げる地域=医師が稼げる地域」という構図は基本的に当てはまりません。

開業には少なくても6000万円程度はかかりそう

開業医として病院の勤務医から医院を開業するとなると少なく見積もっても5000万円・普通に考えると7000万円から8000万円程度かかりそうです。

開業するとなると土地や建物などの箱物が必要になります。また検査器具や診察用具などの医療用具一式もそろえなければなりません。

さらに整形外科だと牽引するための器具や温熱器具、さらに低周波治療器やリハビリのための器具や設備などもそろえる必要が出てきます。備品面でのコストがかかってくるのが整形外科の特徴といえます。

そこに看護師や柔道整復師、さらには理学療法士などの専門家も必要になります。それでも手が足りずに家族などに受付や会計などの事務を手伝ってもらう必要が出てくるかもしれません。備品だけでなく人的な面での整備をする必要も出てきますので、コスト面もしっかりと考えておく必要があります。

そして開業コンサルタントなどに開業サポートを頼むとさらに500万円から1000万円程度の資金がかかります。いくらお金があっても足りないかなと思われます。

開業医になると経営者になります。最初は銀行からの借り入れも必要になります。ある程度医院が稼げるようになってもスタッフの給料と借り入れの返済で、開業医自身の報酬がほとんど手元に残らない可能性も高くなります。

勤務医時代と変わらず忙しいにもかかわらず、年収は勤務医時代の数分の1程度もしくはそれ以下になってしまう方も多くいるのではないかと思われます。

実際に都市部の開業医は、開業後2年から数年で医院をたたんでもう一度勤務医に戻ってしまう方も多くいます。

開業をするにはかなりの決心と覚悟が必要になります。

患者を集めることができるか?

とにかく整形外科は集患できるか。これが大きなポイントになります。開業医の場合は1日の平均患者数が40名で年収700万円程度、60名で1300万円程度、100名で2500万程度ではないかと言われています。

開業のために多額の借金をしている方も多く、その返済も兼ねてということになると、1日の患者数をまず50名・年収1000万円程度に乗せる必要があります。この年収1000万円が経営をしていく上でのポイントになります。返済をしても700万・800万円程度は残りそうなので一般の生活をすることには問題ありません。

ただ整形外科医に限らず、開業医の方の多くは家族を持っています。お子さんの教育費もかかりますし、家族もそれなりの生活を望んでいることでしょう。そうなると年収1000万円程度では実際には家計に余裕はなさそうです。勤務医時代よりも年収が下がる医師も少なくありませんので、開業すれば稼げるという図式は必ずしも正しいとはいえない状況です。

実際に整形外科の病院やクリニックを開業して患者数を1日平均50名に乗せることは決して容易ではありません。東北などの地方ほど整形外科も少なく、また高齢者も多くいますので集患はそれなりにできそうな気もしますが、東京を始めとする首都圏や、地方の都市部には病院や医院も多くあります。その中で患者数50名という数字は決して簡単なことではありません。開業したばかりの時期であればなおさらそのハードルは高くなってきます。

また整形外科の場合は接骨院・整体院などの医療機関以外の組織もライバルになってきます。医療などの西洋医学に頼らずにマッサージや施術などの東洋医学の治療を行う方も実際には多くいます。検査をして薬を渡すだけの整形外科ですと、施術などを行う治療院などに患者を持って行かれるなどのリスクは多分に出てくることも予想されます。

整形外科は、集患、特にどれだけ多くの高齢者や年配の方を集められるかがポイントとなりますので、医師も一層丁寧な対応を行う必要があります。また医師だけでなく看護師の方や理学療法士の方がどれだけ患者に寄り添うことができるか。そこからどれだけの高齢者を病院のファン・リピーターにできるか。整形外科の場合は、他の科以上に接客・サービス面が重要となるでしょう。

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プロフィール
笠浪 真

税理士法人テラス 代表税理士
税理士・行政書士
MBA | 慶應義塾大学大学院 医療マネジメント専攻 修士号

1978年生まれ。京都府出身。藤沢市在住。大学卒業後、大手会計事務所・法律事務所等にて10年勤務。税務・法務・労務の知識とノウハウを習得して、平成23年に独立開業。
現在、総勢42人(R2年4月1日現在)のスタッフを抱え、クライアント数は法人・個人を含め約300社。
息子が交通事故に遭遇した際に、医師のおかげで一命をとりとめたことをきっかけに、今度は自分が医療業界へ恩返ししたいという思いに至る。

医院開業・医院経営・スタッフ採用・医療法人化・税務調査・事業承継などこれまでの相談件数は2,000件を超える。その豊富な事例とノウハウを問題解決パターンごとに分類し、クライアントに提供するだけでなく、オウンドメディア『開業医の教科書®︎』にて一般にも公開する。

医院の売上を増やすだけでなく、節税、労務などあらゆる経営課題を解決する。全てをワンストップで一任できる安心感から、医師からの紹介が絶えない。病院で息子の命を助けてもらったからこそ「ひとつでも多くの医院を永続的に繁栄させること」を使命とし、開業医の院長の経営参謀として活動している。

                       

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