マンネリ化の画像

はじめに

最近スタッフのモチベーションも低下している。しかも、患者満足度も最近低いし、実際に来なくなった患者さんもいる。

最近毎日同じことの繰り返しだからか、全体的に覇気がない。もしかして、クリニック全体がマンネリ化しているのではないか?

医院・クリニックに限らず、組織が停滞する理由のひとつにマンネリ化があります。大規模な病院やクリニックであれば、人事異動などでマンネリ化を防ぐこともできます。

しかし、小中規模の個人開業のクリニックや医療法人では、そうもいきません。

そこで、今回はクリニックのマンネリ化を防ぐ秘訣について、考えていきます。

1:新人とベテランをバランスよく採用する

採用の画像

新人スタッフとベテランスタッフについては、両方採用し、各々の業務にバランスよく配置するのが理想です。

できれば、技術的に熟練したベテランスタッフを多めに採用したい気持ちもあるでしょう。

しかし、ベテランスタッフばかりでは、全員が前職のやり方を押し通そうとしたり、新しい治療や取り組みに消極的になりがちです。

その結果、クリニック全体がマンネリ化した雰囲気になってしまい、結果としてスタッフのモチベーションに影響します。

もちろん、看護師にしろ、窓口にしろ、新人スタッフばかりでは初歩的なミスが続き、患者さんからのクレームに繋がります。院長先生の教育時間も割かれてしまいます。

このようなことを防ぐため、新人とベテランを両方バランスよく配置すると良いでしょう。

そして、ベテランスタッフに新人の指導を担当してもらい、早い段階でスキルアップを促すのです。

新人であれば、比較的新しい治療や取り組みに積極的です。

経験年数が多い人を多く採用すれば良いとは限りません。偏りなく採用するようにしていきましょう。

2:風通しの良い職場にする

風通しの良い職場のイメージ

マンネリ化を防ぐためには、スタッフの意見が活発に出てくるような雰囲気を作り上げることが欠かせません。

院長先生の方針を一方的に押し付けるトップダウン型のボスマネジメントでは、スタッフが意見を言いにくくなります。

ミスしてはいけない、間違ったことをしてはいけないという雰囲気が、かえって業務をぎこちなくしてしまい、スタッフは楽しく仕事ができません。

そればかりか、意見が言いにくいので、新しい取り組みを導入しづらくなり、早い段階でマンネリ化を招いてしまうでしょう。

クリニックに、常に新鮮な空気をもたらし、モチベーションを維持するには、スタッフと対等な立場で、意見を交わせる雰囲気が大切です。

3:ほどよい緊張感を保つ

緊張感の画像

スタッフから活発な意見が出て、マンネリ化を防ぐには、風通しの良い職場にすることが第一条件になります。

しかし、一方で緊張感を保つことも大切です。緊張感のない職場は、どうしてもマンネリ化を招き、結果的にスタッフのモチベーションが下がります。

クリニックの目指すことは、安心・安全の場を作ることではありません。安心・安全の場でスタッフが成長していける職場作りです。

スポーツの例を挙げると、プロサッカーの鹿島アントラーズの石井正忠元監督が大切にしていたのが、この「緊張感」だったと言います。

タイトルを獲得したシーズンと、優勝争いに絡めなかったシーズンの違いは、緊張感があるか、ないかだったと言います。

「結果を残せている時期は、練習から緊張感があります。選手自身が積極的に練習に取り組み、お互いに要求し合う声が出ていたりする。練習にしっかりとメリハリがあります。一方、結果が出なかった時期は、練習の雰囲気が悪かったり、選手が監督からの指示待ちだったり、ということがありました。一定の緊張感があるなかで練習に取り組むことが、すごく大事なのだと思います」

これはクリニック経営にも同じことが言えるでしょう。

石井元監督の言葉からわかるように、緊張感とは、「失敗してはいけない」というピリピリした空気感ではありません。

むしろ、選手(クリニックに置き換えればスタッフ)が各々の目標に向かって、自立的に動くことを言います。

石井元監督が言う「練習の雰囲気が悪かったり、選手が監督からの指示待ち」という状態が、「緊張感のない」状態とするならば、上記のボスマネジメントは、良い意味の緊張感を奪う行為とも言うことができるでしょう。

・「院長先生の言うこと聞かないと怒られる」「失敗したら説教される」というピリピリした空気のなかで仕事するか

・自分の職場での目標を掲げて、達成できるように日々の仕事に励むか

どちらの緊張感がクリニック経営に良い結果をもたらすかは明白でしょう。

4:経営理念の浸透とゴール設定がマンネリ化を防ぐ

経営理念の浸透

スタッフに長く働いてもらい、かつクリニック経営のマンネリ化を防ぐためには、やはりチームとしての土台が重要になってきます。

土台とは、経営理念であり、スタッフにも十分経営理念を浸透させ、大まかなゴール(院長先生の方針)を設定しておくことが重要です。

マンネリ化に悩んでいるクリニックの多くは、スタッフが目標なく日々の仕事をこなしていたりしているケースが大半です。

「このクリニックで働いている間に、こういう人材に成長したい」

という、理念に基づいた目標設定がなければ、徐々にスタッフのモチベーションは下がっていきます。

「目に見えないものは重要視しない」これは日本人の特性として、よく言われることです。

しかし、理念や指針をスタッフに浸透させているクリニックと、そうでないクリニックでは、院全体の雰囲気が全然違います。

目標がなければ、いずれ働いていても楽しくなくなるのは当然です。

利益重視の自分の方針を押し付けるボスマネジメントではなく、院の方針を示した上で、自分なら何ができるか。

院長先生は、スタッフと一緒に考える機会を設けても良いでしょう。

5:一方的に教えるのではなく、考えさせる

スタッフ教育の画像

先にお伝えしたボスマネジメントの一例になりますが、一方的に「こういう場合は、こうするんだ!」という一方的に押し付けるのはマンネリ化を招きます。

スタッフが考えなくなってしまい、指示待ち人間に育ってしまうためです。

指示待ち人間になってしまうと、チームの意図を汲んで動いてもらえなくなりますし、スタッフ自身、楽しく仕事ができなくなります。

そのため、何かスタッフがミスした場合、業務の生産性が低いような場合は、すぐに指摘するのではなく、考えさせるようにしましょう。

「どうすれば良いと思う?」「それはなぜ?」と問いかけるのです。

もちろん、聞かれたことを「自分で考えろ」と突き放すのは、「何もしてくれない人」という不満を生みます。

院長先生や、先輩スタッフが明確な方向性を示すことができるなら、敢えてそれを言わず、一度スタッフに考えさせましょう。

その方が、スタッフは自主的に考えて仕事をする習慣が身につくので、自然と周りの意図を汲んで仕事をしてくれるようになります。

マンネリ化を防ぐことはできますし、チームの生産性は結果的に高くなるでしょう。

6:タスクの締切を守らせる

締め切りの画像

マンネリ化が浸透している場合、日々のタスクにたいして、時間にルーズになりがちです。

時間にルーズになれば、業務の優先順位を考えずに「まあ、これは後からで良いか」となってしまいます。

だらだらと仕事をすることになり、生産性も上がりませんから、余計な残業代の発生に繋がることもあります。

ひどい場合だと「別の仕事で忙しいし、やらなくて良いか」に変わり、本来やるべき業務が進まなくなってしまいます。

緊急を要することでなくても、各々のタスクに締切をつけることで、時間を意識し、緊張感を保つようにしましょう。

また時間制限内で業務を終わらせることにより、スタッフが達成感や満足感を得られるようになるため、モチベーションの維持にも繋がります。

7:緊急性が低く、重要度の高い業務を優先的に

マトリックス

上記のように、各々の業務に締切を設けることも大切ですが、タイムマネジメントの話では、上の座標のように緊急性と重要性を意識することも大切です。

タイムマネジメントや自己啓発本で多く紹介されている考え方なので、ご存知の先生もいるかもしれません。

長期的にクリニック全体の生産性を高め、しかもマンネリ化を防ぐには、次の緊急性と重要性のマトリックスに沿った考えは欠かせません。

①緊急性:高、重要性:高
②緊急性:低、重要性:高
③緊急性:高、重要性:低
④緊急性:低、重要性:低

この中で、言うまでもなく最優先事項は①の緊急性も重要性の高い業務ですが、これが終わると、③の緊急度の高いことに取り掛かりがちです。

しかし、本来大事なことは、②の緊急性が低くて重要度が高いことであり、優先順位としては、

◎:①⇒②⇒③⇒④
×:①⇒③⇒②⇒④

とされています。

また、①や③の時間を減らし、いかに②の緊急性は低いが重要度が高いものの業務の割合を増やすかが、長期的な生産性の向上に繋がります。

各々のクリニックによって違いますが、例えば緊急性も重要度も高いタスクというと、急患対応やトラブル対応などが挙げられるでしょう。特に生命に関わるような場合もあります。

一方、緊急度は低いが重要度が高い項目は、長期的なゴール設定を考えた際に必要な項目です。

例えば研修参加などの自己啓発にかかる時間、新しい治療の導入、生産性を高めるシステムの導入などが挙げられます。

日々のタスクに締切を設定する際も、この緊急性と重要性のマトリックスを意識して設定すると良いでしょう。

【まとめ】安心・安全の空間の中で心地よい緊張感を

以上、クリニック経営のマンネリ化を防ぎ、スタッフのモチベーションを維持する秘訣についてお伝えしました。

大切なことは、「怒られてはいけない」というピリピリした緊張感ではなく、スタッフが内発的動機を促す緊張感であることがわかります。

このような心地よい緊張感は、トップダウン型のボスマネジメントではなく、むしろ安心・安全の空間の中でしか生まれません。

ぜひ、本記事で紹介した秘訣のうち、1つでも取り組めるようなことがあれば、ぜひ実践していきましょう。

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プロフィール
亀井 隆弘

社労士法人テラス代表 社会保険労務士

広島大学法学部卒業。大手旅行代理店で16年勤務した後、社労士事務所に勤務しながら2013年紛争解決手続代理業務が可能な特定社会保険労務士となる。
笠浪代表と出会い、医療業界の今後の将来性を感じて入社。2017年より参画。関連会社である社会保険労務士法人テラス東京所長を務める。
以後、医科歯科クリニックに特化してスタッフ採用、就業規則の作成、労使間の問題対応、雇用関係の助成金申請などに従事。直接クリニックに訪問し、多くの院長が悩む労務問題の解決に努め、スタッフの満足度の向上を図っている。
「スタッフとのトラブル解決にはなくてはならない存在」として、クライアントから絶大な信頼を得る。
今後は働き方改革も踏まえ、クリニックが理想の医療を実現するために、より働きやすい職場となる仕組みを作っていくことを使命としている。

                       

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