婦人科年収

はじめに

婦人科の開業医の年収はおよそ2000万円から2500万円程度と言われています。2300万円という年収は魅力的ですが、他の科に比べると高くありません。レディースクリニックなどでは、産婦人科は標榜せず、婦人科専門のみのところもあります。

婦人科では主に月経不順、不正出血、生理痛、おりもの異常、緊急避妊(アフターピル)、ブライダルチェック(子宮頸がん検査・超音波検査・クラミジア検査・淋菌検査)などを扱っているところが多いです。また子宮がんや卵巣がんなどの婦人科系がん検診も行ないます。婦人科系がんは初期症状がないことが多いため、過去に子宮筋腫などと診断されたことがある方は半年に1回、特に何もない方でも1年に1回の検診が推奨されています。

婦人科や産婦人科においては女性医師の割合が高くなっています。婦人科は女性にとってのデリケートな部分にもなりますので、「女性医師のところに通院したい」という心理が働くのは当然といえます。ただ、近年は、産婦人科のリーダー医師は女性でも、サポートに男性医師などが入るチーム制を採用する産婦人科チームが多くなってきています。産婦人科も個人の医師が行うのではなく、これからはチームで行う時代が来るかもしれません。

また開業資金も婦人科で5000万円程度はかかりそうですので、安易に参入がしやすいという分野でもありません。婦人科医や産婦人科医は成り手が増えないため参入障壁は高くはないですが、特に産婦人科は昼夜問わずの激務なこともあり、今後も開業医や勤務医が増えるということはあまり期待できないかもしれません。

勤務医の年収との比較

婦人科の勤務医の年収は年齢そして経験に比例しています。20代の方の多くは年収800万円未満の方が多く、30代になってくると年収1000万円以上の方が何割か出てきます。40代以降になると多くの方が1000万円以上となり、1500万円以上になる方もいます。

産婦人科医の数は多くないため、ニーズは高く、必然的に年収は上がっていく傾向にあります。多くの病院で産婦人科医を必要としていますし、きちんと経営をしているところであれば仕事に見合うだけのお給料を出す病院が多くなっています。ただそれ以上に激務といえますので注意が必要です。

婦人科では、大学病院や総合病院などの勤務医を5年から10年ほど行ってから開業する方もいますが、長期間勤務医として勤務をし続ける方もいます。どの科目にも言えることですが、勤務医として自分の考えと病院の考えが異なること・仕事と年収がなかなか見合わないこと・それから先輩医師や看護師などのスタッフの方との人間関係を解消したいなどの理由で開業をする方が多いようです。

婦人科は産婦人科を兼ねていることが多いものの、東京や神奈川などの都市部では婦人科単独でレディースクリニックという医院形式で開業をする方も増えています。

婦人科の地域別の勤務医の年収

婦人科の勤務医の年収も産婦人科同様に、地域別では北海道・東北などの北日本と関東などの都市部で特に高い傾向にあります。北海道・東北は若い医師が少なく、医師の高齢化状態が深刻になっていますので、当然ながら年収は高くなることが予想されます。

また関東などの都市部も、比較的若い女性を中心に人口も多く、医師のニーズは高くなっています。やはり婦人科医が不足しているということが年収を上げている要因になっているものと思われます。

一方、東海地方や北陸や九州などの地域では地元へのリターン就職をする方も多くなっていますので、医師不足にはさほどなっていないようです。よって勤務医の年収はそこまで高くありません。

婦人科医の医療施設毎の勤務医の年収

婦人科の医療施設ごとの勤務医の年収は、大学病院などの大病院では若い方ほど低く、年齢や経験を経れば高くなります。30歳を超えると1000万円を超える年収の方が増えてきます。クリニックも同様です。民間の一般病院が最も年収が高く、多くの方は1000万円を超えています。おそらく新人などの若い医師は大学病院などの大きな組織で働き、年齢と経験を経た方が一般病院などに行くためと思われます。そのため、一般病院勤務の産婦人科医の年収は必然的に高くなります。

婦人科の男女別の勤務医の年収

婦人科医も産婦人科同様に、女性が半数を少しだけ上回っているようです。年収は男性医師の方がやや高いようですが、年齢や経験をするごとに年収が高くなっていくということは間違いなさそうです。

婦人科も医師の成り手が少ないので、経験を積めば年収は上がります。また参入障壁もさほど高くないので開業もしやすいと思われます。ただ成り手が少ないということは医師や看護師などのスタッフの確保が難しいかもしれません。ここは悩みどころになりそうです。

婦人科の都道府県別の開業医の年収

都道府県別の開業医の年収自体のデータがないので現在調査中です。

ただ医師全体の年収で見ると、岩手や宮城などの東北地方が高く、富山や福井などの北陸地方で低めになっています。医師の需要度や医師の平均年齢が高い地域では、比較的年収が高い傾向にあるようです。

サラリーマンや自営業者などの年収の高い東京・大阪・神奈川・愛知といった地域でも決して高い方ではありません。「一般人が稼げる地域=医師が稼げる地域」という構図は基本的に当てはまりません。

ただ婦人科の場合は他の科とは異なり、東北地方の年収が低めで関東地方の年収は高めになっています。しかしながら全国的に見ていくと、婦人科の開業医の年収は大きな差はないようです。

開業にはどうやっても5000万円程度はかかりそう

婦人科開業年収

開業医として病院の勤務医から婦人科を開業するとなると、おそらく5000万円程度はかかりそうです。また自宅で開業するとなると自宅と病院を併設することになるので、8000万円から1億円程度の開業資金を覚悟する必要が出てきます。また産科を兼ねるとなるとさらなる資金がかかります。

開業するとなると土地や建物などの箱物だけで少なくても2500万円から3000万円くらいかかります。婦人科の施設も子宮内の出血や婦人がんを見つけるための検査機器などを用意する必要があります。それらの機器だけでも2000万円程度かかります。さらに産科で必須の超音波診断装置やX線撮影検査器具などの診察器具や内診台や診察用ベッドなども必要になってきます。もちろん、待合室の椅子や受付カウンター、電子カルテなどの医療機器一式もそろえる必要があります。

そこに医師をサポートする看護師などの専門家も必要になります。それでも手が足りずに家族などに受付や会計などの事務を手伝ってもらう必要が出てくるかもしれません。もちろん人的な面での整備をする必要もありますので、労務コスト面もしっかりと考えておく必要があります。

そして開業コンサルタントなどに開業サポートを頼むとさらに500万円から1000万円程度の資金がかかります。こうなってくるといくらお金があっても足りないかなと思われます。

開業医になると経営者になります。最初は銀行からの借り入れも必要になります。ある程度医院が稼げるようになってもスタッフの給料と借り入れの返済で開業医自身の報酬がほとんど手元に残らない可能性も高くなります。

勤務医時代と変わらず忙しいにもかかわらず、年収は勤務医時代の数分の1程度もしくはそれ以下になってしまう方も多くいるのではないかと思われます。

実際に都市部の開業医は、開業後2年から数年で医院をたたんでもう一度勤務医に戻ってしまう方も多くいます。

開業をするにはかなりの決心と覚悟が必要になります。

婦人科はしっかりとした診察とケアが大事

婦人科の場合は女性にとってのデリケートゾーンを医師に見せることになりますので、基本的に女性医師の方がニーズは高くなります。男性医師というだけで開業のハードルが高くなると言えるでしょう。

婦人科医にとっても産婦人科医同様に大事なことは、病院に来る女性患者の方に対して適切な言葉をかけること。言い換えればデリカシーのない言葉を絶対に使わないなどの、医師として当たり前のことをできるかということが大事になってきます。この面から見ても男性医師よりも女性医師の方が適性的に合っているかもしれません。婦人病は女性にとって精神的に苦痛を与える分野ですので、適切な声掛けが重要になります。またがんなどの大きな病気になってしまうと不安はより増大してきます。この面で婦人科医も産科医同様に、同性である女性の方が適しているのではないかと思われます。

特に子宮がん・乳がん・卵巣がんなどのがんの検査や予防も行うことも大事になります。最近は若い方や働く子育て世代の中堅世代の女性の方のがん患者も多くなっています。妊娠で子宮頸がんや乳がんなどが分かるなどのこともまれにあります。まずは患者さんの命を守るというところが大事になります。あとは不正出血などの原因を特定することも大事になります。その中にがんなどの大きな病気が隠れてしまうこともありますので注意が必要です。

婦人科の場合も産科医同様に女性の口コミを大事にするようです。女性の口コミは良くも悪くも噂が回ります。しっかりとフォローをして女性に信頼されるような医師になることが重要といえます。

婦人科のメリットは他科よりも参入障壁がやや低く、開業希望の女性医師にはその面での大きなメリットがあるかもしれません。男性にはこの面でのハードルは高くなりますので、慎重さが必要になります。

 

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プロフィール
笠浪 真

税理士法人テラス 代表税理士
税理士・行政書士
MBA | 慶應義塾大学大学院 医療マネジメント専攻 修士号

1978年生まれ。京都府出身。藤沢市在住。大学卒業後、大手会計事務所・法律事務所等にて10年勤務。税務・法務・労務の知識とノウハウを習得して、平成23年に独立開業。
現在、総勢42人(R2年4月1日現在)のスタッフを抱え、クライアント数は法人・個人を含め約300社。
息子が交通事故に遭遇した際に、医師のおかげで一命をとりとめたことをきっかけに、今度は自分が医療業界へ恩返ししたいという思いに至る。

医院開業・医院経営・スタッフ採用・医療法人化・税務調査・事業承継などこれまでの相談件数は2,000件を超える。その豊富な事例とノウハウを問題解決パターンごとに分類し、クライアントに提供するだけでなく、オウンドメディア『開業医の教科書®︎』にて一般にも公開する。

医院の売上を増やすだけでなく、節税、労務などあらゆる経営課題を解決する。全てをワンストップで一任できる安心感から、医師からの紹介が絶えない。病院で息子の命を助けてもらったからこそ「ひとつでも多くの医院を永続的に繁栄させること」を使命とし、開業医の院長の経営参謀として活動している。

                       

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