はじめに

特殊な環境である医院・クリニックなどの医療現場において、夜遅くまで残業が発生することはよくあることかと思います。

毎年発表されている日本医療労働組合連合会による労働実態調査結果でも、看護師の約9割は残業していると発表されています。

これは深夜勤務等で特殊な勤務形態の医院が多く、更には緊急入院や患者の急変などによって、突発的な対応を求められることが医療現場では多いためでしょう。

また、場合によっては研修や勉強会など医院側からの指示で、参加せざるを得ない状況も起こり得ます。

今や残業が常態化している医院・クリニックではありますが、医師や看護師が残業をする場合に福利厚生として残業食事を提供することが可能なのをご存知でしょうか?

従業員のために医院・クリニック側が負担した残業食事代については、福利厚生費として計上し、食費として給与扱いにせずとも経費として計上できるのです。

ただし、この残業食事の供与には、特定の従業員限定や居酒屋などで飲酒を伴う食事は福利厚生費として計上できないなどの条件があります。

そこで今回は医院・クリニックにてありがちな残業時の食事代に関して、福利厚生費として節税できる方法をお伝えいたします。

残業時の食事を負担して節税する

過去に医院を開業したクライアントでは従業員のために夜の食事を会社負担にし、弁当をデリバリーしてもらうようにした医院もいらっしゃいました。

しかも食事代だけでなく、医院のインターホンに「宅配サービス様へ」というボタンまで用意してまで取り組んだその医院はなぜそこまで行ったのでしょうか?

その医療現場は20代後半から30代の働き盛りの従業員が多かったのと、更には独身者が約半数を占めていた状況でした。

そして、従業員の業務は医院・クリニック内での業務がほとんどでした。

若い従業員による残業が多かったが故に、残業食事代を福利厚生費の損金扱いとして、計上できたことが大きな理由だったのです。

従業員に対して勤務時間内に食事を提供した場合、食事代を提供した医院・クリニック側の必要経費として、法人損金の扱いとなります。

しかし、提供された側である従業員等は現物給与とみなされるために、所得税など税金の対象となってしまうのです。

しかし、勤務時間を超えて残業した従業員等に食事を提供した場合に関しては、食事を提供された従業員等に対して税金が課されないように対応することが可能なのです。

残業食事代は現金支給しないこと

先ほど、残業時の食事を提供した際に起こる負担金は福利厚生費として扱えるとお伝えしましたが、これがもし食事代でなく現金を支給した場合はどうなるのでしょうか?

この場合は福利厚生費として経費扱いにすることができず、医者や看護師など従業員の給与として課税されることになります。

従業員の給与となるため、源泉徴収も必要となりますし、場合によっては消費税計算上においても不利なケースもあるため、現金支給は控えた方が良いのです。

ただし、以下の食事代に関しては現金支給しても給与課税になりません。

夜食の現物支給が困難な場合(ただし、1食当たり300円(税抜)以下の金額まで)
残業、宿日直時に食事を支給する場合

この規則については、国税庁のホームページにも記載されていますのでご覧ください。

また、現金で食事代の補助をする場合には、深夜勤務者に夜食の支給ができないために1食当たり300円(税抜き)以下の金額を支給する場合を除き、補助をする全額が給与として課税されます。 なお、残業又は宿日直を行うときに支給する食事は、無料で支給しても給与として課税しなくてもよいことになっています

残業の食事代を負担する場合の注意点

前項では医師や看護師が残業した場合の食事代を負担することで、福利厚生費として計上することが可能である旨をお伝えしました。

ただ、どんな条件であっても残業時の食事代を福利厚生費として計上できるのかというとそうではありません。

大きく以下の3つの要項を遵守する必要があります。

  1. 特定の役員・社員だけでは認められない
  2. 残業食事代の負担金は常識の範疇でないと認められない
  3. 交際費扱いとなるような食事は認められない

本項では残業食事代を福利厚生費として計上する場合の注意点について、詳しくお伝えいたします。

特定の役員・社員だけでは認められない

残業食事代が個人事業主本人や管理職だけである場合に関しては認められないことが多いので注意が必要です。

これはつまり、残業食事代の対象が全従業員でないと、福利厚生費として計上することができないということです。

ただし、従業員と一緒に残業中にお弁当を食べる、残業後に食事をするといった場合であれば認められることもあります。

特定の従業員のみを残業食事代の対象としていた場合には、交際費や従業員給与として扱いを受けることになるので気を付けましょう。

残業食事代の負担金は常識の範疇に収めること

コンビニエンスストア、スーパー、ファミリーレストラン、定食屋など一般常識的に残業食事代と考えられるお店で購入したとしても、飲食物・価格によっては認められない可能性があります。

たとえば、何千円もする高級弁当やアルコールが入った酒類なども当然ながら残業食事代として福利厚生費として計上できることは不可能です。

また、高級レストランや高級料亭など、残業での食事とは明らかに関連しないような場合も福利厚生費でなく、交際費や給与となる可能性は高くなります。

交際費扱いとなるような食事は認められない

勤務時間中に通常アルコールが含まれた飲み物を飲むことは決してありません。

そのため、アルコールが入った飲み物が含まれる場合は交際費と認定される可能性が高いのでやめておきましょう。

残業終了後に食事をする場合など、ビールや酎ハイを少し飲む程度であれば、福利厚生費として残業食事代に該当することもありますが、あまりオススメできません。

残業食事代を福利厚生費として計上するためにも、医院内で福利厚生規程を作成し、先ほどの注意点を織り込んでおくことを推奨します。

なぜなら規定を設けることによって、税務署による税務調査で不利益を受けにくくなるのと、従業員が給与や交際費として計上するのを回避するためです。

先ほどの3つの注意点も一見常識的な話に聞こえますが、もし遵守できていないと、医院としても従業員としても節税できない結果となってしまいます。

従業員が少しでも仕事をしやすい環境を構築するためにも、残業食事代に関する規定等を作成しておくのがよいでしょう。

まとめ

今回は、残業時に発生する食事代を福利厚生費として計上するための方法・注意点についてお伝えしました。

  1. 残業時の食事代を経費計上する方法
  2. 残業食事代を福利厚生費扱いにする場合の注意点

特殊な勤務体制である医院やクリニックにおいて、突然の業務対応により、夜遅くまで残業が発生するのはよくあることだと思います。

しかし、残業が発生した場合に食事代を医院・クリニックが負担することによって、交際費・給与ではなく。福利厚生費として計上することが可能なのです。

ぜひ、今回お話したことを1つでも取り入れて、医院経営における税金対策を実現できればと思います。

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