リウマチ科の開業資金や注意点は? 開業医・勤務医の年収についても解説

公開日:2019年4月17日
更新日:2024年3月18日

リウマチ科で開業しようと考えている先生に向けて、開業医・勤務医の年収、開業資金の目安、注意点について解説します。

専門的な診療科目を標榜するクリニックが近年増えていますが、リウマチ科についても標榜するクリニックは増えています。

ただ、専門的な診療科目は、一般的に知られている診療科目と一緒に標榜されることも多く、リウマチ科は整形外科と一緒に標榜されることが多いです。

リウマチ科については、開業ノウハウは内科や整形外科の開業に近いところがありますが、リウマチ専門医という強みを出せる点で有利です。

そんなリウマチ科の開業資金や注意点を中心にお伝えしていきます。

※本記事で出している年収額や開業資金などの金額は、あくまで目安として参考値として捉えてください。

リウマチ専門医取得までの流れと人数

リウマチ科については、以下のように内科や整形外科などで認定医、専門医などを取得してからリウマチ専門医を取得します。

リウマチ専門医取得には4つの条件をクリアしなければなりません
・各基本領域で認定医、専門医などの資格を持っていること
・日本リウマチ学会に入会して3年以上経過していること
・日本リウマチ学会研修単位を30単位以上取得すること
・日本リウマチ学会が認定する教育施設で研修を3年以上行うこと
(研修期間は入会年月日により条件が変わります)

引用元:日本リウマチ学会ホームページより

厚生労働省「平成30年(2018年)医師・歯科医師・薬剤師統計の概況」によれば、医療施設に重視する医師数で、内科が60,413人、整形外科で21,883人に対して、リウマチ科は1,715人です。

また、他のサブスペシャルティ領域診療科(消化器内科、循環器内科等)に比べても、リウマチ科の人数は少ないほうです。

そのため現状、リウマチ専門医は比較的専門性が高く、競合が少ないと考えられます。

また専門性の高さから、整形外科や内科では対応できない患者さんを紹介してもらえることも期待できます。

ただ、リウマチ科をはじめ、専門性の高いクリニックの開業は近年増加傾向にあるため、今後は競合が増えていくことも考えられます。

リウマチ科の開業医・勤務医の年収

サブスペシャルティ領域の診療科の年収調査データはかなり少なく、開業医・勤務医ともにリウマチ科についても公的な年収データは現状ありません。

ただ、リウマチ科は内科や整形外科と一緒に標榜していることが多く、基本的には開業医・勤務医ともに内科や整形外科の年収が目安になると考えられます。

【関連記事】整形外科の開業医・勤務医の年収は? 気になる開業資金も詳しく解説

【関連記事】内科の開業医の年収は?勤務医の年収との比較と開業資金についても解説

また、リウマチ科の求人広告を見ても、だいたい勤務医の年収は1,200~2,000万円程度と、他科の勤務医と相場観が変わるものではありません。

リウマチ科の開業資金の目安

内科や整形外科と一緒に標榜するリウマチ科については、基本的には一緒に標榜する診療科目と同じくらいの目安と考えて良いでしょう。

そのため、開業資金の相場としては、だいたい4,000~5,000万円に、開業後1~2年の運転資金を見込んでおくといいでしょう。

内科や整形外科と一緒に標榜せず、リウマチ科や膠原病内科を専門とするクリニックについても、相場観は同じくらいです。

基本的には、他の診療科目と大きな違いはありません。

リウマチ科開業の主な注意点

専門性の高いリウマチ科に関しては、現状は比較的競合が少ないため、開業物件を探しやすいと考えられます。

ただ、リウマチ科開業の注意点としては、以下が考えられます。

リウマチ専門であることを周知する

専門的な診療科目の場合、診療科目を周知するだけでも大きな強みになる可能性があります。

リウマチ科であれば、リウマチ専門であることを患者さんに認知させる必要があります。

具体的には、ホームページやクリニックの看板、チラシなどを活用して、地域にリウマチ科があることを周知します。

ホームページについては、SEO対策だけでなく、グーグルマップで上位表示させるためのMEO対策も有効です。

また、リウマチ専門である場合は、医院の名称にも「リウマチ科」「膠原病内科」など、リウマチ専門であることがわかる名称にしましょう。

リウマチ科が少ない地域でも、リウマチの治療や診断をしている内科や整形外科が多い可能性があります。

リウマチ専門であることを認知しないと、他の内科や整形外科に流れる可能性があるので注意しましょう。

地域の関連病院・クリニックとの連携

リウマチと診断される前の患者さんは、関節などに起こる症状であることから最初は整形外科に通うことが多いです。

しかし、その整形外科がリウマチを専門としていないことが十分あり得ます。

その場合、整形外科の病院・クリニックから患者さんを紹介してもらえることがあります。

そのため、近くの関連病院やクリニックとの連携も視野に入れるようにしましょう。

リウマチ専門クリニックが近くにないことを確認する

開業物件を探す場合は、近くにリウマチ専門のクリニックが少ない場所を選ぶようにしましょう。

専門性が高く、一定の需要が見られるものの、内科や整形外科に比べて幅広く病気を診療するわけではありません。

そのため、近くにリウマチ科があるところに開業すると、リウマチ限定の少ない患者層を取り合うことになります。

また、リウマチの患者さんは、頻繁にクリニックを変えるようなことはしませんから、近くに開業すると集患に苦労する可能性があります。

今後は競合が増える可能性がある点を考慮する

先にもお伝えしましたが、ここ数年は専門性の高い診療科目の開業が増えているため、今後はリウマチ科を開業する先生も増えると考えられます。

そのため、今よりは競合が増える可能性があります。

リウマチの治療で来ている患者さんは、痛みを少しでも軽減してほしいという思いが強いです。

そのため、患者さんに継続して通院してもらうには、痛みを軽減できるように丁寧に治療するのが重要です。

また、痛みのない治療ができることも重要なポイントで、このような患者満足度を高める工夫が大切になります。

リウマチ科開業事例

弊社のリウマチ科開業事例を紹介します。

紹介するクリニックの先生は、いずれも整形外科と一緒に標榜していますが、参考までにご覧ください。

「はっとり整形外科 リウマチ科クリニック」の事例

西武新宿線上井草駅から徒歩30秒という駅近の物件に開業した服部整形外科 リウマチ科は2019年2月に開業しています。

院長の服部先生は、自分の責任下で自分の希望通りに治療方針を決めたいので、開業を決意しました。

勤務医時代に働いていた病院・クリニックの近くに開業する先生が多いなか、服部先生は勤務医時代の職場とは離れた場所で開業しています。

そのため、最初は患者さんが来なかったのですが、開業半年で徐々に患者さんが増えてきたとのことです。

服部先生のどうやって開業したか、そして開業後の経営については、以下のインタビューをご覧ください。

【関連記事】はっとり整形外科 リウマチ科クリニック

「医療法人 司絆生 吉田クリニック」の事例

次に紹介するのは、整形外科・リハビリテーション科・リウマチ科を標榜する「医療法人 司絆生 吉田クリニック」です。

主に標榜しているのが整形外科ですが、医療法人化を機に株式会社を立ち上げています。

鍼灸マッサージ治療院、ストレッチ教室、トレーニング教室など、さまざまなサービスを展開しているのが特徴です。

詳しくは以下の記事をご覧ください。

【関連記事】医療法人 司絆生 吉田クリニック

【まとめ】リウマチ専門のクリニックであることを周知する

以上、リウマチ科の勤務医・開業医の年収と開業資金の目安、注意点についてお伝えしました。

近くにリウマチ科がない場所で開業すれば、競合があまりいないため、リウマチ専門というだけで需要が十分見込める可能性があります。

そのため、医院名を含めてリウマチ専門のクリニックであることをホームページや看板などで積極的に周知するようにしましょう。

現状、リウマチ科はまだ競合が比較的少ないですが、サブスペシャルティ領域の専門性の高い科目で開業する先生が増えてきています。

そのため、今後はリウマチ科も競合が増えていく可能性はあります。

リウマチ科、及び整形外科・リウマチ科の開業をお考えの先生は、ぜひご相談ください。

笠浪 真

1978年生まれ。京都府出身。藤沢市在住。大学卒業後、大手会計事務所・法律事務所等にて10年勤務。税務・法務・労務の知識とノウハウを習得して、平成23年に独立開業。
現在、総勢52人(令和3年10月1日現在)のスタッフを抱え、クライアント数は法人・個人を含め約300社。
息子が交通事故に遭遇した際に、医師のおかげで一命をとりとめたことをきっかけに、今度は自分が医療業界へ恩返ししたいという思いに至る。

医院開業・医院経営・スタッフ採用・医療法人化・税務調査・事業承継などこれまでの相談件数は2,000件を超える。その豊富な事例とノウハウを問題解決パターンごとに分類し、クライアントに提供するだけでなく、オウンドメディア『開業医の教科書®︎』にて一般にも公開する。

医院の売上を増やすだけでなく、節税、労務などあらゆる経営課題を解決する。全てをワンストップで一任できる安心感から、医師からの紹介が絶えない。病院で息子の命を助けてもらったからこそ「ひとつでも多くの医院を永続的に繁栄させること」を使命とし、開業医の院長の経営参謀として活動している。

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