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はじめに
リウマチ科の開業医の年収は2200万円程度ではないかと思われます。開業医の平均年収がだいたい2400万円から2500万円となっていますので、それよりもやや低い年収になるのかなと予測しました。医師全体にいえることですが、年収は都市部よりも地方の方が高くなります。地方は病院の数が少なく、受診する確率の高い高齢者の方が多くなるので、このような傾向になるのは当然のことかもしれません。
リウマチ科は関節・筋肉・骨など、運動を司る部位に痛みを引き起こす病気全般を治療する科となっています。主な疾患としてはベーチェット病・全身性エリテマトーデス・全身性硬化症・川崎病・骨粗鬆症・多発性筋炎・関節リウマチ・変形性関節炎・痛風などを扱っています。薬で様子を経過観察していくのが基本になります。致死率の高い科ではありませんが、緩やかに死に至ることもある疾患もあります。
勤務医の年収との比較
リウマチ科の勤務医の平均年収はだいたい1500万円程度と言われています。
リウマチ科は年収の差があまり出ない科と言われており、原因としては主な治療方法が投薬や注射等で技術的な差があまり生じず、、リハビリなども行うものの診察が中心になるためと思われます。
大病院などで長期間勤務医を続ける方も多くいますが、膠原病やリウマチを専門とするクリニックなどを開業する方もいます。
リウマチ科の地域別の勤務医の年収
年収は、地方でやや高めである一方、首都圏などの都市部でやや低めになっています。地方は高齢の医師が多いため、年収が高くなるのかもしれません。また医師の数が少ないことも要因の一つでしょう。反面、関東や関西などの都市部では若い医師も多く医師の数も多いので、平均的な年収は低めになるのではないかと思われます。
ただ、投薬などの診察が多い科のせいか、地域ごとの年収差は小さくなっています。年齢を経れば年収は上がりますが、年収は緩やかに上昇していく方が多いようです。
リウマチ科の都道府県別の開業医の年収
都道府県別の開業医の年収自体のデータがないので現在調査中です。そもそもリウマチ科の全国単位の開業医の詳細な年収データも見つかっていません。
ただ医師全体の年収で見ると岩手や宮城などの東北地方が高く、富山や福井などの北陸地方で低めになっています。医師の需要度や医師の平均年齢が高い地域では、比較的年収が高い傾向にあるようです。
サラリーマンや自営業者などの年収の高い東京・大阪・神奈川・愛知といった地域でも決して高い方ではありません。 「一般人が稼げる地域=医師が稼げる地域」という構図は基本的に当てはまりません。
ただリウマチ科の場合は他の科とは異なり、東北地方の年収が低めで関東地方の年収は高めになっています。
開業には6000万円程度はかかりそう
開業医として病院の勤務医から医院を開業するとなると、少なく見積もっても6000万円程度はかかりそうです。また自宅で開業するとなると1億円を超えるであろう開業資金を覚悟する必要がありそうです。
リウマチ科の場合もやはり開業へのハードルがかなり高くなります。専門の科で開業をしているところをあまり見かけません。
開業してニーズがあるかどうかなどの綿密な実地調査も必要になりそうです。人口密集地の都市部がいいのか、またはあまり人口のいない競合の少ないところがいいのか。そこで集患ができて採算が取れるのかなどの目算を立てる必要があります。
医療設備としては、まず検査機器が必要になります。聴診器・レントゲン・けん引器・筋力測定器・骨密度測定器具・リハビリ室などの器具や設備がこれにあたりますが、これだけでも千万単位の資金が必要になります。
そこに医師をサポートする有能な看護師などの専門家も必要になります。リウマチ科の場合は緊急の患者さんは多くありませんが、当然ながら看護師などのサポートは必要です。医師1人の力ではできることは限られます。それでも手が足りずに家族などに受付や会計などの事務を手伝ってもらう必要が出てくるかもしれません。 もちろん人的な面での整備をする必要もありますので、労務コスト面もしっかりと考えておく必要があります。
開業医になると経営者になります。最初は銀行からの借り入れも必要になります。ある程度医院が稼げるようになってもスタッフの給料と借り入れの返済で、開業医自身の報酬がほとんど手元に残らない可能性も高くなります。
勤務医時代と変わらず忙しいにもかかわらず、年収は勤務医時代の数分の1程度もしくはそれ以下になってしまう方も多くいるのではないかと思われます。
実際に都市部の開業医は、開業後2年から数年で医院をたたんでもう一度勤務医に戻ってしまう方も多くいます。
適切な診察と患者へのケアが大事
リウマチ科では、リウマチや膠原病などの長期的な痛みや苦しみに悩んでいる方が多く、手術などの技術的な腕よりも患者さんに対するケアが重要になります。
膠原病などは一気に致死することはありませんが、症状がゆっくりと進行していき、死に向かっていく病気も実際ながらあります。そのような患者さんに適切なフォローができるかなども大事になります。これは医師だけでなく看護師さんなどのスタッフにもいえることでしょう。
また、周りの競合の病院や専門のクリニックからいかに集患ができるかが開業の成否につながります。このような小さな心がけを続けていくことで地域的な口コミが広がって患者さんが増えていきます。特に地方で開業するほどこのウエイトが高くなるのかなと考えられます。
患者さんとは長いおつきあいになることも多い科目ですから、しっかりと患者さんに寄り添うことで、患者さんも増えていくことでしょう。
ご相談・お問い合わせ

- 笠浪 真
税理士法人テラス 代表税理士
税理士・行政書士
MBA | 慶應義塾大学大学院 医療マネジメント専攻 修士号1978年生まれ。京都府出身。藤沢市在住。大学卒業後、大手会計事務所・法律事務所等にて10年勤務。税務・法務・労務の知識とノウハウを習得して、平成23年に独立開業。
現在、総勢42人(R2年4月1日現在)のスタッフを抱え、クライアント数は法人・個人を含め約300社。
息子が交通事故に遭遇した際に、医師のおかげで一命をとりとめたことをきっかけに、今度は自分が医療業界へ恩返ししたいという思いに至る。医院開業・医院経営・スタッフ採用・医療法人化・税務調査・事業承継などこれまでの相談件数は2,000件を超える。その豊富な事例とノウハウを問題解決パターンごとに分類し、クライアントに提供するだけでなく、オウンドメディア『開業医の教科書®︎』にて一般にも公開する。
医院の売上を増やすだけでなく、節税、労務などあらゆる経営課題を解決する。全てをワンストップで一任できる安心感から、医師からの紹介が絶えない。病院で息子の命を助けてもらったからこそ「ひとつでも多くの医院を永続的に繁栄させること」を使命とし、開業医の院長の経営参謀として活動している。
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