はじめに

透析内科(腎臓内科)の開業医の年収は2000万円程度ではないかと思われます。開業医の平均年収がだいたい2400万円から2500万円となっており、それよりもやや低い年収になるようです。医師全体にいえることですが、年収は都市部よりも地方の方が高くなる傾向があります。

この科目においては、実際には腎臓内科としてを開業する方も多くいます。診療対象の疾患は腎炎・ネフローゼ・急性・慢性腎不全・糖尿病・高血圧・リウマチ・膠原病などによる腎臓病や遺伝性の腎疾患など多岐にわたっています。全身疾患に伴う慢性腎不全を抱える方が増加傾向にあり、糖尿病や高血圧症の方なども腎臓の悪い方が多くなっています。症状が進んでしまうと透析などを行う必要があります。

透析内科の勤務医の年収との比較

透析内科の勤務医の平均年収はだいたい1500万円から1600万円程度と言われており、1400万円から1800万円の年収層の方が多いようです。さらに最先端の医療技術を有していたり診察・治療実績の多い医師になってくると、年収が2000万円に近くなり、超えるケースも出てくるようです。

現在は関東や東海で透析内科医の求人が多くなっているようです。また関西や九州でもやはり多くなっています。反面、東北や四国などはあまり求人がありません。人口の多さに比例して求人が多くなっています。

透析内科の地域別の勤務医の年収

透析内科の勤務医の年収は全体的に地域差はありません。おおよそ1400万円から1600万円程度に収まっています。ただ北海道で年収がやや高くなっており、透析関係を専門にしている医師が不足しているのかもしれません。

透析内科の診療別ごとの年収

透析内科の年収は大きな規模の病院ほど年収が低く、そこから公立病院・中規模の病院・小規模の病院そしてクリニックに行くほど高くなっています。大学病院は若い方が多くいますので平均年収が下がる傾向があります。一般病院に行くとやや年齢が上がります。さらにクリニックに行くと年齢が高くなる傾向にありますので、平均年収は高くなります。

研修医や若い医師の方は大学病院に就職する方が多くなっています。その後一般病院、もしくは専門特化したクリニックに転職することで、年収が上がっていくようです。

透析内科の都道府県別の開業医の年収

都道府県別の開業医の年収自体のデータがないので現在調査中です。そもそも透析内科の全国単位の開業医の詳細な年収データも見つかっていません。

ただ、医師全体の年収で見ると岩手や宮城などの東北地方が高く、富山や福井などの北陸地方で低めになっています。医師の需要度や医師の平均年齢が高い地域では、比較的年収が高い傾向にあるようです。

サラリーマンや自営業者などの年収の高い東京・大阪・神奈川・愛知といった地域でも決して高い方ではありません。「一般人が稼げる地域=医師が稼げる地域」という構図は基本的に当てはまりません。

開業には少なく見積もっても8000万円程度はかかりそう

開業医として病院の勤務医から医院を開業するとなると、少なく見積もっても8000万円程度、通常では1億円を超える開業資金を覚悟する必要がありそうです。

透析内科の開業医はさほど多くありません。ただ開業資金がかかることと、それから泌尿器科や循環器内科などのクリニックなどもライバルになってきます。よって開業へのハードルは高くなる傾向があります。開業がしやすい科ではないことを理解しておく必要があります。

また、開業してニーズがあるかどうかなどの綿密な実地調査も必要になりそうです。人口密集地の都市部がいいのか、競合は人口の多いところがいいのか、人口のいない競合の少ないところがいいのか。そこで集患ができて採算が取れるかなどの目算を立てる必要があります。

開業するとなると、土地や建物などの箱物だけで少なくても2000万円から3000万円くらいかかります。また透析用のベッドや多くの機器を置くための施設の広さも必要になってきます。また高額な人工透析用の機器もそろえなくてはなりませんので、設備のための資金は多くなります。

そこに、医師をサポートする有能な看護師などの専門家も必要になります。透析内科の場合も泌尿器科同様に緊急手術などはあまりありません。技術的にも高度といえるほどの手術も多くありませんので手術面でのストレスはあまり高くはないと言われていますが、重症の透析患者の場合は容体の急変などもあります。入院施設のある病院だと昼夜問わずに仕事ということもありますので、激務の覚悟が必要になります。

また、看護師などのサポートは絶対に必要になります。医師1人の力ではできることは限られます。それでも手が足りずに家族などに受付や会計などの事務を手伝ってもらう必要が出てくるかもしれません。労務コスト面もしっかりと考えておく必要があります。

開業医になると経営者になります。最初は銀行からの借り入れも必要になります。ある程度医院が稼げるようになってもスタッフの給料と借り入れの返済で、開業医自身の報酬がほとんど手元に残らない可能性も高くなります。

勤務医時代と変わらず忙しいにもかかわらず、年収は勤務医時代の数分の1程度もしくはそれ以下になってしまう方も多くいるのではないかと思われます。

実際に都市部の開業医は、開業後2年から数年で医院をたたんでもう一度勤務医に戻ってしまう方も多くいます。

透析内科となると泌尿器科や循環器内科なども開業をする上でのライバルになってきます。開業をするにはかなりの決心と覚悟が必要になります。

診察範囲は意外に広い

透析内科の場合は主に腎不全や腎炎などの腎臓疾患を診ることが多いですが、最近は糖尿病や膠原病などからの慢性腎不全を併発する方も増えていますので、そのような方の診察もしていく必要があります。

また、糖尿病の合併症による腎症になってしまうと、感染症や血糖値コントロールなどを正確に行っていく必要があります。またこのような症状では容体の急変の可能性も出てきますので、注視をしていく必要が出てきます。

急性期を担当している病院になりますと、腎臓内科外来・外来透析・病棟管理・腎生検・血液透析・腹膜透析など幅広い診療内容になります。また入院透析を行っている病院では当直やオンコールも多く出てくるので、相当ハードな勤務となることが予想されます。ただ腎臓内科クリニックで入院施設がない場合には夜勤がないので、この面で少し楽になります。

透析内科はとにかく集患ができるかが大事になってきます。患者さんが来ればあとは手術などの技術面の難しさよりも診療や透析管理の経験が大事になります。もちろん地方ほど患者さんの口コミも大事になります。口コミで病院の経営がだいぶ変わってきますので、丁寧で気遣いのある診察を心がけることが大事になります。

ご相談・お問い合わせ

お問い合わせはこちらから

この記事の執筆・監修はこの人!
プロフィール
笠浪 真

税理士法人テラス 代表税理士
税理士・行政書士
MBA | 慶應義塾大学大学院 医療マネジメント専攻 修士号

1978年生まれ。京都府出身。藤沢市在住。大学卒業後、大手会計事務所・法律事務所等にて10年勤務。税務・法務・労務の知識とノウハウを習得して、平成23年に独立開業。
現在、総勢42人(R2年4月1日現在)のスタッフを抱え、クライアント数は法人・個人を含め約300社。
息子が交通事故に遭遇した際に、医師のおかげで一命をとりとめたことをきっかけに、今度は自分が医療業界へ恩返ししたいという思いに至る。

医院開業・医院経営・スタッフ採用・医療法人化・税務調査・事業承継などこれまでの相談件数は2,000件を超える。その豊富な事例とノウハウを問題解決パターンごとに分類し、クライアントに提供するだけでなく、オウンドメディア『開業医の教科書®︎』にて一般にも公開する。

医院の売上を増やすだけでなく、節税、労務などあらゆる経営課題を解決する。全てをワンストップで一任できる安心感から、医師からの紹介が絶えない。病院で息子の命を助けてもらったからこそ「ひとつでも多くの医院を永続的に繁栄させること」を使命とし、開業医の院長の経営参謀として活動している。

                       

こちらの記事を読んだあなたへのオススメ