はじめに

訪問内科の開業医の年収は約2700万円程度ではないかと思われます。内科の開業医の年収が2400万円から2500万円程度と言われていますので、往診の手数料がプラスされていると考えられます。

訪問内科というと、地方、それも過疎地域の内陸や沿岸の高齢者向けのサービスという印象がありますが、都市部でも訪問看護・訪問介護などのサービスは存在しており、超高齢化社会の今後は都市部でも増えていくかもしれません。

内科医は全国に7万人弱ほどいます。ただ10年で3000人ほど減ったようで、内科医を目指す方は減少の傾向にあります。人口当たりで比較していくと、四国や近畿などの西日本に多く首都圏・東北・東海などで少なくなっているようです。ただ東京は全国10番台と比較的多くなっています。

勤務医の年収との比較

内科の勤務医の平均年収は1350万円から1400万円程度と言われています。訪問内科の往診はまだ小さいクリニックや診療所などが扱うところが多く、勤務医が多くいるような大学病院・地域の大病院・一般病院のようなところで一般的にはなっていないかもしれません。

あえていえば訪問診療は地方の山間部・限界集落など、病院に通うことがかなり難しい地域では行われていそうです。おそらく一般の内科医よりはやや高めの1500万円から1700万円程度ではないかと思われます。

内科医は研修医時代の年収は600万円程度、研修を修了して2・3年目の駆け出しの医師で800万円から900万円程度、30歳くらいで1000万円を超え、35歳くらいで1200万円から1300万円程度、40歳で1500万円くらいに届くかどうかです。医師全体の平均で考えると1400万円弱くらいが平均になるようです。2000万円を超える年収を稼ぐ勤務医の方もいますが、全体の1割いるかどうかでさほど多いという訳ではありません。

訪問内科の勤務医の年収は、内科医の年収に準じているものと思われます。平均年収は他の職業と比較するとだいぶ高いですが、勤務時間を含めた過酷な勤務を考えていくと一概に高いとも言えません。

内科医は20代・30代・40代と年齢と経験を経ていくごとに年収が上がっていきます。ただ50代・60代になってくると体力的なことを理由に勤務をセーブする医師も出てくることもあって、年収は横ばいかやや下がる傾向があります。ただ訪問内科医は地方の年齢の高い医師が行っているものと思われますので、年齢が上がってもそれなりの仕事をこなしている方が多いのではないかと思われます。その分年収も高くなりそうです。

勤務医の地域ごとの比較

内科の勤務医の年収は北海道・東北地方、関東地方、九州地方で高め、東海北陸地方や四国地方でやや低めになっています。関東地方は首都圏を中心に多様な専門医がいますので年収が高くなります。また東北地方だけでなく北関東地方・埼玉県や千葉県も慢性的な内科医不足になっています。

人口10万人あたりの医師の人口が低いのは、1位が埼玉、2位が茨城、3位は千葉県です。埼玉・千葉は20~30代の若者が多く住むエリアであり、必然的に地方と比較して病院にかかる方が相対的には少なくなります。また東京近郊ということもあって医師が少なくなることは容易に想像できます。

内科の勤務医は東日本で少なく西日本で多い、西高東低状態が顕著になっています。ただ東京や大阪などの都市部では多い傾向があります。

ただ訪問内科医となると北海道・東北・中国・四国・九州などの過疎地域に比較的多いのではないかと思われます。往診のニーズが望まれている地域です。今後は過疎地域だけでなく都市部などでも必要なサービスになってくるのかなという気がします。

勤務医の施設ごとの年収

内科の勤務医の施設ごとの年収を調べていくと、大学病院や大病院などが低めになっており、一方地域の民間病院などで高めになっています。クリニックは高い方、低い方がまちまちとなっています。大学病院や大病院は医師経験の浅い20代~30代前半の方が経験を多く積むための施設ともいえます。そのようなところで経験を積んだ医師が地域の民間病院・クリニックなどの転職もしくは病院を開業していくという流れになっています。こうしていくと、大学病院や大病院の年収がやや低くなるのは当然の流れともいえます。

民間病院は専門的なところも多く、30代後半から40代くらいの経験のある医師も多くいますので、平均的な年収が上がる流れになってきます。ただクリニックとなると勤務時間も短めで夜勤なども少なく、女性医師などがマイペースで働きたいという方もいます。時給換算するとクリニックの勤務医が高くなると思われますが、勤務形態が多様ということを考えていくと、年収が多い方・少ない方とまちまちになってくるのは必然的かなともいえます。

訪問内科医の場合はやはり地方の診療所・クリニックの医師が多く行っているものと思われます。少なくても地元で有名な大病院などは往診を行っていないところがほとんどといえます。

内科の都道府県別の開業医の年収

都道府県別の開業医の年収自体のデータがないので現在調査中です。

ただ医師全体の年収で見ると、岩手や宮城などの東北地方が高く、富山や福井などの北陸地方で低めになっています。医師の需要度や医師の平均年齢が高い地域では、比較的年収が高い傾向にあるようです。

サラリーマンや自営業者などの年収の高い東京・大阪・神奈川・愛知といった地域でも決して高い方ではありません。「一般人が稼げる地域=医師が稼げる地域」という構図は基本的に当てはまりません。

開業には5000万円程度はかかりそう

訪問内科医開業年収

訪問内科の開業医として病院の勤務医から医院を開業するとなると少なく見積もって5000万円、検査機器や施設を揃えるとなると7000万円から8000万円程度かかりそうです。

開業するとなると土地や建物などの箱物が必要になります。また血圧測定・聴診器・X線検査などの検査機器やベッドなど、医療機器一式もそろえなければなりません。

さらに看護師やレントゲン技師などの専門家も必要になります。それでも手が足りずに家族などに受付や会計などの事務を手伝ってもらう必要が出てくるかもしれません。労務コスト面もしっかりと考えておく必要があります。

開業医になると経営者になります。最初は銀行からの借り入れも必要になります。ある程度医院が稼げるようになってもスタッフの給料と借り入れの返済で、開業医自身の報酬がほとんど手元に残らない可能性も高くなります。

病院の開業をしても勤務医時代と変わらず・もしくはそれ以上に忙しいにもかかわらず、年収は勤務医時代の数分の1になってしまう方も多く出てくるのではないかと思われます。

実際に都市部の開業医は、開業後2年から数年で医院をたたんでもう一度勤務医に戻ってしまう方も多くいます。数名に1名程度がこのような状態になっているのが実際のところです。

開業をするにはかなりの決心と覚悟が必要になります。

多様な知識と患者さんに寄り添うことが重要

内科医師は全体的に激務と言われています。特に患者の急変がある胃腸・肝胆膵などの臓器を扱う消化内科はかなりの激務であり、超高齢化社会に伴い多くの医師は相当忙しいものと思われます。また地方の医師は都市部の医師よりも数が少ないため、平均の拘束時間が多く大変なようです。

さらに訪問内科・往診内科医となると、地方しかも田舎といわれている過疎地域でのニーズが高まっています。内科医としての専門的な知識以前に、浅く広めの幅広い総合内科的な診療知識とそれを行えるだけのスキルが必要になります。手術などは大きな病院と提携して任せられる場合も多く、その面の技量はさほど必要ではないかもしれません。ただ内科プロパーだけでなく泌尿器・皮膚・整形などの類似する分野の知識も必要とされ、1人で様々な不調を緩和していくことが求められると言えます。

また訪問内科医は、一般の医師以上に患者さんにストレスを与えないことが重要になります。患者さんに寄り添って適切な声掛けや助言が必要になります。過疎地域ほど患者さんや医師を選ぶことはできません。腕はいいが横柄で口の悪い医師は多くいます。このような医師は訪問内科医としては敬遠されてしまうことが多くなってきます。

体調の影響もあって年配のわがままな患者さんも多くいることも考えられ、そういった患者さんといかにうまくやっていくかという、医師としての技量だけでなく人間力や心理的なところも求められると言えます。訪問内科医は専門内科医とはまた異なった難しさがありそうです。その反面、医師として本当にやりがいのある診療ができるという一面もありそうです。訪問内科医は医師本来の仕事を行える分野ではないかと思っています。

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プロフィール
笠浪 真

税理士法人テラス 代表税理士
税理士・行政書士
MBA | 慶應義塾大学大学院 医療マネジメント専攻 修士号

1978年生まれ。京都府出身。藤沢市在住。大学卒業後、大手会計事務所・法律事務所等にて10年勤務。税務・法務・労務の知識とノウハウを習得して、平成23年に独立開業。
現在、総勢42人(R2年4月1日現在)のスタッフを抱え、クライアント数は法人・個人を含め約300社。
息子が交通事故に遭遇した際に、医師のおかげで一命をとりとめたことをきっかけに、今度は自分が医療業界へ恩返ししたいという思いに至る。

医院開業・医院経営・スタッフ採用・医療法人化・税務調査・事業承継などこれまでの相談件数は2,000件を超える。その豊富な事例とノウハウを問題解決パターンごとに分類し、クライアントに提供するだけでなく、オウンドメディア『開業医の教科書®︎』にて一般にも公開する。

医院の売上を増やすだけでなく、節税、労務などあらゆる経営課題を解決する。全てをワンストップで一任できる安心感から、医師からの紹介が絶えない。病院で息子の命を助けてもらったからこそ「ひとつでも多くの医院を永続的に繁栄させること」を使命とし、開業医の院長の経営参謀として活動している。

                       

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