はじめに

小児科の開業医の年収はおよそ3000万円程度と言われています。子供は大人と比較すると病院やクリニックを受診する頻度が高いため、子供の多い地域で開業をすれば高収入につながると言えます。

ただそう簡単には甘くないのが開業医の実態です。小児科は都市部を中心に既に数多くありますし、集患ができなければ閉院をする運命にもなります。開業にも膨大な貸金がかかりますので返済も容易ではありません。

小児科の大半は急な熱や風邪といった症状の対応で済みそうですが、中には心臓や小児がんなどの重い病気を抱え、適切な治療を行っても亡くなってしまう子供も少なくありません。

さらにインフルエンザなどの予防接種などで死亡事故になってしまった、または重い後遺症が残ってしまったというケースも出てきます。そこから裁判の争いに巻き込まれることもあります。これらは確率の問題で起こってしまうことなので防ぐことができません。こういった問題とどうやって向き合っていくかも重要になります。

子供が病気を抱えていると親もストレスを感じ、医師にもナーバスになります。小さな子供の死に目に会うという大きなリスクを背負うよりも、他の科で専門分野を生かして働いた方が、医師としての長期的なメリットにつながるという面も実際にあります。

小児科の医師が恒常的に不足しているという原因は、これらのところにもありそうです。

勤務医の年収との比較

小児科の勤務医の年収の平均は、おおよそ1600万円から1800万円程度といえます。他の科よりもやや高めで、小児科のニーズの高さを如実に示しています。

ただ20代の方の15%程度が年収600万円以下、50%程度の方が年収1000万円以下と低めになっています。30代になってくると年収1000万円以下の方は全体の6分の1くらいで、大半の方は年収1000万円を超えます。

さらに40代になると全体の8割程度の方が年収1400万円以上になります。年収2000万円以上の方も全体の2割程度出てきます。

小児科の勤務医は一般に勤続年数に比例して年収が上がっていくと言えるでしょう。

小児科の地域別の勤務医の年収

小児科の勤務医でもっとも高い年収を得ている地域は北海道・東北地方となっています。ほぼ全員が1000万円以上となっており、6割程度の方が1500万円以上、そして2000万円以上の方も3分の1ほどいます。2000万円以上という高収入層の方が圧倒的に多いのもこの地域の特徴となっています。やはり北日本は全体的に医師不足の顕著な地域であるため、年収は高めの傾向になっています。この流れは今後もさらに続いていくものと思われます。

次に関西地方と中国・四国地方が続いています。この地域は年収2000万円以上の層は殆どいませんが、年収1000万円以下の方も同じく殆どいません。平均的に高い年収の方が多く、関西地方では4名に3名、中国・四国地方では5名に3名が、年収1400万円以上となっており、安定した収入を得ることができそうです。

関東地方では年収800万円クラスの方が数%程度いるものの、極端に年収の低い方はいないようです。中部地方は600万円以下の方が2割弱、1000万円以下の方が3名に1名程度となっています。ただ半数程度の方が年収1500万円以上を得ていますので、年収格差があると言えます。九州地方はほぼ半数の方が年収1000万円以下と、突出して年収が低くなっています。

この状況を見る感じでは、九州地区全体でみていくと小児科医が足りているのかもしれませんが、日本全国で見ていくと小児科医はまだまだ足りておらず、特に北日本や中国・四国地方の人口過疎地域の進んでいる地域ほど医師が不足しているという実態が見えてきています。

小児科の都道府県別の開業医の年収

都道府県別の開業医の年収自体のデータがないので現在調査中です。

ただ医師全体の年収で見ると岩手や宮城などの東北地方が高く、富山や福井などの北陸地方で低めになっています。医師の需要度や医師の平均年齢が高い地域では、比較的年収が高い傾向にあるようです。

サラリーマンや自営業者などの年収の高い東京・大阪・神奈川・愛知なども決して高い方ではありません。「一般人が稼げる地域=医師が稼げる地域」という構図は基本的に当てはまりません。

開業には少なくても6000万円程度はかかりそう


開業医として病院の勤務医から医院を開業するとなると、少なく見積もっても5000万円程度はかかりそうです。また自宅で開業するとなると1億円前後の開業資金を覚悟する必要がありそうです。

開業するとなると土地や建物などの箱物が必要になります。また検査器具や診察用具などの医療機器一式もそろえなければなりません。

さらにお子さんが遊べるキッズルームのスペースを検討する必要もあります。部屋数が多くなりそうですので資金もかかりそうです。

そこに看護師や検査データから様々な病気の情報提供をする検査技師などの専門家も必要になります。それでも手が足りずに家族などに受付や会計などの事務を手伝ってもらう必要が出てくるかもしれません。
備品だけでなく人的な面での整備をする必要も出てきますのでコスト面もしっかりと考えておく必要があります。

そして開業コンサルタントなどに開業サポートを頼むとさらに500万円から1000万円程度の資金がかかります。いくらお金があっても足りないかなと思われます。

開業医になると経営者になります。最初は銀行からの借り入れも必要になります。ある程度医院が稼げるようになってもスタッフの給料と借り入れの返済で、開業医自身の報酬がほとんど手元に残らない可能性も高くなります。

勤務医時代と変わらず忙しいにもかかわらず、年収は勤務医時代の数分の1程度もしくはそれ以下になってしまう方も多くいるのではないかと思われます。

実際に都市部の開業医は、開業後2年から数年で医院をたたんでもう一度勤務医に戻ってしまう方も多くいます。

開業をするにはかなりの決心と覚悟が必要になります。

どれだけ細かな気遣いができるか?

小児科医になると集団生活で起こる風邪やインフルエンザ・ノロウイルスなどの感染症対策だけでなく、小児がんなどの生死にかかわる病気の発見など大きな役割を担っています。

ただ小児科医に求められていることはこれだけではありません。成長する上で大切な身体作りなどのアドバイスを行うことも大事な仕事です。

さらに最近注目されるようになってきている幼児虐待や、発達障害などの見極めなどを行うことも重要になります。

長期的に見るとお子さんの人生に深く関わり、命を救うことにもつながる、重大な役割を持つ科目であると言えます。

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プロフィール
笠浪 真

税理士法人テラス 代表税理士
税理士・行政書士
MBA | 慶應義塾大学大学院 医療マネジメント専攻 修士号

1978年生まれ。京都府出身。藤沢市在住。大学卒業後、大手会計事務所・法律事務所等にて10年勤務。税務・法務・労務の知識とノウハウを習得して、平成23年に独立開業。
現在、総勢42人(R2年4月1日現在)のスタッフを抱え、クライアント数は法人・個人を含め約300社。
息子が交通事故に遭遇した際に、医師のおかげで一命をとりとめたことをきっかけに、今度は自分が医療業界へ恩返ししたいという思いに至る。

医院開業・医院経営・スタッフ採用・医療法人化・税務調査・事業承継などこれまでの相談件数は2,000件を超える。その豊富な事例とノウハウを問題解決パターンごとに分類し、クライアントに提供するだけでなく、オウンドメディア『開業医の教科書®︎』にて一般にも公開する。

医院の売上を増やすだけでなく、節税、労務などあらゆる経営課題を解決する。全てをワンストップで一任できる安心感から、医師からの紹介が絶えない。病院で息子の命を助けてもらったからこそ「ひとつでも多くの医院を永続的に繁栄させること」を使命とし、開業医の院長の経営参謀として活動している。

                       

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