はじめに

「看板やバスの座席広告を出したが、費用に見合った効果はほとんど得られなかった。」
「自身でホームページを製作したが、思うような集患ができなかった。」
「テレビ、雑誌等の媒体広告はじめ、折込チラシ、街頭配布、DM、と考えられる限りの対策を行ったが広告費が高くつきすぎ、効果が得られなかった。」

ここでは開業時の広告について、留意点を見ていきます。

広告を出して失敗した事例

まずは、開業時の広告で失敗してしまった事例をご紹介します。

事例1:広告費の無駄遣い
事例2:素人のインターネット戦略
事例3:看板作戦の失敗

事例1:広告費の無駄遣い

A先生の美容整形クリニックでは、コンサルタントに勧められたこともあり、「広告を出しさえすれば集患できる」という誤解から、テレビ、雑誌等の媒体広告をはじめ、折込チラシ、街頭配布、DM、と考えられる限りの対策を行いました。

告知作業に全力で取り組んだものの、反応は想定を下回ってばかり。

むしろ露出が多すぎて、「あそこは高額な治療費を請求される高級クリニックなのでは?」という印象を持たれてしまい、患者さんに敬遠されるという、完全な逆効果となってしまいました。

事例2:素人のインターネット戦略

ホームページ作成業者に見積もりを取ってはみたものの、思ったよりも高額。
そこで、少しパソコンの心得もあるB先生は、自身でホームページを製作することにしました。

忙しい開業準備の合間を縫って悪戦苦闘すること1ヵ月。
どうにかサイトは完成しましたが、ところどころどうしても素人っぽいところが出てしまったのは仕方がありません。

しかし、そのホームページには、見よう見まねで施したSEO対策しかできておらず、検索にも引っかかりません。
また、ホームページには必要最低限の情報しか載せていなかったため、新規の患者様になかなか足を運んでもらうことができませんでした。

事例3:看板作戦の失敗

C先生が開業する内科では、地元の高齢者がたくさん来院してくれることを見込んでおり、診療圏に電柱広告や野立て広告をたくさん出すことにしました。

ところが、単純に医院の名前や連絡先しか載せていなかったため、なかなか費用に見合った集患ができませんでした。

今の時代は高齢者でもスマホを使いこなしており、電柱広告や野立て広告にも二次元バーコードを表示して自院のホームページに誘導したり、治療の理念や特色などを短く分かりやすく表示する必要があったのです。

広告を依頼した業者にはそうしたノウハウがなく、特にアドバイスをもらうこともありませんでした。

そこで毎月数十万円の維持費を支払うのがだんだん厳しくなり、広告の掲示数を減らさざるを得ませんでした。

以上、3つの失敗事例を見てきましたが、さらにもう一つ。

開業コンサルタントなどに相談した場合、やみくもに「広告費を増やしましょう」としか言われないこともあります。

確かに効果が上がることもありますが、言われるまま広告を出してしまって、ポイントを押さえた投資をしないと毎月のキャッシュフローに悪影響を及ぼしてしまうことにもなりかねません。

そうならないよう、広告に対する留意点を見ていきますが、最初に次の規制について必ず押さえておいてください。

医療機関は、一定の事項を除いて広告してはならない!

医療機関は、法律で定める一定の事項を除いて広告してはならないのが原則です。
医療広告として何が広告できるかについては医療法6条の5第1項に定めがあり、13の項目が示されています。この13項目(下記は抜粋)以外は広告できません。

1.医師又は歯科医師である旨
2.診療科名
3.病院又は診療所の名称、電話番号及び所在の場所を表示する事項並びに病院又は診療所の管理者の氏名
4.診療日若しくは診療時間又は予約による診療の実施の有無
5.法令の規定に基づき一定の医療を担うものとして指定を受けた病院若しくは診療所、又は医師若しくは歯科医師である場合には、その旨
6.入院設備の有無、法令に基づく病床の種別ごとの数、医師、歯科医師、薬剤師、看護師その他の従業者の員数等
7.当該病院又は診療所において診療に従事する医師、歯科医師、薬剤師、看護師その他の医療従事者の氏名、年齢、性別、役職、略歴等
8.患者又はその家族からの医療に関する相談に応ずるための措置、医療の安全を確保するための措置、個人情報の適正な取扱いを確保するための措置等
9.紹介をすることができる他の病院もしくは診療所
10.診療録その他の診療に関する諸記録に係る情報の提供
11.当該病院又は診療所において提供される医療の内容に関する事項
12.当該病院又は診療所における患者の平均的な入院日数、平均的な外来患者又は入院患者の数等
13.その他前各号に掲げる事項に準ずるものとして厚生労働大臣が定める事項

「広告かどうか」は、下記の全ての要件を満たすかどうかで判断がなされます。

①患者の受診等を誘引する意図があること(誘因性)
②医業もしくは歯科医業を提供する者の氏名もしくは名称または病院もしくは診療所の名称が特定可能であること(特定性)
③一般人が認知できる状態にあること(認知性)

記事等の形をしていたり、「これは広告ではありません」等の表記をしていたりしても、上記要件を満たす場合は広告として扱われ、規制の対象になります。

また医療法では次のような広告を明確に禁止しています。

患者の主観又は伝聞に基づく、治療等の内容又は効果に関する体験談の広告

治療等の内容又は効果について、患者等を誤認させるおそれがある治療等の前又は後の写真等の広告
(ただし、「詳細な説明文(具体的な治療内容、副作用、リスクなど)」があれば掲載が認められます。)

「広告可能な一定の事項」については「医療法」および「医療広告ガイドライン」で定められています。

医療広告ガイドラインは、2018年6月1日に新しいバージョンが発表されており、最大の焦点は、これまで広告の扱いを受けなかった「ホームページ」が広告扱いになったことです。

最新の医療広告ガイドラインには必ず目を通しておきましょう。

広告の種類と押さえておくべきポイントとは?

病院の主な広告手段としては、次のようなものがあります。
それぞれのポイントを見ていきましょう。

1)駅看板
2)電柱広告
3)チラシ(折り込み広告、ポスティング等の紙媒体)
4)ホームページ、ブログ、SNS
5)口コミ

1)駅看板

鉄道各駅に掲出される広告です。
一般的には電柱広告等よりも掲載料が高額になりますが、その分有効に活用すると非常に大きい効果が見込めます。

ターゲットとする患者が多く利用する駅に設置しましょう。

駅内の掲出場所も朝晩の通勤ルート(急行停車駅に掲載するなど)に合わせて選びましょう。

表示内容については、「背景白ベースに黒文字のみ、〇〇医院 診療科目」というものは避け、患者さんに興味を持ってもらえるような内容(例えば、治療方針や理念、病院の特色などを分かりやすく記載)にしましょう。

2)電柱広告、野立て広告・店舗看板

徒歩圏内の患者さんを想定したもので、病院までの道案内の役割も果たす広告です。

駅看板と同様に、表示内容については、「単純に病院名と診療科目、地図のみ」というものを避け、治療方針や理念、病院の特色などを分かりやすく記載しましょう。

スマホで検索する人も多いため、二次元バーコードの組み込みを検討するのも有効です。

3)チラシ(折り込み広告、ポスティング等の紙媒体)

地域密着型の病院では、チラシも有効な広告手段となります。
内覧会等のイベントのお知らせにも有効な媒体です。

自院の理念や医師の経歴、対応可能な疾患や検査の種類、HPアドレス等を分かりやすく掲載し、捨てられないチラシにする工夫をしましょう。

ターゲットとするエリアを明確に絞り、週末等在宅率の高い日を狙って配布するなどで費用体効果を高める工夫をしましょう。

スタッフ等の求人チラシにも、病院の特徴を前面に出して、新規開院を印象付けると一石二鳥です。

4)ホームページ、ブログ、SNS

想定患者が壮年層以下の場合や、小児科等の親が若い世代が多い場合は、ホームページをチェックしてから来院する方も非常に増えています。

ホームページを中心に、ブログ、SNS、スマホサイト等を連動させて、理念や治療方法等を情報提供しましょう。

連絡方法や待ち時間の目安、予約方法等を分かりやすく掲載しましょう。(待ち時間が長いと想定される場合、待ち時間がリアルタイム表示される機能を付けるのも良いでしょう。)

看板に二次元バーコードを付け、ホームページに連動するのも非常に有効です。

5)口コミ

実際に治療を受けてみないとなかなか良し悪しが分からない病院は、高齢者ネットワークやママ友ネットワークなど、口コミの影響力は昔から非常に強いものです。

ただし、悪い噂は良い噂より早く広まるもの。
普段から自分の病院がどう見られているかを常に注意しておきましょう。

ネット上には口コミサイトも数多く存在します。
定期的に自分の病院の名前で検索を行い、評判を確認するとともに、悪意のある書き込みを発見した場合は管理者に連絡して削除してもらうなどの措置をとることも必要になってきます。

広告の成功例と、広告業者の選び方のポイントとは?

うまく広告を活用して、集患数を増やした事例には次のようなものがあります。

医院のロゴマークに動物のキャラクターを入れたところ、子供の患者さんの増患に結びついた。

ホームページに訪れた新規の患者さんが、スタッフの顔写真やメッセージを見て、安心して来院してくれるようになった。

Web上でこれまでの症例と治療について紹介したことで、同じ症例の患者さんが多く来院してくれるようになった。

広告を出す際には、広告業者を利用することも多いでしょう。
上記のような、集患につながる提案をしてくれる業者を選びたいものです。

広告業者には、電柱広告、チラシ、ネットなどそれぞれ得意分野があります。

なお駅や電柱の看板には業者自体が持つ既得権と絡んでいる場合があり、業者によって広告料が変わることもあります。
複数業者に見積もりを取るなどして、確認をしましょう。

またホームページ等のインターネット媒体についても得意分野が異なっていたり、新規参入したばかりの業者も多いので、実績や得意分野を確認する等の用心が必要になってきます。

さらに、言語道断の話ではありますが、「看板や広告料金の集金」と称して付き合いのない業者が集金に来ることもあり、事情に詳しくない事務員などがうっかり支払いをしてしまうケースもあります。

詐欺にはくれぐれも注意しましょう。

まとめ 効果の高い広告に投資しよう

開業時の広告の失敗事例、順守すべき規制(医療法や医療広告ガイドライン)、広告の種類とそれぞれのポイント、広告の成功例や広告業者を選ぶポイントについてお話してきました。

広告には費用が掛かりますが、新規集患数を増やしていくには欠かせない手段です。

効果を測定し、費用対効果を見ながら集患に有効な広告を見極めていきましょう。
一度広告を出したからといって、集患数が大きく増えることは非常にまれです。

それよりも改善を続けながら、費用対効果の高い広告を探していくようにしましょう。

また複数の広告を組み合わせることも非常に大切です。
看板やチラシに、二次元バーコードを組み合わせて自院のホームページに誘導するなど、広告を連動することも是非検討してください。

ホームページや規制については、下記の記事も参照してみてください。
知らないと怖いホームページの医療広告規制5つのポイント

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